2012年3月4日日曜日

続く所得の減少

久しぶりに家計調査をチェックしてみました。ここ数年、名目GDPの増加するケースが少なくなっています。2011年第3四半期で、実質GDPが509兆円であるのに対して、名目GDPは469兆円にとどまっており、その差(ギャップ)は40兆円にも達しています。名目GDPは、2007年の513兆円のピークとの比較で8.5%も減少しています。名目GDPが減少している中で、名目の所得額を伸ばすということは厳しく、家計調査にもそのことが現れています。
家計調査とは、総務省が行っている調査で全4,700万世帯から約9,000世帯を抽出し、収入・支出など家計の実態を把握するためのサンプル調査です。2002年からは家計の貯蓄や負債も調査対象となっています。右図は、家計の年間収入、貯蓄・負債現在額、純貯蓄の推移を表しています。平均値ですが、2002年に748万円あった年間収入が、2010年には697万円と減少していることがわかります。家計調査にはややくせが統計であるといわれていますが、家計調査からも所得の減少傾向をはっきり読み取ることができます。
 ここで、注目したいのが、純貯蓄がマイナスとなっている点です。これは、グラフのデータが平均値をとっていることに起因するものです。つまり、年間収入額等の世帯別の分布は、収入額等が少ない方の世帯の絶対数が多く、平均値が上へ振れることによるものです。図示すれば右図のようになります。この平均値の性格を踏まえた上で、貯蓄現在額と負債現在額から次のことが推測されます。つまり、年間収入が少ない世帯ほど、収入に比して貯蓄額が少なく、逆に収入に比した負債額が多くなっているということです。そして、これを裏付けるのが次の図です。
図は、年間収入五分位階級別貯蓄・負債現在額を示したものです。これは、年間収入の額に応じて下位から5つの階級に分け、5つの階級ごとの平均値を出したものです。このデータでは、それぞれ階級ごとに平均値が算出されていることから、純貯蓄もマイナスになっていないことがわかります。因みに、対象とするデータは上記のものと同じですが、取り扱いによってこれだけの違いが生じるのです。これは統計を扱うときは、常に統計ごとの「クセ」を知っておく必要があることを端的に示しています。
そういえば、「平均」といえば、最近、日本数学会が実施した「大学生数学基本調査」が話題になり、NHKでも報じられました。小学校6年生で習う「平均」の考え方を習う問題を4分の1もの大学生が間違えたそうです。同学会の理事長は、いわゆる「ゆとり教育」や学力試験を課さない推薦入試が増加したことが背景にあると指摘しています。英語教育ばかりに力が入り、論理的に物事を理解するツールをないがしろにした結果です。

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