日本の半導体業界はがたがたになってきています。2012年2月27日に、エネピーダメモリーが会社更生法に基づき更正手続きの開始を東京地方裁判所に申請、これにより同社は倒産しました。2011年3月31日時点の負債総額は、約4,480億円に上り、製造業では過去最大の倒産になりました。日の丸半導体の一角が沈没、残るは半導体製造の大手といえば、システムLSIを得意とするルネサスエレクトロニクスとフラッシュメモリを得意とする東芝くらいになってきました。
しかし、状況はさらに厳しくなっており、2012年8月2日の決算説明会を機にルネサスエレクトロニクスの業績が調べてみるとさっぱりであることを判明しました。赤字続きの同社は、今期は大規模なリストラを実施、1,550億円にも上る特別損失を計上することが発表されました。同社の決算に関する記事が2012年8月3日付日本経済新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『ルネサス、赤字1500億円。今期最終、リストラ費用かさむ』です。以下引用文。
『ルネサスエレクトロニクスは2日、2013年3月期の連結最終損益が1500億円の赤字(前期は626億円の赤字)になる見通しだと発表した。早期希望退職や半導体工場の売却・閉鎖などで特別損失が膨らむ。人件費の削減効果から本業のもうけを示す営業損益は210億円の黒字(前期は567億円の赤字)を確保する計画だ。ルネサスは7月に連結従業員の1割強に当たる5千数百人の早期希望退職を国内で実施する方針を決め、労働組合と交渉を進めている。割増退職金や工場・事業の再編にかかる特別損失は1550億円になる見通しだ』
ルネサスは、3年以内に国内に18カ所ある半導体工場のうち10カ所を閉鎖・売却し、希望退職を軸に従業員を順次削減する方針です。希望退職への応募が計画に満たない場合は、一方的に雇用契約を解消する整理解雇にも踏み切ることが想定されているそうです。もっとも、円高が定着する中で、営業利益の黒字化を前提とした決算見通しは甘いのではないかという印象も受けました。上図は、同社の決算説明会資料に基づき作成した2013年3月期決算のイメージ図です。現在の円相場の水準で、決算見通しの基本となる営業利益が、売上増40億円、原価改善370億円、研究開発費削減365億円によりそれぞれ改善し、210億円の黒字を確保するという前提は危ういと考えてもいいです。従って、順調にリストラが進み1,550億円の特別損失を計上し、保守的にみて今期並の営業損益は出るとした場合(最悪の場合は今期以上に営業損益の赤字が拡大する恐れもあり)、2,000億円を上回る最終損失を抱える可能性もあるのではないでしょうか。調べられる限り、同社は少なくとも5期連続の赤字となります。分社の元であるNEC、三菱電機、日立製作所はさらなる資金の拠出が求められる可能性もあり、これら企業の決算にも影響することも予想されます。かといって、政府が関与したとしても、最悪、エルピーダメモリの後を追うという結果になりかねないのが、今の日本の半導体業界の実情ではないでしょうか。
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