CDSとは、クレジット・デフォルト・スワップの略で、CDSの買い手は、手数料を支払う対価として、もし投資先がデフォルトした場合、その元金について、CDSの売り手から元本相当額の支払いを受けることができる。一方、CDSの売り手は、投資先がデフォルトした時、売り手に元金相当分の支払いをする義務を負うこととなるものの、その対価として手数料を得ることができる。CDSの買い手と売り手との間でやり取りされる手数料率は、市場で決定され、デフォルトリスクの拡大に伴って手数料率は上昇、逆にデフォルトリスクの減少に伴って手数料率は低下することとなる。このCDSの指標として参考になるのは、日本経済新聞の投資欄に掲載されているiTraxx Japan5年という指標があります。これによると、2012年3月12日の実勢価格は141.00ポイントで、前日と比べて2.00ポイントを上昇していることがわかります。昨年の10月19日時点での実勢価格が191.58ポイントであったことから、かなり低下していることがわかります。これは、2012年に入って、日本のデフォルトリスクがやや減少し、それに伴いCDSの実勢価格も低下していることを意味しています。
このCDSに関して、『週刊ダイヤモンド』2012年3月17日号に『欧州債務問題、米国に飛び火すれば危機連鎖も』の題目の記事が掲載されていました。この記事によると、ギリシャ国債の民間保有分約2,000億ドルのうち、合意通り53.5%カットされ、1,070億ドルの減額となった場合、CDSの主な売り手である、米銀に影響を与える可能性が出てきていることを記述しています。また、債権の減額には、債権者の9割が同意することが条件となっているが、期近の記事では6割程度にとどまっており、ギリシャ政府が仮に合意への参加率を高めるため、多数決による強制的なカットを実施すれば、「集団行動条項」と呼ばれるものが新たな問題を引き起こす可能性をがある旨示唆しています。これが発動されると国際組織であるISDA(国際スワップデリバティブ協会)からギリシャ向けの債権はデフォルトとみなされることとなり、その時CDSが有効となる。そして、欧州の金融機関による欧州周辺国(ギリシャやポルトガルなど)への投融資が5,220億ドルに達しているものの、米銀を売り手とするCDSによりカバーされるいる実態が、BIS(国際決済銀行)などの資料により明らかになりました。ギリシャ国債が強制的に減額された場合、最大の損失を被るのが米銀であり、その額は何と5,000億ドル(約40兆円)にも及ぶそうです。ガイトナー米財務長官が大慌てで欧州に乗り込み、解決を迫った背景には、このCDSの問題あるそうです。
私は、この記事を帰宅する途上に読んでいました。読んだ後の感想は、「やばい」の一言です。今、米ドル建ての資産が私のポートフォリオに占める割合が、米国の経済規模に比して低いと考え、米ドル資産の買い増しを進めているところです。仮に、CDSが発動された場合、米国の株式市場はかなりの打撃を受けることは確実であり、やっと終わりかけていた超円高の流れが反転し、さらなる円高へと進む可能性がまだまだあることがわかりました。やはり過ぎたるは猶(おな)及ばざるが如しですね。今後、CDSの実勢価格などに注視していきたいと思っています。
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