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2012年11月23日金曜日

信じられない日本銀行に対する政治関連者の発言

 戦中の戦費調達を目的とする1942年に成立した旧日本銀行法が、復活しそうな勢いです。旧日本銀行法は、1997年に改正、現在の日本銀行法に至っています。旧日本銀行法はの結果は、戦後経済の中で紙切れと化した国債の元凶ともなった悪法であり、わが国を戦争へと向かわせた原資ともなりました。

 それが戦後50年以上も残っていたこと自体信じ難かった事実ですが、施行された当時は話題になりました。この結果、日本銀行は政府からの独立性を確保、日本銀行の政策は日本銀行政策決定委員会で決定されることとなりました。政策決定委員会は日本銀行総裁、副総裁2名、そして審議委員会6名の計9名で構成され、金融政策決定会合は、原則として月1、2回定期的に行われます。政府の代表として財務大臣も参加できますが、議決権はないそうです。日本銀行もデフレ脱却に向けた強い意志を示したばかりで、年率1%のインフレを目標とするものでした。上図が示すように、日本経済はデフレからの脱却ができず、厳しい状況下にあるといえます。給与水準も低下するとともに、国内需要への依存から脱却するため、企業は海外へと続々と進出しています。

 ならば、日本経済は本当に深刻なのかといえば、失業率の面からはその点は伺えないといえるでしょう。右図は日本、米国、ドイツの失業率の推移を示しています。失業率の統計は、国によってかなり違っており、かつては日本は低めに出て、米国は高めに出るなどと言われていました。それでも、2012年9月の速報値では、日本が4.2%であるのに対して、改善傾向は示しているものの米国は依然として7.8%と高止まりしています。目覚ましいのは、ドイツです。かつては10%を上回る高い失業率によりドイツ病とも言われ、失業率の高さが構造的問題となっていました。しかし、ドイツは2005年の11.7%をピークに劇的に低下、期近では5.4%となっています。それでも、日本は、高くなってきているとはいえ、先進国の中でも低い水準にとどまっているといえます。
 ならば、日本経済にとって何が悲惨かといえば、それは政府の債務残高です。私が子どもの頃から、他の先進国と比べて高いという指摘があった財政赤字です。結果、他国に類をみない水準にまで上昇したのが、政府債務のGDPに対する比率です。これは、バブル経済崩壊以降、政府の財政支出による積極的な浮揚策があったものの、デフレが進行する中で名目GDPはほとんど上昇しなかった結果です。財政支出がなければ底割れしたという指摘もありましたが、現在は危険な水準にあるといえます。そして、財政規律を喪失させた原因となったのが、潤沢にあった家計による貯蓄残高であったといえます。もっとも、日本銀行もデフレからの脱却を目指し、国債を積極的な買い入れを実施、今では国債の買い入れで制限されている日本銀行券発行残高とほぼ同水準にまでになっています。それでも、不足であったことから、日本銀行の資産勘定とは簿外となる資産買入等基金を設立し、国債を継続的に購入しています。その結果、歳入の半分以上を国債発行で賄うという異常事態に陥り、無秩序ともいえる政府債務残高を増加の原因となりました。この「つけ」は、いずれは払わなければなりません。それは高いインフレ率か、ギリシャのようなデフォルトです。
 こうした中で、次の総選挙で第1党になる可能性が高まっている自民党の安倍総裁による日本銀行への強行な発言が注目されています。これに対して、日本銀行の白川総裁は、記者会見で反論するという事態となっています。この記者会見に関する記事が2012年11月21日付読売新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『安倍景気策に日銀反論』です。以下引用文。

