2012年3月3日土曜日

把握しにくいブラジル経済

経済成長が著しかったブラジル経済がここのところ成長率が鈍化しているようです。具体的なブラジルの経済動向を知ることは、米国やヨーロッパとは比較ならないくらいデータ量が少なく、中国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった国と比較してもかなり難しい作業です。
 米国経済にやや明るい兆しがあり、今後の動向がやや楽観視されつつあります。それを受けてか、ダウ平均もリーマンショック以降の株価を更新したようです。こうした中で、ブラジルの経済もとっくに前に底入れしているものと、私は思い込んでいました。しかし、実際にデータを調べてみると、2011年の第3四半期に経済成長率は2.1%まで鈍化する一方で、消費者物価は7.3%にまで上昇しており、ブラジル政府は、難しい経済運営に迫られていることが判明しました。上図は2008年以降のブラジルの実質経済成長率と消費者物価指数の上昇率を示したものです。低成長となっている中での物価の上昇であり、スタグフレーションの様相を呈しています。期近での物価上昇率はやや低下し、2011年12月では6.5%となっていますが、厳しい状況は本質的には変わっていないと思われます。
ブラジル経済に関するデータが少ない中でも、私は、ブラジルの代表的な株価指数であるBOVESPAだけは、ブルームバーグのホームページにて日々の上げ下げをチェックしています。ここ1年間では2011年4月につけた70,000ポイントを高値に、その後、同年8月に50,000ポイントを下回るまで急落したこと、期近では65,000ポイントを上回るまで回復してきたことを知っています。もっとも、ここで問題になるのが、ブラジルのレアル相場です。一体どの当たりで推移しているのかが全くわからず、日々データをチェックする術を持ち合わせていないのが実情です。オーストラリアやニュージーランドといった国は、ブラジル経済と比較にならないほどの経済規模ですが、それぞれの通貨建てでのMMFは一般的な存在であり、誰もが両国の通貨の推移を簡単に知ることができます。
そこで、私がよく利用しているのが、HSBCの上場投信の基準価格です。データを追っているのは、ブラジルオープンという投資信託で、私の頭の中には、同投信の基準価額が2010年に12,000円当たりで推移、その後、8,000円当たりまで下落しているというイメージがあります。もっとも、期近ではやや回復傾向を示しており、それは株価指数であるBOVESPAの回復とレアル高という二つの要因があります。上図は、そのブラジルオープンの基準価格と純資産の推移を示しています。私は、BOVESPAの推移から、期近での基準価格の上昇は、レアル高というよりも、BOVESPAの上昇による要因が大きいものと考えています。仮に、リオのオリンピックを前に、ブラジル経済が不測の事態を迎えれば、株価が急落するとともに、レアル相場も下落する可能性も十分にあり、引き続き、BOVESPAとHSBCのブラジルオープンの基準価額を追っていくつもりです。

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