そうした中で、注目される企業とは、まず第一に端末メーカーそのものである米国のアップルや韓国のサムスン電子です。もっとも、スマートフォンの定着に伴い、一般の人々にも目にするようになった企業があります。それは、米クアルコム社です。同社は、CDMA携帯電話用のチップをほぼ独占しており、好調な業績を維持しているようです。加えて、最近では、アンドロイド系のスマートフォンのCPUであるSnapdragonの設計メーカーであることが知られており、テキサスインスツルメンツ、NVIDIAなどと激しい競争をしているところです。一方、アップルのiPhone用のCPUであるA5チップはアップルの独自設計ということで、製造はサムスン電子です。
2012年4月19日付日本経済新聞夕刊に米クアルコム社の業績に関する記事がありましたので引用させていただきます。記事の題目は『米クアルコム売上高、過去最高を更新、1〜3月、スマホ追い風』です。以下引用文。
『【シリコンバレー=奥平和行】半導体大手の米クアルコム社が18日に発表した1〜3月期決算は、売上高が前年同期比27%増の49億4,300万ドル(約4,020億円)となり、四半期としては過去最高を更新した。純利益は前年同期比2.2倍の22億3,000万ドルだった。同社は米アップルなどスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の主要メーカーを取引先に持ち、スマホ市場拡大の追い風を受けた』これでも、実質1株利益、売上高とも市場予想を上回る水準であったものの、同社発表の2012年4〜6月期の1株当たり利益が市場予想を下回ったことから、18日の同社の株式は前日終値より7%も下落したそうです。右図は、日本経済新聞に掲載されたデータに基づき作成した、米クアルコムの業績です。売上高に対する純利益の割合の高さに驚きを感じます。この利益率の高さは、同社が設計に特化したファブレスであることです。余計な設備投資をせず、経営資源を設計に集中しているからこそ、出し得た利益水準だといえるでしょう。日本にもこのような経営スタイルをとっている企業がもっとあってもいいのではないかと思いますが、やはり製造部門を持ち続けることで、所得分配の公平さに結びつきますので、今のまま頑張ってほしいというのが、私の希望です。
米クアルコム社の設立に関する記事がネット上にありましたので、一部を紹介します。同社は、アーウィン・ジェーコブズとアンドリュー・ビタビにより1985年に設立された、まだまだ若い企業です。社名のQualcommは、qualityとcommunicationsの造語で、CDMA方式の携帯電話の実用化に成功して成長を遂げました。因に、1〜3月期に得られた携帯電話会社から受け取ったライセンス料は、18億600万ドルにも及ぶものの、減少したのに対して、携帯電話向け半導体の製造・サービスが54%増の31億3,700万ドルに達しています。同社は半導体そのものの製造が利益の中心となっているようです。
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