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2012年10月31日水曜日

減速するロシア経済と存在感を増すシェールオイル

 先日、NHKのドキュメンタリーでシェールオイルについての報道がありました。少し前までは、米国でシェールガスの生産に成功し、膨大な埋蔵量と産出量からシェールガス革命と言われていました。次は、本命とされるシェールオイルの開発にも成功、順調に生産規模を拡大させているそうです。

 アメリカ国家石油査問委員会では、2011年9月に驚くべき報告書を発表しました。同番組によれば、北米大陸における豊富な石油・天然ガス資源の可能性を示唆、『革新的なテクノロジーが膨大な石油と天然ガスを解放した。おそらく多くの人々を驚かせるのはアメリカの石油資源が、これまで考えられた以上に膨大だということだ』としています。そして、レポートでは、2035年には、これまでの原油にシェールオイルを加えた生産量は、カナダを含む北米大陸で日量2200万バレルに達するとの推測を示しました。この量は、現在の原油生産1位のロシアと2位のサウジアラビアの合計を上回る驚異的な数字であり、エネルギー生産の根本的な流れを変える可能性があります。そして、石油・天然ガス産業は米国経済の活性化、数百万人の雇用の創出にな不可欠な存在であるとともに、政府に膨大な利益をもたらす、とまで言っています。

 しかし、この量が新たに加われば、下落してもおかしくないのですが、原油価格は高止まりしています。米国では、90年代1ガロン1ドルであったガソリン価格は、4ドル台まで上昇しており、庶民の財布を直撃しており、一部では石油会社が暴利を貪っているという指摘もあります。実際は、原油価格の高止まりは、シェールオイルの掘削コストに原因があるようです。サウジアラビアでの原油の掘削コストは開発費も含めて、1バレル当たり5ドル程度ですが、シェールオイルの掘削コストは、1バレル当たり70〜80ドルに達します。ここで、原油価格が60〜70ドルまで下がれば、シェールオイルの生産が減速し、原油価格が下げ止まり、逆に上昇すれば、生産が活発化することが背景にあります。結果として、シェールオイルの開発コストが原油価格の底値をつくり出しているのです。
 原油価格1バレル当たり150ドル超かと思われた時期が、リーマン・ショック直前までありました。その原油高の影響もあって絶好調だったのがロシア経済です。しかし、シェールオイルの存在から、原油がかつての水準になる可能性はほぼなくなり、むしろ天然ガス価格の底割れがロシア経済を直撃しているようです。天然資源依存では、高い成長を維持することが困難になっており、民間投資を呼び込むなどの内需活性化策が求められています。原油価格とロシア経済に関する記事が、2012年10月25日付日本経済新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『ロシア陰る成長、GDP7〜9月2.8%増に鈍化、内需低調』です。以下引用文。
 『【モスクワ=石川陽平】ロシア経済の成長鈍化が鮮明になってきた。7〜9月の国内総生産(GDP)の伸び率は前年同期比に比べ2.8%にとどまり、4〜6月の同4.0%から低下した。けん引役の投資や個人消費など内需に陰りが出て、石油など資源輸出に頼る成長モデルも限界に達しつつある。同じBRICs諸国の中国やインドに続くロシアの景気減速は、世界経済の新たな懸念要因になりそうだ。(中略)
 ロシアではGDPの約2割、輸出の6割超を石油と天然ガスが占め、内需への影響が大きい。これまでは1バレル110ドル前後に高騰した原油価格が景気浮揚を支えたが、油価が上がる余地は小さく、今後の押し上げ要因にもなりにくい。クドリン前副首相兼財務相は9月下旬「(ロシア経済は)停滞の瀬戸際にある」と指摘した』
 天然ガスの生産では、米国がロシアを上回るという事態になりました。結果、米国へと輸出されていたカタールの天然ガスが余り、ヨーロッパ市場へと流れ込みました。これまで、天然ガスをロシアに過度に依存していたヨーロッパ諸国は、ロシア依存から脱却できました。これに、ヨーロッパ諸国の景気低迷が加わり、それがロシア経済を直撃した格好となっています。ロシアは、中国、日本などアジア諸国に目を向け、新たなる資源外交を展開しようとしていますが、むしろ日本などは米国からシェールガス輸入開始に向けた準備を進めており、商社などが積極的に活動しています。
 資源依存からの脱皮こそが、ロシア経済が順調に成長するカギです。今後のロシアの出方に注目されます。もっとも、シェールガス、シェールオイルの生産には、フラッキングという技術が使われます。このフラッキングには、化学物質を含んだ大量の水を使用します。この化学物資により地下水を汚染されるという危険が指摘されています。石油会社も、化学物質に何が含まれているか、企業秘密から明らかにしていません。資源大国を目指す米国の原油生産の順調な拡大にはやや問題があるようです。かつての超大国と、かつての唯一の超大国であるロシアと米国が、ともにエネルギー生産に左右される経済体質になっているのが驚きを感じます。