 『日本銀行の金融政策が衆院選の争点に浮上する中、白川方明総裁は20日の記者会見で、政府に対する中央銀行の独立性の尊重を訴えた。だが、自民党は金融緩和の強化を衆院選の政権公約に盛り込んでおり、日銀への圧力は収まりそうにない。
 白川総裁は会見で、一般論との前提付きながらも、自民党の安倍総裁らが主張する金融政策の具体案にことごとく反論した。
 安倍総裁は、「2〜3%の安定的な物価目標を掲げることで、初めてインフレ期待が出て、デフレから脱却できる」と発言。日銀の政府からの独立を定める日銀法の改正も視野に、インフレ目標政策を導入する考えを示している。日本維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)も、日銀法を改正し、インフレ目標政策を導入するべきだと主張している。
 これに対し、日銀は、望ましい物価上昇率について「2%以下のプラスの領域で、当面は1%」との認識を示してきた。白川総裁は会見で「当面は1%の物価上昇率を実現するまで、最大限の努力をする」と述べた上で、「3%は現実的でない。政府と十分な意思疎通を図り、自らの責任と判断で中央銀行としての責務を果たす」と、日銀の独立性を重視する立場を強調した』
 せっかく改正された日銀法を、また改悪の方向で動いています。新興国などの政府ならば許されることかもしれませんが、米ドル、ユーロ、ポンドなど国際通貨である円の番人である日本銀行への批判は自粛するべきです。今のデフレは、今となっては、家計が将来の税負担の増加を恐れ、生活防衛の方向へと一斉に向かっているからだともいえます。これは、合成の誤謬であり、合理的な判断のもと、家計が貯蓄増加に励んだ結果、マクロ経済的に所得が減少し、貯蓄自体も減少してしまうという問題です。デフレの根本は、合理的な家計が将来の政府による政策の不透明さを予見し、本能的に防衛策を講じているのかもしれません。私は、日銀の政策への過剰な発言は、不適切であり、そのような発言が、責任のある政界から相次いで出ること自体が既に破綻していると思います。政府は財政規律を速やかに回復させ、歳入増は決まったのですから、それまでに徹底した歳出の削減が求められているのです。
 私は、日本国債を直接的に保有していません。また、多額の国債を購入している日本の銀行への預金は極力少なくする姿勢でいます。格付けが低く、見通しもネガティブとされている国債に資金を投じる気は一切ないのです。事実、私のポートフォリオに組み込まれている債券は、トリプルA格ばかりです。為替リスクより、デフォルトリスクの影響の方が大きいと考えているからです。

2012年10月25日木曜日

東北を除く地域で景気判断が下方修正

 日本の景況感がしっくりしないようです。年間1,000万台の販売を目指していたトヨタ自動車も中国での販売不振から、目標に到達しないことが判明しました。自動車以外の産業、特に製造業は中国に対する輸出依存度が高く、ここにきての中国への輸出の鈍化は、景気回復感に乏しい日本経済にとってマイナス要因となっています。訪日する中国人の減少もあり、日中関係の悪化は、製造業だけにとどまらず、観光・小売りなど国内産業にも打撃を与える可能性が出てきています。経済中心につながりが強くなってきていた両国ですが、尖閣諸島の国有化を契機に一挙に冷え込んでしまいました。東アジアの2大国の対立は、世界経済への影響も否定できず、IMF・世銀の総会でも懸念が表明されました。日本、中国とも互いに冷静になり、一日でも早い関係修復を進めるべきであり、それが遅れた場合、日本ばかりでなく、中国経済にとってもマイナスになることは必至でしょう。
 こうした中で、日本銀行は22日に地域経済報告を発表、東北を除く地域で下方修正されたことが明らかになりました。地理的に中国に近い、中国地方と九州地方で、輸出がネックとなり、回復のテンポを弱めていることが判明、中国リスクがあらわれた結果となっています。この発表に関する記事が、2012年10月23日付毎日新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『東北以外下方修正。日銀、地域別の景気判断』です。以下引用文。
 『日銀は22日発表した10月の地域経済報告(さくらリポート)で、東北を除く8地域の景気判断を前回7月の報告から引き下げた。個人消費は全9地域で悪化した。景気の現状は、欧州債務問題による海外経済の減速やエコカー補助金の終了を受け、「横ばい圏内」や「弱め」との指摘が相次いだ。沖縄県・尖閣諸島問題に伴う日中関係悪化も顕在化している。
 判断を引き下げが8地域に上ったのは、リーマン・ショックの影響により全地域で引き下げた09年1月以来、3年9ヵ月ぶり。国内景気は堅調な内需を背景に全9地域の判断を上げた前回7月から一変した。東北は東日本大震災からの復興需要に支えられ景気判断を据え置いた。
 日銀の白川方明総裁は22日午前の支店長会議で「今後とも間断なく金融緩和を進めていく」と表明。「今後の金融資本市場の展開に十分注意していく必要がある」と述べた』
 個人消費に関しては、エコカー補助金の効果が切れたこと、中国人観光客の来日キャンセルが相次いだこと、残暑による秋物衣料の販売不振が響いたそうです。もっとも、消費が慢性的に弱いのは、雇用問題が根幹にあると考え、地域別のデータが得られる有効求人倍率(パート、新卒を除く)の推移をグラフを作成してみました。リーマン・ショックが起こった2008年9月以降、全地域で有効求人倍率が大幅に低下、2009年中頃を底に回復傾向を示しています。しかし、2012年8月で有効求人倍率が1以上なのは、東海地方に限られており、北海道、九州地方にいたっては0.7倍を依然として下回っています。この雇用状況が劇的に改善がない限りは、景気の本格的な回復はないと考えており、政府による若者の雇用促進など積極的な雇用対策が求められるとろこです。そして、有効求人倍率をみる限りでは、特に倍率が低い、北海道、近畿地方、九州地方にウェイトを置いた施策が必要であると思われます。

