貿易黒字国の特徴に、石油など天然資源に恵まれているほかに、国内に強力な自動車産業を有するケースが多い。ドイツ、韓国、それに日本などが該当します。家電製品が既に輸入超過になっていることを考えれば、わが国が引き続き貿易黒字や経常収支の黒字を維持するためには、自動車産業の国際競争力の維持は不可欠でしょう。これからは、電力危機のさなか、海外から天然ガスを中心とした化石燃料の輸入増加が予想されることから、自動車メーカーの復権が期待されるところです。
右図は日本の品目別輸出額を示したものです。自動車の輸出額は、2007年の14兆3000億円をピークに、2009年には6兆7000億円まで減少、輸出総額に占める割合も17.1%から12.4%にまで低下しています。これはリーマンショックを受け世界需要の減少に起因するものです。翌年の2010年には本格的な回復が期待されたのですが、9兆1000億円まで増加したしたものの、サプライチェーンの混乱もあり、メーカーが当初予想したよりも低い水準にとどまりました。こうしてグラフをみていると、日本の輸出の中心は一般機械や電機機械であることがわかります。2012年1月31日付のブログで書きましたフォックスコンは、米アップル社から委託された製品を製造するため、ファナックから信じられないロットで高級な製造用機械を注文したとのことです。まだまだ競争力のある企業が日本にはあると思いました。
こうした中で、トヨタ自動車は、来年の世界販売台数を過去最高の958万台(ダイハツ工業、日野自動車を含む)とする計画を発表しました。これは、09年に記録した937万台を上回る水準であり、成長が続く新興国などでの販売拡大を見込んでいるようです(2012年2月4日付日本経済新聞社朝刊)。トヨタ自動車の意欲的な計画に勇気づけられます。
右図は、2010年、2011年の世界の大手自動車メーカーの新車販売台数の推移を示したものです。日産自動車・ルノーの日仏連合以外のトヨタ自動車、ホンダ、ススギなどの日系メーカーが軒並み販売台数を前年の2010年より減少させていることがわかります。これは、震災ショック、タイの大洪水という2つの災害の打撃が大きいといえます。日系の自動車メーカーが低迷する中で、大幅に販売台数を伸ばしているのが、フォルクスワーゲン(独)と現代自動車(韓国)です。両社ともに15%前後の伸び率を記録しています。日本メーカーの生産が滞ったこと、通貨安の恩恵があったことなどが要因として考えられます。
今年は、タイの工場が復旧すること、米国経済がやや持ち直していること、円相場がこれ以上の円高方向へと向かいにくいことから、日系の自動車メーカーの持ち直しが予想されます。
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