私は、岡山県出身であることから、日本航空ではなく、どうしても全日空びいきになってしまいます。何故なら、全日空の創業者である故美土路昌一氏が岡山県出身であるからです。設立に当たっては、色々な経緯があるようですが、日本航空が官により設立された航空会社であるのに対して、民間の力により設立されたのが全日空です。全日空の日本航空に対する対抗意識は強く、それは社名にも現れています。日本航空がJAL(Japan Air Lines)と"Japan"を冠しているのに対して、全日空がANA(All Nippon Airways)と"Nippon"を冠しています。社名に関しても、"Japan"ではなく、"Nippon"を使った全日空の方が、私にとって印象がいいです。
官により設立された日本航空が、2010年1月に会社更生法を適用、経営破綻しました。結果、企業再生支援機構から公的資金約3,500億円の出資を受け、再建に向けて、皮肉にも再び官の手に委ねられることになりました。今は、2012年9月19日には再上場を果たすこととなり、離陸に向けた準備が進められています。再び墜落という事態は是が非でも避けたいのですが、全日空を含めて航空業界を取り巻く環境は非常に厳しいの現実です。それは、燃料高騰や格安航空会社LCCの存在です。
燃料高騰に対しては、燃費効率の高いボーイング787などの最新鋭機の導入を進めており、日本航空、全日空とも燃費効率向上に向けた経営努力しています。そのため、両社とも資金が多額の必要としており、日本航空の再上場、全日空による大型増資は理解でき、同機の導入は、それぞれ45機、50機に上るとされます。因みに、世界で最初にボーイング787の導入を決定した航空会社は全日空です。一号機の就航が岡山〜羽田便に決定した時は感動しました。実は、2011年11月1日に同機が正式就航する直前の10月23日に、旅行目的で岡山空港へたまたま行きました。その時、偶然ですが岡山空港に駐機しているボーイング787の姿を目撃する機会を得ました。感激の一瞬でした。また、全日空は、三菱重工が製造するMRJの導入も決定しており、ボーイング787の製造にも関わる日本企業も多いことから、わが国の航空機製造の分野で全日空の貢献度は大きいといえます。
また、LCCへの対抗は、自らがLCCを設立して対抗するという手段を選択しました。成田空港を拠点とし、日本航空などが出資するジェットスター・ジャパン、関西空港を拠点とし、全日空などが出資するピーチ・アビエーションのLCCが設立されました。8月1日には、マレーシアの大手LCCエアアジアと全日空が出資するエアアジア・ジャパンが福岡空港に向けて成田空港から離陸しました。これでLCC3社が出そろった形となり、日本の空は大競争時代へと突入しました。
しかし、世界の航空会社に課されているのは、経営の効率性ばかりを追求するのではなく、安全性重視が最も重要な経営課題です。次に重大な航空事故を起こした航行会社は、市場からの撤退は必至です。日本航空、全日空には、この点を十分に考慮した上で、競争に励んで頂きたいと思っています。上表は、両社のホームページ及び2012年8月5日付毎日新聞朝刊掲載のデータから作成した日本航空と全日空の業績を比較したものです。経営破綻を経て、日本航空が経営規模を圧縮し、売上高が大きく減少していることが表から読み取れることができます。しかし、利用者数、旅キロでは、依然として日本航空が全日空を上回っていることには驚きです。企業間の競争がないよりは、ある方が望ましいと考える人は多いと思いますが、人の安全に関わる分野での過当競争はいかなるものかと感じているとろこです。
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