『ファナックは国内で工作機械の大幅増産に乗り出す。茨城県筑西市の拠点に新工場を建設、年内生産能力を現在の2倍の月5千台に増強する。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)市場の拡大を受け、主要部品を造る工作機械の需要が急増しているのに対応する。出荷先の大半は海外だが、円高下でも国内集中で量産効果を追求する方が価格競争力を高められると判断した』この記事は、増産する対象の工作機械が「ロボドリル」であり、金属の塊からスマホのフレームなどを削り出すのに使用すること、同社は数値制御(NC)装置を内製している強みもあり、ライバルの韓国、台湾企業よりも高い競争力を有していることなどを記述しています。そして、主要な顧客である中国や東南アジアのEMS(電子機器の受託製造サービス)の仕様変更などの要請にも対応できるのは、研究開発部門との連携を強化、国内への集中立地が逆に強みとなっているからだと説明しています。
工作機械を製造するメーカーは、ここのところの円高のマイナス面を吹き飛ばし、国際競争力を依然として維持していることが伺えます。タイ洪水の特需もあって、総じて工作機械メーカーの業績はいいようです。右図は、鉱工業生産指数と一般機械の生産指数の推移を表したものです。2008年9月のリーマンショック以降の一般機械の生産の落ち込みが、鉱工業生産指数を大きく上回る水準であったことがわかります。逆に2009年4月の52.8ポイント(2005年=100)を底に急回復していることも図から読み取ることができます。これは、一般機械そのもののが輸出依存度が高く、リーマンショックという外需減少による影響が大きいことを示しています。円高という逆風が続く中、国際競争力を維持できている業種が徐々に減ってきていますが、この逆境の中でも、着実に業績を伸ばしているファナックなどの企業が日本にはまだまだあることに勇気付けられますね。
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