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2012年11月30日金曜日

リーマン・ショック前後からの倒産件数と負債総額

 2008年9月に大手投資銀行リーマン・ブラザーズが倒産、これを機に世界経済は、景気後退へと向かい、現在もその影響から回復できないでいます。米国では、失業率が高止まりするとともに、今年の年末商戦は決して好調ではないことが一部で伝えられています。欧州経済は、債務問題が4年目へと突入し、EUも予算決定の会合でも、各国の利害が衝突、予算が決定できないでいます。絶好調だった中国も、対欧州向けの輸出が減少するなどで、減速傾向が顕著になっています。そして、デフレ経済から脱却できないでいる日本経済は、回復感がないまま、すでに景気後退局面に入ったことが専門家等の間で指摘されています。
 今日は、リーマン・ショック直前からの負債総額及び倒産件数の推移を追ってみました。右図は、帝国データバンクのホームページ掲載のデータから作成したグラフです。グラフを改めて見ると、負債総額は、景気の上げ下げとは関係なく、突発的に発生する一方で、倒産件数は2009年をピークに減少傾向があり、景気との連動性があるという感じがします。それでも、景気動向指数には、企業倒産件数は係数として採用されておらず、やはり景気との連動性は低いと考えてもいいでしょう。

 そして、この中で、負債総額が1兆円を上回る月に限定して、その月にどんな企業が倒産したのか調べてみました。2008年9月のリーマン・ブラザーズ証券が倒産、負債総額は3兆4,314億円にも達し、2000年に倒産した協栄生命保険の4兆5,296億円に次いで、戦後2位の規模となったそうです。その後は、日本航空が2兆3,221億円の負債を抱え、2010年1月に倒産、金融業を除く事業会社では、マイカルを抜き史上最大規模の倒産となりました。2010年9月には、日本振興銀行、武富士という規模の大きい金融関連2社が倒産しました。これは問題のある金融機関の淘汰であり、前者の倒産では、ついにペイオフが実施され、当時話題となりました。リーマン・ショック後の2008年9月以降からの倒産企業の累計負債総額は28兆円(このデータは1000万円以上の倒産のみを集計)にも及びます。銀行は、企業や個人に対して資金を貸し付けてして利ざやで稼いでいます。メガバンクの利益は、年間で多くても1兆円前後に過ぎません。企業倒産に加え、個人も破産をしているのですから、銀行が融資をして、利益を出すのは非常に難しい環境であるともいえます。IMF・世銀の総会で、日本の金融機関が多額の国債を保有している点に注文を付けられましたが、融資にせよ、預かり資産せよ、国債保有にせよ、今の金融機関にとって日本の経済状況は難しい局面にあるといえます。


 こうした中で、中小企業金融円滑化法が2012年3月末をもって期限切れとなります。金融円滑化法とは、2009年12月に施行された法案で、中小企業や住宅ローンの借り手から要請があった場合、金融機関は借金の元本や利子の支払いを停止、利子の軽減などにできるだけ応じることが求められるというものです。当初は11年3月を期限としていましたが、2回にわたり延長、2013年3月が最終期限となり、終了後は倒産の増加が懸念されています。この中小企業金融円滑化法に関する記事が、2012年11月24日付読売新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『「中小」支援、要望強く。金融円滑化法、来年3月期限切れ。倒産増加懸念も論戦低調』です。以下引用文。

 『金融機関に対し中小企業からの貸し付け条件の変更の申し出に応じるよう努力義務を課した「中小企業金融円滑化法」が来年3月末に期限切れとなる。中小企業の倒産増加も懸念され、政府に対策を求める声は強い。ただ、衆院選に向けては、金融政策や環太平洋経済連携協定(TPP)、エネルギー政策などの諸課題に隠れて、中小企業対策の論戦は盛り上がりを欠いている。(戸塚光彦)
 民間調査会社の帝国データバンクによると、10月の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は前年同月比6.1%増の961件となり、2ヵ月連続で増えた。そのうち円滑化法に基づき、借り入れ条件の変更を受けたのに倒産となったのは1ヵ月間では過去最多の51件となった。
 政府が2009年に円滑化法を施行したのは、中小企業の資金繰りを助けているうちに本格的な経済の回復を待つことを期待したからだった。しかし、現在の国内景気は後退局面に入ったとみられており、厳しい経営環境に直面している中小企業へのしわ寄せが、今後一層広がる可能性もある』
 同記事によれば、金融円滑化法の施行によって、本来ならば市場から退出するべきであった企業が残ってしまったと示唆しています。金融庁の調査では全国で5〜6万社もの中小企業が転業や廃業などの抜本的な対策が必要とされています。やはり、政府等の指示による金融機関の融資に対する介入には問題があり、市場原理に任せた企業淘汰は、むしろ産業の新陳代謝を進める上で必要なことであるといえます。そして、政府がするべきことは、企業倒産によって失業率が上昇した場合、事後的に失業者に対して支援をする方が効率的であるということが、この法案の施行によってはっきりしたという印象を受けます。

