加えて、今年の後半からは、iTunes Matchもサービスの開始となるそうです。同サービスは、年会費を支払えば、CDなどからインストールした音楽データをアップルクラウドにアップロードすることができるサービスです。アップロードした音楽コンテンツがiTunesに含まれるものだった場合、同じアップルIDで登録されている複数のデバイスにネットからコンテンツをダウンロードできるいうものです。これらの事業展開に伴い、巨大なデータセンターを米国西海岸と東海岸に建設したそうです。高い利益率を背景に巨額の設備投資をしているアップルの独走はしばらく止まらなくなってきています。
一方、アップルと比較されるのが、ソニーです。ソニーとアップルの業績を示したのが右図です。アップルの売上高は、iPhoneの発売以降急増したのに対して、ソニーは逆に減少傾向にあったため、売上高ベースでもアップルがソニーを大幅に上回るという結果となりました。利益率でいえば、アップルは世界屈指の優良企業ですので、ソニーとは比較になりません。しかし、売上高に関しては、総合AV機器メーカーであるソニーは、パソコンと携帯電話が主力製品であるアップルを上回ってほしいかったと思っています。

ソニーとアップルのコンテンツの配信事業で決定的に差があるのは、アップルがiTunesを核に全てのユーザーIDの一元化しているのに対して、ソニーは、音楽、ビデオ、電子書籍、アプリケーション、ゲームの配信をしているものの、全てを統合するIDは存在しないことです。これら全てのコンテンツを利用するには、ソニーの場合、4つものIDを使用しなければならないそうです(注)。アップルのiTunesの方が使い勝手がいいのです。これは、実際にアップルのiTunesとソニーのMoraの両方を使っていて感じることです。
携帯音楽プレーヤーに限ってのことですが、ソニーとアップルは置かれている立場が決定的に違います。ソニー自身が、ソニーミュージックやソニーピクチャーズのようなコンテンツ事業を手掛けていることです。つまり、音楽や映像を主たる事業としている他の企業と競合関係にあることです。その点、アップルは中立的な立場であることができます。ソニーのシェア低下は、手掛けているコンテンツ事業がネックなっている可能性も否定できないです。
しかし、コンテンツを持っているということは強みでもあります。ソニーといえば、いまや多岐の分野産業へと進出しているコングロマリットな企業形態です。企業規模の割に進出する分野が多く、結果としてどの事業も中途半端になった結果が、連続する赤字決算です。コンテンツ事業へと特化することも可能ですが、一方で、コンテンツ事業から撤退することで、資源を集中することも可能です。ソニーは、これから何をするのかという具体的なビジョンを描かずに、ひたすら事業の拡大してきたことは否定できないです。もっとも、コンテンツ事業、映像機器、パソコン、携帯音楽プレーヤーなど全ての事業が有機的に結びついた時は、最強の企業になる可能性もあります。目先するべきことは、ユーザーにとって使い勝手の良いインターフェイスをつくることです。
(注)『週刊ダイヤモンド』2012.2.4号、特集『さよなら!伝説のソニー、なぜアップルになれなかったのか』。
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