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2012年8月27日月曜日

プラチナ価格急騰、誤解していた価格変動

 私は、金貯蓄をしている関係で、金やプラチナの価格について非常に敏感に反応します。これは、それらの価格が下落すれば、スポット買いも辞さないという対応です。しかし、金に対する基本知識がないものにとっては、スポット買いは危険であり、金貯蓄はそもそもは、毎日積み上げるという方法、つまりドル・コスト平均法によりものが最も合理的な投資方法であると思います。実は、過去にスポット買いをした経験があり、その時は、金を高値で購入してしまい、その後の大幅な金価格の下落により、結果として平均購入単価を押し上げてしまったという経験があります。
 そして、金貯蓄に関連して、どうしてもプラチナの価格の推移を見てしまいます。すると、最近、プラチナ相場に上昇基調にあり、金価格との差が縮小していることに気がつきました。プラチナといえば、工業需要が、宝飾品需要よりも大きいことから、景気の回復基調を反映して、プラチナ価格が上昇していると思っていました。右図は、プラチナの用途別需要を示しています。2008年では自動車触媒が45.8%を占めている一方で、宝飾品は25.7%にとどまっています。因に、2009年には、景気失速を背景に、特に自動車触媒の需要が31.5%まで低下する一方で、宝飾品は42.9%と上昇しています。
 そして、最近では金とプラチナの価格が完全に逆転し、プラチナが大きく値を下げるという局面になっています。これは、ユーロ債務危機、米景気の失速の影響で、ユーロやドルなど通貨の代替物である金に根強い人気があるからだと考えています。しかし、8月に入ってから、異なる様相を呈してきました。特に8月の中頃当たりからプラチナの価格が急上昇、ニューヨークダウ平均も比較的堅調であることから、景気に本格的な回復の兆候があり、これを受けてプラチナの価格が特に急騰し始めたと思っていました。
 しかし、実際は違っていました。プラチナ価格の上昇は、最大の供給国である南アフリカでの鉱山ストに端を発するものでした。プラチナ鉱山のストライキに関する記事が2012年8月27日付日本経済新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『揺れる資源国・南ア。プラチナ・金が上昇、雇用問題の難しさ露呈』です。以下引用文。
 『【ロンドン=上杉素直】世界屈指の資源国、南アフリカ共和国が揺れている。今月中旬に起きたプラチナ(白金)鉱山の労働争議に端を発した警官発砲事件がきっかけ。国際商品市場では、労使の対立が南アのほかの鉱山にも広がり、生産が滞る懸念からプラチナや金の相場が上昇した。有力新興国の一角としてもグローバル企業の注目を集めるが、今回の事件で雇用情勢の難しさが改めて意識されそうだ。(中略)
 プラチナは自動車の排ガス触媒などに使われるレアメタル(希少金属)で南アが世界生産の7割以上を占める。商品市場では南ア全体の鉱業活動への懸念が台頭。プラチナ相場は発砲事件の16日から1割上昇し、5月上旬以来3カ月半ぶりの高い水準に達した。南アが世界生産の7%を担う金も価格が上がった』
 右図は、2009年におけるプラチナの供給を示したものです。このデータでは、6割強を南アフリカが占めています。プラチナで面白いのが、触媒回収が2割近くを占めていることです。触媒回収とは、貴重な資源であるプラチナを有効活用するため、自動車触媒を中心に、プラチナの回収がビジネスとして成立しているようです。プラチナは、金以上に希少であるとされており、今後は燃料電池の触媒等でも活用が期待されているレアメタルです。もっとも、燃料電池にはプラチナが必要であり、これが燃料電池の値段が下がらないという原因でもあります。このほか、パラジウム、マンガンなどの南アフリカ共和国の生産シェアは高く、今後、資源確保に向けた動きが活発化することが予想されます。しばらくの間は、金、プラチナの価格に目が離せないでしょう。

2012年3月31日土曜日

外貨準備に占める金(ゴールド)の割合

金(ゴールド)に関するブログがやや多い気がしますが、今日は日本経済新聞2012年3月22日付夕刊に面白いデータがありましたので紹介します。データは、金の国際調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシル調査のもので、世界各国の金の宝飾品としての需要を示したものです。
1位は予想通りインドです。同国の需要は567トンと2位の中国の511トンとほぼ同水準であり、3位の米国115トンを大幅に上回るという結果です。一部ではあると思いますが、インドの結婚式はど派手さで世界的に有名で、表現が良くないのですが、結婚する際に新婦側が新郎側へと金を貢ぐという風習があるようです。同時に、両国の共通点として、ここのところの経済的な発展に加え、金を投資対象と考えており、インフレに対するヘッジ手段として購入する傾向があるそうです。
残念ながら日本は21トンと世界シェアの1%にとどまっています。ここ数年では高騰した金価格を背景に、一般の方々が宝飾品を業者に売却するケースが増えており、時々ニュースの話題になるくらいです。もっとも、21トンの需要がある一方で、かなりの部分が海外へと流出しているのではないかと推測されます。日本人の行動は、いつも反対ですね。通貨が不安定化している上、やっとインフレの気配が出てきている今、金を売却しているのです。
この行動にはやや疑問が残りますが、結果として投資対象として最も安定したパフォーマンスを得たのが、利子をほとんど生まない銀行預金だったのですから無理ないことです。この円高下での売却ですのから、円安がもっとも進行した時に売却した方が利益が大きいはずです。日本人は円という自国の通貨に対する信頼が他国よりも強いのでしょう。つまり、金に対する行動は、他国に例をみないインフレを20年以上も経験したことがない経済体質に起因するものかもしれません。
 しかし、国家レベルでは、悠長に考えているわけにはいかないです。日本の外貨準備高は米ドル建ての資産がほとんどを占めています。中国に次ぐ世界第2位の外貨準備高を有しているにも関わらず、公的機関が保有する金の保有残高は、米国は別格として、ドイツ、フランス、イタリアなどの国よりも少ない。最近では中国に追い抜かれてしまいました。右図は、米国を除いた主要国の公的機関が保有している金保有残高(注)を示しています。スイスは、なるほどという印象ですが、日本の保有残高がイタリアよりも少ないということは知りませんでした。「有事の時のドル」という言葉が余り言われなくなりました。しかし、「有事の時の金」はまだまだ死語にはなっていない気がします。
(注)米国は261.5百万オンスであり、他国を圧倒しています。