2012年8月9日木曜日

日本航空の再上場と大型増資で対抗する全日空

 私は、岡山県出身であることから、日本航空ではなく、どうしても全日空びいきになってしまいます。何故なら、全日空の創業者である故美土路昌一氏が岡山県出身であるからです。設立に当たっては、色々な経緯があるようですが、日本航空が官により設立された航空会社であるのに対して、民間の力により設立されたのが全日空です。全日空の日本航空に対する対抗意識は強く、それは社名にも現れています。日本航空がJAL(Japan Air Lines)と"Japan"を冠しているのに対して、全日空がANA(All Nippon Airways)と"Nippon"を冠しています。社名に関しても、"Japan"ではなく、"Nippon"を使った全日空の方が、私にとって印象がいいです。
 官により設立された日本航空が、2010年1月に会社更生法を適用、経営破綻しました。結果、企業再生支援機構から公的資金約3,500億円の出資を受け、再建に向けて、皮肉にも再び官の手に委ねられることになりました。今は、2012年9月19日には再上場を果たすこととなり、離陸に向けた準備が進められています。再び墜落という事態は是が非でも避けたいのですが、全日空を含めて航空業界を取り巻く環境は非常に厳しいの現実です。それは、燃料高騰や格安航空会社LCCの存在です。
 燃料高騰に対しては、燃費効率の高いボーイング787などの最新鋭機の導入を進めており、日本航空、全日空とも燃費効率向上に向けた経営努力しています。そのため、両社とも資金が多額の必要としており、日本航空の再上場、全日空による大型増資は理解でき、同機の導入は、それぞれ45機、50機に上るとされます。因みに、世界で最初にボーイング787の導入を決定した航空会社は全日空です。一号機の就航が岡山〜羽田便に決定した時は感動しました。実は、2011年11月1日に同機が正式就航する直前の10月23日に、旅行目的で岡山空港へたまたま行きました。その時、偶然ですが岡山空港に駐機しているボーイング787の姿を目撃する機会を得ました。感激の一瞬でした。また、全日空は、三菱重工が製造するMRJの導入も決定しており、ボーイング787の製造にも関わる日本企業も多いことから、わが国の航空機製造の分野で全日空の貢献度は大きいといえます。
 また、LCCへの対抗は、自らがLCCを設立して対抗するという手段を選択しました。成田空港を拠点とし、日本航空などが出資するジェットスター・ジャパン、関西空港を拠点とし、全日空などが出資するピーチ・アビエーションのLCCが設立されました。8月1日には、マレーシアの大手LCCエアアジアと全日空が出資するエアアジア・ジャパンが福岡空港に向けて成田空港から離陸しました。これでLCC3社が出そろった形となり、日本の空は大競争時代へと突入しました。
 しかし、世界の航空会社に課されているのは、経営の効率性ばかりを追求するのではなく、安全性重視が最も重要な経営課題です。次に重大な航空事故を起こした航行会社は、市場からの撤退は必至です。日本航空、全日空には、この点を十分に考慮した上で、競争に励んで頂きたいと思っています。上表は、両社のホームページ及び2012年8月5日付毎日新聞朝刊掲載のデータから作成した日本航空と全日空の業績を比較したものです。経営破綻を経て、日本航空が経営規模を圧縮し、売上高が大きく減少していることが表から読み取れることができます。しかし、利用者数、旅キロでは、依然として日本航空が全日空を上回っていることには驚きです。企業間の競争がないよりは、ある方が望ましいと考える人は多いと思いますが、人の安全に関わる分野での過当競争はいかなるものかと感じているとろこです。