日本とイランとの関係は決して悪くないと考えています。石油メジャーが原油市場を牛耳っていた時代、出光が日章丸を極秘裏にイランへと派遣、撃沈の可能性があったという話を聞いたことがあります。その後、イラン・イラク戦争で、断念せざるを得なくなったイラン・ジャパン石油化学(IJPC)の件は、アメリカの陰謀めいたところがあります。しかしながら、今のイランは、核問題を抱えていることから、米国主導のイランへの制裁にはやむを得ないでしょう。これ以上の核兵器の拡散は危険であり、イランはIAEAの核査察を全面的に受け入れるべきです。イラン国内での石油消費を考慮すれば、原子力発電への投資は理解できないことはありませんが、IAEAの査察を受けた上、核兵器への転用がきかない軽水炉による原子力発電にとどめる必要があります。
もっとも、イランが強行姿勢に転じた責任は、米国にあります。保守派のアフマディネジャド現大統領の前は、改革派のハタミ氏が大統領を務めていました。同氏は米国や西欧諸国との関係改善に力を入れていた大統領でした。同氏の大統領任期中に、米国は同国との関係改善に進めるべきであったことは周知の事実であり、結果として現在の不安定な中東情勢を招いたといえます。
2012年3月21日のNHKの報道で、わが国は、米国防授権法の対象外とされました。一方、中国は制裁の対象国のままであり、今はほっとしているところです。上図は『週間エコノミスト』2012年2月14日号に掲載されていたデータをグラフ化したものです。こうしてグラフにしてみると、中国の原油輸入量のいかに大きいかががよく分かります。日量543万バーレルが原油輸入の11%に過ぎません。中国は原油獲得のためには何でもするという印象が強く、今後、米国との対立は避けられない気がします。
(注)イランにもキリスト教信者はいると思われますので、「イスラム諸国」という表現は適切かどうかはやや疑問が残ります。あくまで、イスラム教徒が国民の大多数を占めるという意味で「イスラム諸国」とします。
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