2012年2月16日木曜日

日本銀行のバランスシート

日本銀行が「脱デフレ」に向けた新たな追加緩和策を決定しました。これは、昨日の日本経済新聞朝刊のトップニュースでした。資産買い入れ基金を10兆円増やし、65兆円とすることが決まり、日銀による長期国債の買い入れ額は、これで年間で40兆円の規模まで拡大するとのことです。これを好感してか、昨日は、円ドル相場は円安へと向かい、日経平均株価は久しぶりに大幅に上昇しました。
 しかし、日本銀行による節操のないともいえる国債の買い取りがこのまま増加すれば、国民の共通資産である日本円の発行元である日本銀行の資産が毀損すると思い、早々日本銀行のバランスシートをチェックしてみました。ホームページには平成23年9月期の財務諸表等が掲載されていました。同じページに平成17 年9月期のものがありましたので、資産の部に着目し、2つの期のバランスシートを比較してみました。
 日銀のバランスシートをみて最初に驚いたのは、2つの期の勘定科目がやや異なっていることでした。直接比べることができませんので、それぞれを表にまとめてみました。右の表がホームページ掲載の資料をもとに作成した日本銀行の貸借対照表の資産の部です。この表で着目すべきは、資産の部合計が平成17年の148兆円から平成23年の137兆円へと減少していることです。日本銀行が積極的に金融緩和をしているのだから、資産の部合計は当然のごとく積み上がっていると思っていましたが、むしろ減少していることに驚きました。これは、日本銀行の主な負債勘定が発行銀行券79兆円、預金35兆円、売現先勘定17兆円(平成23年)などに限られており、日本銀行が意図するように増加させることができない勘定が大部分を占めているからです。特に、国債に関しては、今回初めて知ったのですが、日本銀行による買い入れは、日本銀行券の発行残高以内に収めなければないないという規定が定められているそうです。バランスシート上、国債の買い入れ不可能な額にまで達しており、これ以上の日銀による国債買い入れを通じた金融緩和できないのが実情です。
 そこで、さらなる買い入れ額の増加を狙って設立されたのが、資産買い入れ基金です。日銀による国債の買い入れを日銀のバランスシート外、つまり日銀の簿外で行えるようにし、発行銀行券残高以上の国債買い入れを可能にするという方法です。日本銀行にせよ、政府にせよ、かなり追い詰められているような気がします。ここで気になるのが、資産買い入れ基金の原資は一体何であるかということです。短期国債ではないかと思ったのですが、特定できませんでした。より詳細な資料等を入手する必要があります。