2012年2月6日の米大統領選の共和党予備選・党員集会のやま場であるスーパーチューズデーの結果が判明しました。開票の結果、10州のうち6州を制した穏健派のロムニー氏が引き続き優位であるようにみえます。しかし、2月7日付けのNHK午後7時のニュースでは、人口構成で全米の縮図とされるオハイオ州での指名争いで2位をいくサントラム氏との差が1ポイントと僅差であったことから、共和党の候補者選びが長期化の様相を呈していると解説しています。
米共和党の場合、通常ならば候補者選びが長期化すればするほど、有権者の関心が高まり、大統領選で優位に働くそうです。しかし、今回の指名争いでは、史上最悪の中傷合戦が展開されており、候補者の印象が長期化するほど悪化すること、失業率が低下するなど米国の景気に明るい兆しがみえてきている中、オバマ大統領の支持率が持ち直していることから、共和党にとって今回の長期化はマイナスに作用するとしています。開票結果は、ロムニー氏が勝ち切れなかったというもので、オバマ大統領に対抗できる候補であるされる同氏が、保守派の間での支持率が低いこと、景気回復に対する具体的な提案がなされていないことなどが背景にあるとされています。最悪の場合、共和党の指名争いは、2012年8月に開かれる共和党大会にまで持ち越される可能性も出てきており、今後、同氏が米国をより良い方向へと導きことができる道筋を如何に具体的に提示し、保守派層での支持を如何に獲得するかがポイントとなります。
因に、米国では保守派はロムニー氏嫌いといわれています。ここで、米国における保守派とは何かという疑問が生じます。米国の保守派に関して分かりやすく記述している記事
(注)が、『週刊東洋経済』2012年3月10日号に掲載されていましたので一部を紹介します。同記事によれば、1950年代に「保守主義」という言葉が使われるようになったそうです。リベラリズムや理想主義が社会的混乱をもたらしたとし、ユダヤ・キリスト教倫理に基づく秩序の復興と階級社会の必要性を訴えたとされるのが「伝統主義者」です。もう一方に経済的自由こそが自由の基礎であると主張するリバタリアン(市場主義者)があって、両者をもって保守派の本流であるとしています。その後、両者の意見が対立するものの、「融合主義」という考えが主張される中で、思想的な対立が克服され、現在では保守派の「エバンジェリカル(福音主義者)」を取り込みという形で、政治力を発揮するようになっています。その政治運動の矛先にあったのが共和党であり、以降、共和党=保守派というイメージが強くなっています。保守派とはいっても米国では色々な主義主張があるようです。以下が大まかな分類です。
- 倫理や社会秩序を重視する「社会的保守主義者」
- 小さい政府や減税を主張する「財政的保守主義者」
- 規律緩和と自由競争を旗印にする「リバタリアン」
- 外交的タカ派の「ネオコン」
- 孤立主義を主張する「ペイリオ・コンサーバティブ(超保守主義者)」
このうち「ティーパーティー運動」は共和党主流派に反発した「財政的保守主義者」の運動だそうです。私の印象からして、伝統的に米国の共和党選出の大統領は、日本にとってプラスとされています。しかし、私を含めて日本人にとって馴染みがないのは、むしろ米国の保守派の人々であり、彼から支持する政党こそが米国の共和党です。
(注)題目は『保守主義と共和党』。
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