2012年5月15日火曜日

原油価格とエクソンモービルの株価

私は、先のブログで電力株を保有していることについて書きました。そして、震災後、株価下落により、大打撃を受けるという結果となりました。因に、電力株の具体的な会社は、中国電力です。中国電力は、本社が広島市にあるせいなかのか、沖縄電力を除く、電力会社の中で、最も原発による発電量の比率が低くなっています。そして、島根原発の検査に関して不備があり、2010年もしくは2011年の原発の発電の実績は、全発電量の3%にとどまっていると記憶しています。
中国電力は、今回の原発全停止による損失が最も小さい電力会社であることも事実です。余剰電力を、危機的な関西電力へと回せる余裕もあることから、今年の夏には、電力を安定供給する責任を果たすべく同社の貢献が期待されるとろこです。もっとも、逆に意味では、同社は、もともと化石燃料に依存する割合が大きく、原油価格の上昇はコスト面で圧迫、ここ数年の業績低迷に直撃していていたという経緯があります。こうした状況で、私が考えたのは、原油価格の上昇によるポートフォリオの毀損に対応するために、原油価格の上昇がプラスとなる手段をポートフォリオに付け加えることでした。原油先物などに手を出すことは到底不可能ですので、原油価格の上昇にリンクして、株価が上昇する銘柄があればということで、銘柄の選定に入りました。そして、私が目をつけたのがエクソンモービルでした。
エクソンモービルに関する記事が、2012年5月4日付日本経済新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『欧米石油大手、投資12%増、新興国の需要増にらむ』です。以下引用文。
『欧米石油大手5社が石油や天然ガスの開発・生産を強化する。2012年の総投資額は最大で前年比12%増の1367億ドル(約10兆9000億円)に達する見通し。新型ガスや石油の増産に沸く北米に加えアフリカやロシアなどで大型プロジェクトが相次ぐ。12年1〜3月期決算は各社とも業績が伸び悩んだが、新興国を中心とする需要増をにらみ、高水準の投資を続ける。(中略) 各社の1〜3月期の業績は北米のガス価格下落の影響などで伸び悩みが目立った。米国でのガス生産量が最も多いエクソンの純利益は前年同期比で11%減少。一方、アラスカでのガス資産を売却したシェブロンは増益を確保。シェルも東日本大震災後の日本向けLNG輸出の増加などが下支えし全体では小幅減益にとどまった』
 売上高は、原油価格の増加により比較的堅調だったようですが、純利益は5社の間で格差が生じているようです。エクソンモービルは、凄い会社で減益にも関わらず、2012年第2四半期で1株当たりの配当金を0.47ドルから一挙に0.57ドルへと大幅増配することが同社ホームページにて掲載されていました。もっとも、同社の1株当たりの利益は8.28ドルもあり、年間で2.28ドル(=0.57ドル×4)の配当をしたとしても剰余金は十分に確保できるというのが実態です。やや儲け過ぎという感は否めないでしょう。米大統領選でもガソリン価格が争点になっています。石油会社をターゲットとした課税が論争になることも理解できますね。しかし、このような格段の利益水準を維持できる企業が日本にあればというのが、私の本音です。だから、国内の石油会社に投資せず、海外の会社に投資した次第です。
それでは本題に戻ります。エクソンモービルの株価と原油価格はリンクしているかです。右右図は、2007年7月からの同社株式と原油価格(WTI、1バーレル当たり)の推移を示したものです。計量分析でどの程度説明できるかを示すこともできましたが、グラフだけでもリーマンショックがやや落ち着いたと思われる2009年に入ってからは、見事にリンクしていることがわかります。増配を継続的に行っているということが要因となっているかもしれませんが、原油価格の上昇は、エクソンモービルの株価を上昇させることとなり、結果、私のポートフォリオは安定することとなります。同社の株式を保有し、配当金を得ていると、悪徳資本主義に魂を売っているような気がしますが、あくまでポートフォリオの組み方という視点で書きましたのでご了承ください。

