もっとも、本国であるインドは、数字が表している以上に厳しい現実があります。『週刊エコノミスト』2012年4月17日号にインドの貧困問題に関する記事(注)がありましたので、引用させていただきます。以下引用文。
『インド政府はこのほど、貧困層の人口推計値を発表した。2009年度の貧困層人口は3億5,500万人と全人口の30%で、5年前の37%から7%減少したとはいえ、なお多くの貧困者を抱えていることになる。貧困層の割合は州により大きく異なり、最低9%から最高54%まで大きくばらついている。インドでは、世界一華やかな結婚式が有名です。一方で、経済発展から取り残され、貧困状態にある人々の数でも世界一です。経済発展は望ましいといえますが、貧困問題を解決した上でなければなりません。右図は、主要国の人口推計を表したものです。2020年時点でインドの人口は中国と並び、2050年にはインドの人口が中国を4億人も上回ると推計されています。注目すべきは、インドと宗教的には異なるものの、英国の旧インド領であったバキスタン、バングラデシュを合わせた人口です。2010年で15億4千万人であったものが、2050年には21億6千万人になります。これら3国に共通しているのは、貧困問題が解決していないことです。すぐにでも富める国からの貧困撲滅に向けた支援がなければ、取り返しのつかないことになるでしょう。
この推計では、貧困層の定義が問題になる。今回使われた定義は、カロリー摂取に必要な食糧支出、教育支出及び医療支出の額によって設定されている。だが、1人1日当たり支出額に直すと、都市部で29ルピー(約47円)、農村部で22ルピー(約37円)になり、とても生活できる金額ではないとの批判が上がっている。つまり定義次第では、貧困層はもっと増えるということだ。(中略)
インドでは、交差点にいる裸足の物乞い、ほとんど豆の入っていない豆カレーを食べる家族など、あちこちに貧しい人々の存在を感じる。一方、貧しさを生む状況は一律ではないので、本来は貧困層の定義も一律にする必要はない。貧困家庭それぞれに届くような対策プログラムが望まれる』
(注)記事のタイトルは『インド、貧困層が人口の30%、定義次第でさらに膨らむ』。渡辺泰介(JICAインド事務所次長)。
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