2012年3月25日日曜日

オーストラリア経済の近況

オーストラリアといって、今すぐに思い出すのが映画「オーストラリア」です。この映画は、いつまでも魅力的なニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンというオーストラリアをルーツとする俳優が主演を演じる大河ドラマです。この中で、オーストラリア本土を爆撃したというシーンがあり、第二次世界大戦中に日本が行った行為が同国に与えた影響がいかに大きかったかを知らしめるものでした。戦後、わが国が、奇跡の復活を遂げるとともに、平和国家を築き上げ、世界の中でも一切の戦争行為をしていない数少ないの国の一つであることに誇りを持っています。そして、経済的な相互依存の関係が一層強化され、オーストラリアとの友好関係がより深いものとなることを切に希望します。
 ここからは、経済に話を戻します。オーストラリアの経済といえば、鉄鉱石、石炭、ウランなど鉱物資源に恵まれるとともに、広い国土を利用した牧畜、農業など産業が活発であり、資源国であるという印象が強い。もっとも、資源国であることで輸出が輸入を超過、貿易黒字の国ではないかと最近まで思っていました。しかし、実際は異なり、工業製品をもっぱら輸入に頼っていることから慢性的に経常収支は赤字となっています。一方で、財政は黒字であるという認識でしたが、2009年以降赤字を続けています。
 オーストラリア政府は、膨大な財政赤字に対して懸念を抱き、財政赤字解消に向けた税制改革案を浮上しているようです。2012年3月20日付日本経済新聞朝刊にオーストラリア政府による税制改革に関する記事(注)が掲載されていました。大まかな内容は、今回実施する税制改革は、外国企業を標的にしたものとされ、駐在員への住宅費や食費の補助金を非課税の対象から外すとするもので、影響を受ける駐在員は7万7千人にも上るとされています。豪ドルが、金利高に引っ張られた形で高止まり傾向がある中で、これは外国企業の負担増を意味しており、技能労働者の不足がさらに深刻化する懸念が出ているそうです。
 上図は、2001年の同国の財政・経常収支の推移を示したものです。図から経常収支の赤字はやや縮小傾向にありますが、財政赤字は深刻化していることがわかります。もっとも、名目GDPに対する財政赤字の比率は4%程度と日本、米国、欧州各国と比べて低い水準にとどまっています。しかし、経常収支が恒常的に赤字であることとから、常に海外からの赤字ファイナンスを必要としています。結果として、同国にはインフレ傾向があり、11年の消費者物価指数は3.4%と高止まりしていることからも、期近の原油高などを背景に難しい政策運営が求められます。
因に、同国は政策金利はここのところ2度引き下げられています。右図はそれを示したものです。これを反映して、豪ドル建てのMMFの利回りも4%台前半から3%台後半へと低下しています。同国準備銀行は、通貨高による輸出企業の減収を回避しつつ、資源高による国内インフレ率の上昇という、2つの相容れない問題に対処する必要があり、他の先進国にない機動的な政策金利の上げ下げをしている姿があります。同国の政策金利は、世界経済の先行指数とも言われます。昨今の原油、穀物など資源高を背景に、2009年の3%までの引き下げはないと思っています。
(注)記事の題目は、『豪税制改革、外資が標的』。

0 件のコメント:

コメントを投稿