ここからは、経済に話を戻します。オーストラリアの経済といえば、鉄鉱石、石炭、ウランなど鉱物資源に恵まれるとともに、広い国土を利用した牧畜、農業など産業が活発であり、資源国であるという印象が強い。もっとも、資源国であることで輸出が輸入を超過、貿易黒字の国ではないかと最近まで思っていました。しかし、実際は異なり、工業製品をもっぱら輸入に頼っていることから慢性的に経常収支は赤字となっています。一方で、財政は黒字であるという認識でしたが、2009年以降赤字を続けています。

上図は、2001年の同国の財政・経常収支の推移を示したものです。図から経常収支の赤字はやや縮小傾向にありますが、財政赤字は深刻化していることがわかります。もっとも、名目GDPに対する財政赤字の比率は4%程度と日本、米国、欧州各国と比べて低い水準にとどまっています。しかし、経常収支が恒常的に赤字であることとから、常に海外からの赤字ファイナンスを必要としています。結果として、同国にはインフレ傾向があり、11年の消費者物価指数は3.4%と高止まりしていることからも、期近の原油高などを背景に難しい政策運営が求められます。
因に、同国は政策金利はここのところ2度引き下げられています。右図はそれを示したものです。これを反映して、豪ドル建てのMMFの利回りも4%台前半から3%台後半へと低下しています。同国準備銀行は、通貨高による輸出企業の減収を回避しつつ、資源高による国内インフレ率の上昇という、2つの相容れない問題に対処する必要があり、他の先進国にない機動的な政策金利の上げ下げをしている姿があります。同国の政策金利は、世界経済の先行指数とも言われます。昨今の原油、穀物など資源高を背景に、2009年の3%までの引き下げはないと思っています。
(注)記事の題目は、『豪税制改革、外資が標的』。
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