先日、iPadが中国の一部地域で販売ができなくなりました。iPadの商標を持っているとされる中国企業からの商標の買い取りが適切ではなかったということで、中国の裁判所が販売の差し止めをアップル側に求めたという結果でした。商標のやり取りで中国企業とアップルのやり取りがどのようであったかは不明ですが、海賊版やコピーまがいの商法がはびこっている中国に言われたくはないというのが、私の本音です。日本の農産品のブランド名も既に商標登録されているケースが多々あるそうで、中国へと進出する際は、中国企業よる商標登録に注意しなければならないのが実情です。このブログはGoogleの提供するサービスですので、中国からのアクセスは不可能でしょうが、今さらiPadの商標についてクレームを付けるのはどうかとは思います。米政府と中国政府との政治解決が望まれるとろこです。もっとも、iPadが仮に生産停止に追い込まれたのならば、一番損をするのは、中国の労働者です。iPadは大手EMSであるフォックスコンの中国工場で製造されているからです。
今日のブログは、上記のような知的所有権である特許に関するものです。2012年3月6日付日本経済新聞朝刊に『特許、世界共通化に着手、日米欧など中国取り込む』という見出しの記事が掲載されていました。記事の大まかな内容は、日本、米国、欧州、中国、韓国の間で、特許の共通化に向けた協議に入るそうで、出願をする前に発明や論文作成した発明者の救済や審査中の特許技術の公開など40項目が対象となるというものです。さらに同記事では、世界の年間の特許出願数は200万件近くに及ぶこと、このうち外国への特許出願が4割を占めており、国によって制度が異なるため、様々な弊害があることを示唆しています。
ここで、面白いのは、世界経済のリーダーである米国では、特許出願よりも発明した時期の方が重視していたことです。突然特許が認められるにより米国に進出した日本企業が不意に巨額な賠償金を請求されるというケースがあり、日本企業の法務担当が苦労していることが、NHKの「クローズアップ現代」で紹介されていました。このことを「先発明主義」といい、2011年9月に米国も方針を転換し、「先願主義」へ移行、このことが契機となり、特許出願の共通化が急がれるという結果を招いているようです。
また、上記記事には、2011年の特許出願件数で、中国は米国を抜き、世界1位となったという記述がありました。しかし、ここで注意しなければならないのは、特許そのものの価値です。以前、日本経済新聞夕刊の記事で、特許の価値をデータ化したものが掲載されていました。その時トップであった企業は、米IBM社で、2位がキャノンであったと記憶しています。残念ながら、その時の記事は手元にありませんので、今日はPatent Resultのホームページからデータを引用します。さすがに、知的所有権に関することを書いていますので、データそのものが記述されている表ではなく、分かりにくいのですが、グラフにしました。このデータによると、キャノンは、第7位である一方、大赤字で苦しんでいるパナソニック、ソニーが1位、2位を占めるという結果となっています。特許の資産価値の査定には、色々な方法があると思われます。上記データも一定のスキームに従って作成したものでしょう。しかし、私の感覚としては、キャノンがパナソニック、ソニーに劣っている点は信じがたいことです。もっとも、パナソニック、ソニーが手掛けて事業分野がキャノンよりも広範囲であるという点を考慮すれば、上図の結果も納得がいきます。
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