2012年4月23日月曜日

フランス大統領選と選挙制度

フランスの選挙制度を熟知しているわけではありませんが、今般、フランスで大統領選が行われ、社会党のオランド前第1初期とサルコジ現大統領の決選投票となりました。私が知っているフランスの大統領は、任期が7年と長いこと、議会で支持政党が野党になった場合、大統領は外交に徹することとなり、内政については議会の支持のもと首相が行うとのことです。そして、大統領選には、第1回投票というものがあり、1回目の選挙で一人も過半数の得票率を得ることができなかった場合、1位、2位で決戦投票となることです。
 右表が、2012年4月23日付日本経済新聞夕刊に掲載された開票の途中経過です。社会党のオランド氏がトップ、現フランス大統領のサルコジ氏が2位となっています。今のところ、1位のオランド氏優位で進んでいるとのことですが、二人の得票率が僅差であることから、逆転劇もあるのではないでしょうか。ところで、この結果は、ある意味驚くべきものです。悪名高き、移民排斥を主張する国民戦線を率いるルペン氏の得票率が18%にも達しており、フランス国民のかなりの割合が移民排斥について同調的であるという結果となっています。もっとも、この比率が大統領選の第1回投票率のみで現れる現象ではありません。フランスの議会選挙でも国民戦線がある程度支持されており、移民問題がフランス国民にとって最大の関心となりつつあります。
しかし、フランスの国民議会(下院)の現有勢力はこのような結果になっていません。これは、大統領選の時期がフランス議会選挙とズレているからだけではありません。仮に国民戦線が大統領選と同様の得票率を得たのならば、総議席のうち577のうち103議席を得ることとなります。そうすれば、首相の選出に当たっては、移民排斥を主張する政党の意向を無視することはできず、現時点で、とんでもない事態になっていることでしょう。これからは私が聞いた知識です。フランスの国民議会選挙は、大統領と同様に、第1回目の選挙で過半数を得られなかった場合、決選投票になるそうです。そして、この決戦投票で、仮に国民戦線と社会党の決戦投票となった場合は、国民運動の方が社会党側を支持し、逆に国民戦線と国民運動の決戦投票となった場合は、社会党が国民運動側を支持することが行われているそうです。結果、国民戦線は第1回目の得票率ほどに議席を得ることがないのです。
 フランスの場合、極右が議会を席巻する事態を回避するための急場しのぎであるともいえる状態です。悪い意味で民意が反映されていないことになっています。一方、日本の場合、自民党にせよ、民主党にせよ、移民排斥など極端な主張をする政党は少なく、政治的には似通っている点があることが、今般の民主党政権の登場により証明されました。ならば、フランスのような決選投票を考慮した小選挙区制の導入も考えてもいいのではないでしょうか。そして、なによりも首相を直接選挙にすることです。首相は議会選挙によるものと考えがちですが、イスラエルなどでは、実は首相が直接選挙により選ばれています。国民が総意で選んだのだから、当面は自分が選んだ首相を支持するという状況が生まれれば、政治主導の政局運営ができるのではないかと考えています。わが国も早急な選挙制度の改革が求められるところです。

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