日本銀行が「脱デフレ」に向けた新たな追加緩和策を決定しました。これは、昨日の日本経済新聞朝刊のトップニュースでした。資産買い入れ基金を10兆円増やし、65兆円とすることが決まり、日銀による長期国債の買い入れ額は、これで年間で40兆円の規模まで拡大するとのことです。これを好感してか、昨日は、円ドル相場は円安へと向かい、日経平均株価は久しぶりに大幅に上昇しました。
しかし、日本銀行による節操のないともいえる国債の買い取りがこのまま増加すれば、国民の共通資産である日本円の発行元である日本銀行の資産が毀損すると思い、早々日本銀行のバランスシートをチェックしてみました。ホームページには平成23年9月期の財務諸表等が掲載されていました。同じページに平成17
年9月期のものがありましたので、資産の部に着目し、2つの期のバランスシートを比較してみました。
日銀のバランスシートをみて最初に驚いたのは、2つの期の勘定科目がやや異なっていることでした。直接比べることができませんので、それぞれを表にまとめてみました。右の表がホームページ掲載の資料をもとに作成した日本銀行の貸借対照表の資産の部です。この表で着目すべきは、資産の部合計が平成17年の148兆円から平成23年の137兆円へと減少していることです。日本銀行が積極的に金融緩和をしているのだから、資産の部合計は当然のごとく積み上がっていると思っていましたが、むしろ減少していることに驚きました。これは、日本銀行の主な負債勘定が発行銀行券79兆円、預金35兆円、売現先勘定17兆円(平成23年)などに限られており、日本銀行が意図するように増加させることができない勘定が大部分を占めているからです。特に、国債に関しては、今回初めて知ったのですが、日本銀行による買い入れは、日本銀行券の発行残高以内に収めなければないないという規定が定められているそうです。バランスシート上、国債の買い入れ不可能な額にまで達しており、これ以上の日銀による国債買い入れを通じた金融緩和できないのが実情です。
そこで、さらなる買い入れ額の増加を狙って設立されたのが、資産買い入れ基金です。日銀による国債の買い入れを日銀のバランスシート外、つまり日銀の簿外で行えるようにし、発行銀行券残高以上の国債買い入れを可能にするという方法です。日本銀行にせよ、政府にせよ、かなり追い詰められているような気がします。ここで気になるのが、資産買い入れ基金の原資は一体何であるかということです。短期国債ではないかと思ったのですが、特定できませんでした。より詳細な資料等を入手する必要があります。
0 件のコメント:
コメントを投稿