それは、2012年3月25日付毎日新聞朝刊を行きつけの喫茶店で読んでいる時でした。日本化学会が2012年2月に『30年後の夢のロードマップ』を発表した旨の記事が掲載されており、その中に人工光合成の実現が含まれていることに驚きました。2008年4月号の「ニュートン」に、光合成のメカニズムの中で、どのように水を分解しているかが解明されていないとのことのこと説明されていました。以下「ニュートン」の引用文です。
『水分子から生じた酸素原子は、結合して酸素分子となり、大気へ放出される。それこそが、私たちが呼吸の際に吸いこんでいる酸素なのだ。この記事を読んでから"光合成はまだ解明されていない"と思い込んでいました。しかし、人工光合成の実現がロードマップにあることから、もしやと思い、慌ててウェブで確認してみました。すると、2011年4月に「光合成における水分解」が解明されたことが、大阪市立大学のホームページに記載されていました。ついに、光合成の全容が解明されたのです。以下にホームページ記載の記事の引用です。
ただし、水分子がどのようにして分解されるのか、正確なことはわかっていない。下の実験(乾電池を使った水の電気分解の実験)のように、水を分解するには電源(乾電池)が必要なはずだが、植物はどこに電源をもっているのだろう。実は、植物による水の分解は、"光合成に残された最大のなぞ"といわれている。その解明に向けて、世界の研究者が研究をつづけている』
『大阪市立大学・複合先端研究機構の神谷信夫教授(物質分子系専攻)と岡山大学大学院自然学研究科の沈建仁教授(バイオサイエンス専攻)らの研究グループは、光合成において光エネルギーを利用し、水を分解して酸素を発生させる反応の謎を解明しました』マンガン原子4個、カルシウム原子1個、酸素原子5個で結合された金属・酸素クラスター上で進行していることは分かっていたものの、正確な化学組成と詳細な原子配置が明らかになっていなかった。昨年の話ですが、このほど化学組成と原子配置が解明されたそうです。そして、この水分解によって発生した酸素は放出される一方で、取り込まれた水素イオンが、世界最小の分子モーターであるATP合成酵素を1秒間に17回回転させるエネルギーとなるのです。
水分子のうち酸素が排出される一方で、取り込まれた水素は光合成の中で重要な働きをするのです。今後の経済を語るに当たってやはりキーポイントとなるのは、「水」だと感じました。水がなければ植物は光合成をすることができないのです。バーチャルウォーターを考慮した場合、日本の水資源の自給率は100%を下回っているそうです。特に、農業用の水確保は安定的な世界情勢を確立する上で重要であり、チグリス・ユーフラテス川におけるイラクとトルコの対立に代表される国際河川の水管理は議論を要するところでしょう。上図は、ニッスイアカデミーのホームページに掲載されていた『世界の水資源の動き』というリポートから抜粋したデータです。1995年に35,720億トンであった水の需要が、2025年には49,120億トンまで増加することが示されていました。3月26日の『世界の森林資源』に綴ったように、水を如何に確保すること、そして水を如何に効率的に利用するかが大切なことになってきました。
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