金(ゴールド)に関するブログがやや多い気がしますが、今日は日本経済新聞2012年3月22日付夕刊に面白いデータがありましたので紹介します。データは、金の国際調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシル調査のもので、世界各国の金の宝飾品としての需要を示したものです。
1位は予想通りインドです。同国の需要は567トンと2位の中国の511トンとほぼ同水準であり、3位の米国115トンを大幅に上回るという結果です。一部ではあると思いますが、インドの結婚式はど派手さで世界的に有名で、表現が良くないのですが、結婚する際に新婦側が新郎側へと金を貢ぐという風習があるようです。同時に、両国の共通点として、ここのところの経済的な発展に加え、金を投資対象と考えており、インフレに対するヘッジ手段として購入する傾向があるそうです。
残念ながら日本は21トンと世界シェアの1%にとどまっています。ここ数年では高騰した金価格を背景に、一般の方々が宝飾品を業者に売却するケースが増えており、時々ニュースの話題になるくらいです。もっとも、21トンの需要がある一方で、かなりの部分が海外へと流出しているのではないかと推測されます。日本人の行動は、いつも反対ですね。通貨が不安定化している上、やっとインフレの気配が出てきている今、金を売却しているのです。
この行動にはやや疑問が残りますが、結果として投資対象として最も安定したパフォーマンスを得たのが、利子をほとんど生まない銀行預金だったのですから無理ないことです。この円高下での売却ですのから、円安がもっとも進行した時に売却した方が利益が大きいはずです。日本人は円という自国の通貨に対する信頼が他国よりも強いのでしょう。つまり、金に対する行動は、他国に例をみないインフレを20年以上も経験したことがない経済体質に起因するものかもしれません。
しかし、国家レベルでは、悠長に考えているわけにはいかないです。日本の外貨準備高は米ドル建ての資産がほとんどを占めています。中国に次ぐ世界第2位の外貨準備高を有しているにも関わらず、公的機関が保有する金の保有残高は、米国は別格として、ドイツ、フランス、イタリアなどの国よりも少ない。最近では中国に追い抜かれてしまいました。右図は、米国を除いた主要国の公的機関が保有している金保有残高(注)を示しています。スイスは、なるほどという印象ですが、日本の保有残高がイタリアよりも少ないということは知りませんでした。「有事の時のドル」という言葉が余り言われなくなりました。しかし、「有事の時の金」はまだまだ死語にはなっていない気がします。
(注)米国は261.5百万オンスであり、他国を圧倒しています。
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