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2012年5月17日木曜日

回復傾向のみられる経済成長率

2008年9月のリーマンショック、2011年3月の東日本大震災、そして昨今の欧州債務危機を乗り越え、わが国経済にもやや明るい兆しがみえてきたようです。内閣府が2012年1〜3月期の国内総生産(GDP)の速報値を発表しました。発表によると、物価変動の要因を除いた実質GDPの成長率は、前期比1.0%増、年率換算で4.1%増となり、同時に発表された2011年10〜12月期の改定値がプラスになったことから、3期連続のプラス成長となりました。先日、EU統計局が発表したEU域内の成長率がゼロとなったことを考えれば、わが国経済は底を脱したともいえます。
この経済成長は背景には、堅調な個人消費があります。そして、この中心にあるのが自動車販売です。しかし、これを除いた個人消費は、旅行・レジャーなど一部で回復傾向があるものの、総じて弱いという結果となり、先行きの減速感は否定できないそうです。欧州債務危機に連動し、中国経済の減速感が指摘されており、輸出も予断を許さない状況にあります。さらに、円相場が高止まっており、東芝が国内のテレビ工場を閉鎖、全量を国外の工場で生産するなど、企業の海外への生産シフトも歯止めがかかっておらず、持続的な経済成長は難しいという環境にあるといえます。
右図は、実質経済成長利率(年率)と項目別の寄与度を示しています。こうしてグラフをみていますと、東日本大震災よりも、リーマン・ショックの方が、わが国に与えた影響が極めて大きくことがよく分かります。消費が慢性的に弱い中で、純輸出を如何に増加させるかが、持続的な経済成長のキーポイントであることは変わっていないのが事実です。中国経済が失速し、欧米経済の回復が芳しくなければ、今後の経済成長が鈍化する恐れは十分にあります。
 内閣府から発表される『国民経済計算』で私が個人的に注目しているデータがあります。それは、名目GDPの推移です。今回は、前期比で1.0%増、年率換算4.1%も増加しています。2011年7〜9月期も年率6.1%増加しており、物価の下落傾向にある程度歯止めがかかったのではないかと期待しています。もっとも、それが原油価格の高騰など純輸出の減少させる形での増加ならば、日銀が目標としているインフレ率の1.0%の効果は決して望ましいものではないとも思っています。図は1999年からのGDPデフレーターを示しています。日本経済がデフレであることが一目でわかるデータです。私は、名目GDPと実質GDPが同水準ななった時点が、回復の原点だと考えています。1999年に500兆円であった名目GDPは、474兆円にまで減少しています。私は500兆円は覚えやすい数字だということで、日本の経済規模に関する質問があった場合、500兆円だとよく答えています。一方で、実質GDPは、今回の発表では517兆円です。このギャップがある限りは、デフレからの脱却とはいえないのでしょう。

2012年1月12日木曜日

景気変動と人口動態

今日は、鳥取県の皆生温泉に来て、ブログの作成を試みます。携帯用のWi-Fiルーターに接続し、Googleにアクセスしているいるところです。接続状況は安定している上、まずまずのスピードが維持できています。非常に快適な環境です。ノートパソコン、特に、このMacを宿泊先に持ち出してネットで接続するということは未体験ですので驚きです。
 行きの電車の中で新書一冊を読み切りました。久しぶりに経済関連の書籍です。書籍のタイトルは『デフレの正体-経済は「人口の波」で動く』(注)です。結論は、日本の景気変動の大きな波の根底にあるのは、人口動態であることです。藻谷は、同書の中で、過去の大きな経済のターニングポイントにも人口規模に比して大きすぎる団塊の世代の存在に起因して発生しているものがあることを指摘しています。面白いと思ったのは、1940年〜50年に生まれた世代が、一般的に一戸建てを欲しがるといわれる40歳代になったのが1980年代後半であり、バブル時期に重なることです。この事が、同時期のバブル経済をもたらした旨を示唆、これは、私に全くなかった視点であり、調べる価値のある記述です。
 以前、実質GDPの項目別寄与度を表したグラフを作成しましたが、今日は、そのグラフの民間住宅投資の寄与度のみを表したグラフを作成しました。グラフから、80年代後半の民間住宅投資の寄与度が如何に大きかったかがわかります。特に1987年度単年ではプラス1.1%の寄与度を記録するなど同時期に土地バブルが発生したことが伺えます。同年の成長率は6%で、今では考えられない水準にまで達しており、民間住宅投資に加え、消費支出、民間設備投資も絶好調であったようです。そして、わが国にとって最悪だったのは、この時期、米国の貿易赤字と財政赤字の拡大が顕著となり、その原因として日本国内の需要不足に伴う輸出超過が問題視されていました。これに対して、わが国も、米国の膨大な双子の赤字は、米国自身の過剰消費による貯蓄不足を原因とするものだと反論してきました。しかし、結局、外圧に屈するという形で、総額で(私の記憶では)600兆円の財政政策を実施することを約束させられました。消費、住宅投資、設備投資など民間部門が絶好調ならば、通常、財政は引き締め気味の施策をとるのが一般的な経済政策です。しかし、わが国は愚かにも、この時期に、寄与度で測って、政府消費支出がプラス0.6%、公的資本形成プラス0.5%という拡張的な財政政策を行ってしまいました。これが致命的となり、バブルが発生、その後の日本経済の凋落を決定づけてしまいました。
 同書は、経済をサプライサイドである人口動態に比重を置いて説明しており、上記のような短期的な政策の失敗があることは根本的な原因ではないという立場をとっています。しかし、私は短期的な施策の失敗が回復を遅らせていると側面も否定できないと考えています。とりわけ、ドイツとの比較です。ドイツは、東西ドイツの統一という大問題を成し遂げ、いまやヨーロッパの守護神になるほど政治的・経済的に繁栄しています。バブル期の日本の失敗は、上記の通りの財政政策だけではありません。ブラックマンデー直前の時期に、米国が、日独米の3カ国による協調的な金融緩和を要求したのに対して、ドイツが断固として反対したことがありました。その後、日本は金融政策が最も効果を上げるという金融の引き締めのタイミングを逸してしまい、バブル崩壊をもたらしたという事実があります。
とりあえず、宿泊先から帰って、人口動態に関するデータを調べてみるつもりです。
(注)藻谷浩介『デフレの正体-経済は「人口の波」で動く』、角川書店、2010年。