2012年3月26日月曜日

日本の森林資源

私は、登山やちょっとした山の中をトレッキングする趣味があります。毎年、鳥取県にある大山(だいせん)には4〜5回程度、特に11月、12月頃、すこしばかり雪が積もった時期を選んで登山をしています。また、岡山県の県北にある岡山県立森林公園は、多い年では10回程度行き、10km以上もある公園の外周を一周し、いい汗をかいています。山中を歩いて、四季折々の季節感を満喫できる上、生活の拠点から車で少し行ったところに豊かな自然があるのだなぁ、とつくづくと感じる次第です。落ち葉を踏みしめると、擦れ合う心地よい音が、周囲に鳴り響き、幸せを感じる一瞬です。
そこで、今日は、日本の自然、特に森林資源について書かせていただきます。私が日本の森林資源を考えるに当たってすぐ頭に浮かぶデータは、国土の面積が37万k㎡で、そのうち60%以上もの割合が森林に覆われていることです。他国と比べて、豊かであるという印象を持っています。
しかし、日本だけで感じることを述べるのではだめですので、各国との比較でどうなのかを表してみます。データから日本の国土の6割以上が森林によって占められていることが確かめられました。右表は、私が独断で選んだ主要国での森林資源を示しています。6割を超えているのは、ブラジル、韓国、コンゴ民主共和国などがあります。もっとも、これをもって日本の国土は、森林資産に恵まれていると語っていいのでしょうか。ここで、一人当たりの森林面積を算出してみました。単位が大きくてやや理解しにくい数値ですが、わが国の一人当たりの森林面積は、0.19haと決して大きくないことが表からも読み取ることができます。イギリス、ドイツなどの先進国と比べて見劣りはないものの、広大な国土を有しているロシア、アメリカ、カナダから比べてかなり低い水準にとどまっていることがわかります。
この表で意外だと思ったのは、最も乾燥した大陸と称されるオーストラリアの森林面積が広く、国土に占める割合が2割弱と結構高いということです。オーストラリアは、鉱物資源などに恵まれ、牧草地が広がっているというイメージでしたが、森林資源にも恵まれていることが分かりました。
わが国の森林資源は人口比で考えた場合、決して豊かではないということがわかりました。しかし、国土が狭いことが幸いしており、他国とは比べて、森林資源の利用に際しては、輸送コスト及び輸送に伴う膨大なエネルギー消費は小さいものと考えられます。もっとも、急峻な地形に隙間なく植えられている杉や檜などの針葉樹林を適切に管理するには、人材不足は否めない状態になっているのがわが国の現状です。
ここで提案があります。それは、針葉樹林から広葉樹林への転換です。利便性が高く、管理可能な地域には引き続き針葉樹林を維持する一方で、人材確保が困難な地域には、広葉樹林へと植え替えていくということです。広葉樹林への植え替えには、様々なメリットがあります。例えば、治水能力が針葉樹林より高いこと、漁場を豊かにすることなどがあります。この植え替え作業に、恩恵を受けるであろう都市生活者から税金を徴収、国や地方自治体を通じて作業従事者に資金援助するということも可能ではないでしょうか。
昨年、紀伊半島を襲った集中豪雨には驚きました。林業がまだ衰退していないと思われる同地域でも、近年の気候変動には耐えられなくなってきています。人口比では決して豊かとはいえない貴重な資源を有効に活用する手段の一つとして、針葉樹林の広葉樹林への植え替えがあると私は思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