2011.12.24日付日本経済新聞社朝刊に『家計の資産、外貨建て急減』の見出しで記事が掲載されていました。以下本文の一部引用です。
『家計が保有する外貨建て資産が9月末時点で30兆円強と前年同月比16%減少、リーマン・ショック後の2008年12末以来の低水準になった。個人金融資産に占める外貨建ての比率も2.1%と同じ期間に0.4ポイント低下した。欧州債務危機などをきっかけに、個人が外貨建て資産を売却したり、新規投資を抑制したりしている実態を裏づけた』
現在の円高水準を考えると、FX等で外貨の売りをたてるなど、よっぽどのことがない限り外貨建て資産は損失を抱えていることとなります。しかし、国内で運用しようと思っても、過去に例がないほど金利は低く、物価の下落、つまり事実上フロー所得の減少を待たなければ利益を得ることができないという状況は、個人投資家にとって最悪の環境であるといえます。この記事で面白いのは、家計が持っている外貨建て資産の割合が、全金融資産と比してかなり低い水準にとどまっていることです。FXが流行っているといわれていますが、このFXは外貨建て金融資産に含まれるのかどうかよくわかりませんね。
このような流れの中で、この円高は適正なのかという疑問が生じます。上記グラフは、リーマンショック以降の米ドル、ユーロ相場の下落を示しています。こうしてグラフをみていると、ユーロ相場はピークの170円から101円まで下落しており、同ショックがいかに大きく、かつギリシャ危機以降のユーロ安が激しいことがわかります。
外貨建て資産を投資するタイミングを理解するに当たって最も重要なのは、対象国の物価水準です。ここで米国の物価水準を知る上で面白い情報があったので、述べさせていただきます。私が米国へ行ったのは、20年以上も前ですので、どうしてもメディアから情報になります。でも、これから述べる情報はメディアが流さない情報ですので、目線が違って面白いと思います。一つは、救命医ハンク(原題"Royal Pains")のエピソード2のワンシーンです。救命医ハンクの医療助手をしているディビア・カダイとハンクの元恋人のジル・ケイシーの会話の中で、「列に並んで4ドルもするコーヒーを」という表現がありました。日本円に換算して、「4ドルもするコーヒー」は312円です(1ドル=78円として)。決して高いものではありません。もう一つのエピソードは、「アンダーカバーボス」です。これは、米国企業のトップが素姓がばれないようして現場に潜入、現場の状況を把握するというノンフィクションの番組です。この中で、競馬場を運営している企業のトップが現場に潜入、従業員が置かれている厳しい環境を身にしみて感じるという場面がありました。その中に、懸命に働いている従業員がいて、何とその人の時給が8ドルということが判明しました。日本円換算で624円です。記憶が定かではありませんが、確か馬の世話係を担当しており、仕事振りも丁寧で、会社のトップも感動していました。それが、日本の最低賃金程度しかもらえないということに驚きがあります。日本とは異なり医療制度が、国民皆保険でないことを考慮すればなおさらです。
つまり、円相場は、米国の物価水準を踏まえても高すぎるということです。ならば、適正な円相場という話にはなりますが、リーマンショック前の1ドル=110円は安すぎるとして、経済の専門家ではなく、投資家の感覚として1ドル=90円前後が妥当な水準であると考えています。従って、私は現在の1ドル=78円水準ではドルを買い進めていく予定です。一方、わからないのが、ユーロの水準です。ユーロが1ユーロ=170円であった時、地下鉄の初乗りが900円程度であったという記事がどこかに載っていました。それが事実ならば、1ユーロ=103円でも高いこととなります。今後は、ユーロ圏の物価水準に関する情報に注視していきます。
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