英国の市場調査カナリスによると、2011年第4四半期の販売台数で、スマートフォンがパソコンを上回ったようです。パソコンの販売台数は前年同期比16.3%増の1億2,020万台と好調であったものの、スマートフォンの勢いは止まりません。スマートフォンの販売台数は、何と同56.6%増の1億5,850万台にも達し、パソコンだけという時代は終焉を迎えつつあります。通年でも、パソコンが4億1,460万台にとどまる一方で、スマートフォンは4億8,770万台とスマートフォンが独走状態に入っています。それならば半導体業界でも激震が走り、パソコンのCPUの製造で業界トップのシェアを有する米インテルの半導体全体でのシェアが低下することが予想されます。
しかし、事情は異なるようです。昨年の半導体シェアに関する記事が、2012年3月27日付日本経済新聞夕刊に掲載されていました。記事の題目は『昨年の半導体世界シェア、インテル、過去11年で最高』で、米インテルの好調さを示唆しています。記事によると、同社は付加価値の高い製品の販売を増やしたこと、独社から携帯電話用半導体の事業を買収したことが寄与し、シェアが前年比で2.5ポイント上昇し、過去11年で最高の15.6%にまで伸ばしたそうです。付加価値の高い製品とは何か分かりませんでしたが、携帯電話用半導体を手掛けたということは注目に値します。パソコンの成長に限界がみられる中、今後、同社がスマートフォンなどのCPU製造に手掛けることは予想されます。ウィンドズフォンなどを土台にすることが近道ですが、アップルのMacのCPU供給を一手に手掛けているという実績を買われて、iPhoneへのCPU提供などもあっていいのではないでしょうか。特に、MacのOSであるOSXとiPhoneのOSであるiOSが徐々に親和性を高めていのます。ならば、iPhoneのCPUにもインテルが供給してもおかしくないと思います。そして、どういう形になるか分かりませんが、同部門でトップシェアを誇るクアルコムに挑むことは十分に考えられます。因に、クアルコムは世界シェアは1ポイント上昇の3.3%にとどまっており、スマートフォンの原価に占めるCPUの割合が小さいことが伺えます。
ここで、驚くのは、半導体最大手とインテルといえども、そのシェアは15.6%にとどまることです。業界2位のサムスン電子は、DRAMでは圧倒的に強いものの、フラッシュメモリーではシェア4位の東芝と激しいシェア争いをしています。特に、アップルとサムスン電子が繰り広げているスマートフォンの訴訟合戦の影響で、アップルがフラッシュメモリーをサムスン電子以外から調達する可能性もあり、東芝の大逆転の可能性も否定できないでしょう。そして、業界3位のテキサス・インスツルメンツとルネサスエレクトロニクスはASICで強いようです。ASICとはApplication Specific Integrated Circuitの略で、特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路の総称です。つまり、DRAMやフラッシュメモリーとは異なり、ASICとはプログラミングが書き込まれた半導体のことです。このほか、日本企業で活躍しているのは、日亜化学工業があり、発光ダイオード(LED)の需要拡大を背景に、売上高を34.1%増加させています。
半導体市場は、今や3,000億ドルを超える市場規模に達しています。DRAMやフラッシュメモリー、CPUなどに目を奪われがちですが、半導体には色々な種類があり、特殊な部門に特化した企業が多いのです。
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