2012年4月13日金曜日

イランへの原油依存

私は、イランに対しては、イスラム諸国(注)の中でも比較的に民主主義が根付いている国といったイメージを抱いています。宗教指導者の支持がなければ立候補が禁じられるなど、選挙制度にはイスラム教国特有の性格があり、私には理解できない点もあります。しかし、大統領の3期連続の就任は禁止されており、事実上、3期目に突入したプーチン大統領の支配するロシアとは異なります。ロシアよりはイランの方が民主主義の国であるという認識です。因みに、今、イスラム諸国の中で最も親しみを持っているのは、インドネシアです。私は選挙戦が行われている最中のインドネシアに行ったことがあります。たまたま利用したタクシーの運転手が選挙に関心があったため色々と教えてくれました(偏った情報かもしれませんが)。利権がらみなどやや問題があるという印象もありましたが、きっちりと選挙が行われ、民意のもと大統領が選ばれています。
日本とイランとの関係は決して悪くないと考えています。石油メジャーが原油市場を牛耳っていた時代、出光が日章丸を極秘裏にイランへと派遣、撃沈の可能性があったという話を聞いたことがあります。その後、イラン・イラク戦争で、断念せざるを得なくなったイラン・ジャパン石油化学(IJPC)の件は、アメリカの陰謀めいたところがあります。しかしながら、今のイランは、核問題を抱えていることから、米国主導のイランへの制裁にはやむを得ないでしょう。これ以上の核兵器の拡散は危険であり、イランはIAEAの核査察を全面的に受け入れるべきです。イラン国内での石油消費を考慮すれば、原子力発電への投資は理解できないことはありませんが、IAEAの査察を受けた上、核兵器への転用がきかない軽水炉による原子力発電にとどめる必要があります。
もっとも、イランが強行姿勢に転じた責任は、米国にあります。保守派のアフマディネジャド現大統領の前は、改革派のハタミ氏が大統領を務めていました。同氏は米国や西欧諸国との関係改善に力を入れていた大統領でした。同氏の大統領任期中に、米国は同国との関係改善に進めるべきであったことは周知の事実であり、結果として現在の不安定な中東情勢を招いたといえます。
ここで、経済問題に話を戻します。日本は、中東から大量は原油を輸入しています。そして、イランからの輸入は、わが国の原油輸入量の10%を占めています。原発がほぼ停止し、化石燃料に発電を依存している、現在の日本にとって輸入先の選択肢が減るという事態は避けたいところです。一番気になるのは、中国とイランの接近です。日本がイランからの原油輸入を減少させている中で、結果としてシェアを高めるのは中国です。イランからの原油輸入を減らしている日本の姿勢は評価できますが、利するのが中国だけだという事態は避けなければなりません。
2012年3月21日のNHKの報道で、わが国は、米国防授権法の対象外とされました。一方、中国は制裁の対象国のままであり、今はほっとしているところです。上図は『週間エコノミスト』2012年2月14日号に掲載されていたデータをグラフ化したものです。こうしてグラフにしてみると、中国の原油輸入量のいかに大きいかががよく分かります。日量543万バーレルが原油輸入の11%に過ぎません。中国は原油獲得のためには何でもするという印象が強く、今後、米国との対立は避けられない気がします。
(注)イランにもキリスト教信者はいると思われますので、「イスラム諸国」という表現は適切かどうかはやや疑問が残ります。あくまで、イスラム教徒が国民の大多数を占めるという意味で「イスラム諸国」とします。

2012年3月2日金曜日

米景気に悪影響、ガソリン価格の上昇

米国は、車社会です。日本では若い人を中心に車離れが進んでいるといわれています。一方、国土が広大であり、公共交通機関の整備に膨大なコストがかかる米国社会にとって、依然として車は生活必需品であり、それゆえガソリン価格の上昇は国民生活に直接関わる問題であるといえるでしょう。
 2012年2月25日付日本経済新聞朝刊に米国のガソリン価格に関する記事がありました。記事によると、米エネルギー省発表の全米平均のガソリン価格は、レギュラーで1ガロン当たり3.59ドル(1リットル当たり76円)に達し、2011年9月半ば以来の高水準となったとしている。昨年の9月にもガソリン価格が4ドル間近まで上昇、米経済の下振れリスクとなったことからも、現在、失業率等の改善がみられ、ゆるやかな回復傾向がしめしている米経済に水を差す恐れがある。また、米国の家計の可処分所得に占めるガソリンに対する支出は大きく、これ以上のガソリン価格の上昇があれば、心理面でマイナス面が働きやすいと指摘している。
右図は、原油価格の推移を示しています。リーマンショック直前に原油価格は150ドル近辺にまで上昇、その後、30ドルまで下落しました。改めてグラフにしてみると、リーマンショック前後の原油価格の値動きは凄まじいものがあります。上記記述で問題となっている2011年9月のガソリン価格の高水準は、2011年4月に1バーレル当たり110ドルを超えた後、タイムラグを伴ってガソリン価格へと波及したことが図からわかります。天然ガスの自給率が高くなっている米国でも原油の輸入依存度は依然として高く、原油価格の上昇は日本と同様です。つまり、原油の場合、原油産出国から積み出しをして、長い時間をかけてタンカー等で自国まで輸送するため、このタイムラグが発生すると考えられます。イラン問題もあり、原油価格の高止まりが長期化する可能性は十分にあります。その結果、米国内でのガソリン価格上昇に歯止めがかからず、ひいては米大統領選にも影響を与えることが予想されことから、オバマ大統領が神経をとがらしている姿がうかがえます。
右図は、米金融当局による金融緩和の影響をフローチャートにしたものです。景気回復を狙った金融緩和は、米国の場合、結果として商品市況の上昇→長期金利上昇→ドル高へと結びつきます。最近、30年物の米国債の利回りは上昇傾向にあり、2%台後半であったものが、3%を少しばかり上回るという水準まで上昇しています。現在、円安が進行しているのは、米国における長期金利の上昇による日米金利差の拡大ではないかと私は考えています。日本による金融緩和とは異なり、世界通貨であるドル故、景気回復を狙った金融政策には限界があるといえるでしょう。