2012年2月27日月曜日

円相場と日米金利差

私は、いつも米国債への投資タイミングを考えています。もっとも、現在、米国債の利回りは10年物で2.0%、30年物で3.2%にとどまっており、一時と比べてかなり低い水準にとどまっています(データはBloombergの2012年2月20付)。現に、2007年6月には10年物の国債利回りは5.1%もあり、その時と比べてリターンはかなり小さく、私にとって魅力が乏しい投資対象に感じられます。ただ、リスク回避的な投資対象として、世界的に米国債が買われている側面もあり、その結果、低い利回りとなっているのです。一方で、米国債が投資対象として魅力は少なくなっているのに対して、米ドルの相場は、日本銀行のさらなる金融緩和策を受けてやや持ち直しているものの、依然として70円台にとどまっています(2012年2月20日現在)。ここに矛盾が発生しています。米ドルは低い水準にとどまっており、投資対象として魅力あるものの、米ドルからみた米国債の価格は、利回り水準から察して決して安いものではなく、インフレ懸念等から、今後下落する可能性は十分にあるからです。
 右図、日米国債10年物の金利差と円ドル相場の推移を表しています。①②③④のポイントで日米金利差が縮小し、ドル相場が下落する局面があります。つまり、国債の利回りとドル相場の間には、裁定が働いているのです。ドルが安いと債券価格が高くなり(利回りは低下)、逆にドルが高いと債券価格が安くなり(利回りは上昇)、利益が発生しないという構造がビルトインされているといえます。機関投資家とは異なり、一般の投資家にとって、安いコストで米ドルを調達し、高い利回りの米国債へ投資することは、非常に困難な作業であるのです。
米国債の魅力が低下している中、今、円を売って、ドルを買えば、後から振り返ってみてもまずまずの水準であったと、私は考えています。一部の専門家の間には、ドルはさらに減価し、1ドル=50円まで下落すると予想している方も結構いるのが現実です。投資とはタイミングです。そして、将来には不確実性があります。欧州債務危機が象徴するように、今後を予想することは非常に困難となっています。
こうした中で、私が日々行っているのは、とりあえず累投で米ドルのMMFを購入するという投資方法です。長期的な視点にたった投資スタンスでなければ、この方法はお勧めできないのですが、ドルコスト平均法は、相場が下げ続けている現在の米ドルにとっては有効な手段だったといえます。現に私の米ドルのMMFの簿価は、1ドル=80円前後で、現時点ではほとんど損失は出ていません。しかし、このまま、ドルのMMFで運用し続けたとしても利回りは0.3%前後と低く、リターンは限られることから、これ以上購入しても意味があるのかということです。
実は意味があるのです。不確実性が高まっている時は、流動性が選好されます。MMFは短期債などに運用を限定しており、収益性は低いものの、流動性及び安全性はかなり高い金融商品といえます(過去にデフォルトリスクにさらされたことはありますが)。まさしく、私のMMFへの投資は、流動性の選好の結果だといえます。
そして、長期的な視点に立てば、国債を投資するタイミングは必ず訪れるからです。今みたいに、FRBが金融緩和を継続すれば、米国の場合、必ず石油、穀物などの商品市況に影響を与え、金融市場にインフレ懸念をもたらすからです。その結果、米国債の価格は下落し、利回りは上昇することになります。そして、私が言いたいのは、米国債の利回りが上昇する段になって、米ドルを調達すれば、時既に遅しだからです。つまり、上記のように日米金利差が拡大し、米ドルが上昇局面へと転じていることが予想されるからです。
ならば、今、米国の長期国債を購入するという方法もあります。これもよくないです。国債価格の下落リスクと低いリターンの結果、購入したドルで得をし、債券で損失を出す可能性が高いからです。あくまで、ポートフォリオから突出するようなことがない範囲ですが、この円高時に、米ドル建て流動の高い資金をある程度調達し、利回りの高くなった時点で米国債などの長期の金融商品へと振り替えるという投資方法が、今の米ドルに対するベストな投資スタイルではないか考えています。

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