こうした中で、欧州連合統計局が2011年中の財政状況を発表しました。右図がホームページで発表されたデータに基づき作成したグラフです。グラフで挙げた国々は、欧州主要国というよりも、注目国と記述した方がいいようですが、いわゆるPIIGS、欧州の経済大国であるドイツ、フランス、イギリスを比較してみました。次の危機は、スペインだという指摘があり、2012年4月23日付日本経済新聞朝刊にも『スペイン、7.3ポイント悪化』という見出しの記事が掲載されていました。そこで、スペインに関して記述されている部分を引用します。以下引用文。
『市場参加者が注目するスペインは、財政赤字がGDP比8.5%でEU内で3番目に大きく、債務残高は68.5%と7.3ポイント上昇。サパテロ前政権は同年の財政赤字は6%と計画していた。ラホイ現政権は12年に財政赤字を5.3%まで低下させる方針で、医療や教育分野での歳出削減策を発表したが、市場では銀行部門の救済などで財政状況が一段と悪化するとの懸念が消えない』私は欧州債務危機についてやや疑問に思う点があります。欧州連合統計局発表のデータをチェックしていると、GDPに対する債務残高の比率が急速に上昇している点です。2011年のデータを2008年からの比較すると、悪いと指摘されているスペインは、28.3ポイントも上昇しており、財政状況が急速に悪化していることはよく分かります。しかし、ギリシャの52.3ポイントの悪化は不正会計があったことから論外として、アイルランド64ポイント、ポルトガル36.2ポイント、イギリス30.9ポイントの悪化と、悪化の程度が大きいことが特筆される点です。短期間にこんなに悪化する原因は一体何かという疑問が残るとろこですね。
ここでアイルランドのデータをみてみます。同国のGDPに対する2010年の政府支出の比率は前年から何と18ポイントも悪化、前年の48.8%から66.8%へと上昇しています。つまり、当時、金融立国であった同国の債務危機は金融危機に起因するものであると推測されます。そして、スペインが危機であると指摘されているのは、日本経済新聞と同様の論調となり、スペインの銀行の危機が払拭できていないからだと推測されます。以前、スペインの金融についての特集番組をみたことがあります。そこには、低金利の円で資金を市場から調達し、高金利でスペイン国内で貸し付けるという実態を映し出しものでした。米国から欧州へと飛び火したバブル崩壊と金融危機の背景には、意外と日本発の過剰流動性があるかもしれませんね。
0 件のコメント:
コメントを投稿