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2012年10月28日日曜日

減少傾向を示し始めた中国人観光客

 テレビを観ていると、中国人の観光客の日本での買いものをする姿が映し出され、その豪快さに驚きを感じることがちょくちょくあります。その対象は、ブランド品、家電製品、はたまた骨董品までと幅広く、札束が飛び交っています。しかし、日本政府が尖閣諸島の国有化した9月以降は、中国人の団体客のキャンセルが相次ぎ、地方の観光地や東京のショッピング街などで悲鳴が上がっています。今、ショッピングを目的として来日していた中国人は、韓国に押し寄せているそうです。

 地方では、売上減少に厳しさが増している中、比較的友好関係が続いているASEAN諸国を中心に日本観光のPRを進めています。NHKのニュース報道でも、インドネシアからの観光客を誘致し、富士山ふもとをサイクリングするといったツアーを企画するなど、手をこまねいているだけではないようです。ASEAN諸国は所得水準も高くなっている上、魅力的なのは、その人口規模です。ASEAN加盟10カ国の人口は、中国の約13億人には遠く及ばないものの、域内人口約5億7千万人に達しており、北米自由貿易協定(NAFTA)約4億4千万人、欧州連合(EU)約5億人を大きく上回っています。今後の所得水準の伸び次第では、日本の観光産業にとってきっとプラスになります。現在は、一部の富裕層に限られる日本への観光ですが、これら人々に日本での観光を楽しんでもらえば、次へのステップに結びつくことになるでしょう。


 訪日する中国人の激減は、航空業界にも影響を与えています。全日空、日本航空ともにキャンセルが相次いでおり、航空機の小型化や減便を決定、両社ともに「動向を注視していく」とのことです。先日、日本人が暴行にあう事件があったことから、日本からの渡航者も大きく減少すること予想されています。日本企業の間でも出張自粛の動きが拡大しており、日中間での経済交流が、このままでは沈滞する懸念が出てきています。IMF・世銀の総会でも、日本と中国との対立が世界経済に影響を与える恐れがある旨表明しており、速やかなる解決が求められています。中国人訪日の記事が、2012年10月20日朝日新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『中国人訪日、厳しい旅路。観光・小売りに影響』です。以下引用文。

 『中国からの訪日客数が9月、東日本大震災前の2010年9月と比べて10.1%減となった。8月まで過去 最高のペースで増えていたが、尖閣問題で団体客のキャンセルが相次いで一転した。10月に入ってからも厳しい状況が続き、観光や小売業界に影響が広がる。
 日本政府観光局は19日、9月に中国(香港のぞく)から観光や仕事で訪日した人が12万3500人(推計値)だったと発表した。震災後に落ち込んだ11年9月より9.8%増えたが、震災前の10年9月と比べればマイナス。震災前と比較をした場合、減るのは5ヵ月ぶりだ。尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化で、訪日を取りやめる中国人が多かった』
 中国側の論者に、日中間の経済交流が冷え込めば、打撃を受けるのは日本であるという考えを持つ方々がいます。しかし、貿易は拡大してからこそ、意義があるのであって、縮小均衡へと向かった場合、世界経済にとってプラスになることは一切ありません。中国本土でスマホの生産を担っている台湾メーカーも、日本から多くの部品を調達し、完成品へと組み上げています。これら部品が調達ができなくなれば、スマホの生産も滞ることを意味しているのです。加えて、中国の景気に直接影響を与える直接投資では、円高を武器に、日本企業は依然として高いプレゼンスを維持しています。2012年9月の金融業を除く中国への直接投資額は、84億ドルと前年同月比と比べて6.8%減少、4ヵ月連続で減少しています。日本からの投資がさらに減少すれば、鈍化傾向を示す中国経済がさらに悪化する可能性が高まっていくだけです。日中間の経済交流は、前進あっても後退させる余地は全くないのが実情でしょう。

2012年2月8日水曜日

拡大するM&A

円高を背景に大型のM&Aが相次いでいる。2012年12月29日付日本経済新聞朝刊に、2011年の日本企業による海外企業の買収が相次いでいる旨の記事がありました。規模順に抜粋するだけでも、武田薬品工業によるナイコメッド(スイス製薬、金額1兆1086億円)、三菱商事によるアングロ・アメリカン・スチール(チリ銅山、同2050億円)、キリンHDによるスキンカリオール(ブラジル・ビール、同3038億円)などの海外企業の買収があったとのことです。円高の中、海外企業は割安となっていますので、今こそがチャンスだと思っていますので、この流れは歓迎すべきでしょう。そして、この国内企業の買収劇により円高が抑制されているのではないかとのこと別の記事で指摘されていました。
 ならば、この国内企業による海外企業の買収は、国際収支統計の中でどの部分に現れてくるのかが気になるところです。財務省のホームページに「国際収支Q&A」がありましたので、その部分を引用します。以下引用文。
(1)「投資収支」とはなんなんですか。
投資収支は居住者と非居住者との間で行われた金融資産負債の取引を計上する項目であり、「直接投資」「証券投資」「金融派生商品」「その他投資」から構成されます』
以上の記述から、直接投資は国際収支統計の投資収支に現れていることとなります。そして、直接投資に関するものもありましたので、引き続き引用します。以下引用文。
(a)「直接投資」とはなんなんですか。
直接投資とは、ある国の投資家が、他の国にある企業に対して永続的な経済関係を樹立することを目的に投資するもので、直接投資関係(出資割合10%以上)を設立する当初の取引(株式等の取得)及び、その後の直接投資家と直接投資先の企業間で行われる全ての取引(増資、資金の貸借)が計上されます。
また、直接投資における「資産」と「負債」の区分は、直接投資家の居住性によってなされており、直接投資家が居住者である場合は、「対外直接投資(資産)」、非居住者である場合は、「対内直接投資(負債)」に計上されます。このように区分した上で、投下資本の形態により、「株式資本」(直接投資企業の株式や支店の出資持ち分の取得等を計上します。)、「再投資収益」(直接投資企業に留保された未配分収益のことをいい、一旦直接投資家に配分されたあとに、その直接投資家によって再び資本投下されたものとして計上します。)、「その他資本」(「株式資本」と「再投資収益」以外を指します。居住者(非居住者)による海外(国内)不動産の取得・処分などが含まれます。)に区分しています』
以上の記述で、直接投資というものの定義がよくわかりますね。投資収支には、「直接投資」以外に「証券投資」「金融派生商品」「その他投資」がありますが、データを見つけることができませんでしたので、直接投資と大きな乖離はなく、トレンドは概ね一致していると思われる投資収支と経常収支の推移を表したグラフを作成してみました。
図表(注1)から、2003年、2004年の例外を除き、経常収支と投資収支を一致した動きを示しています。企業が直接投資を行ったことにより、円高を抑制することができたという論調が同日の日本経済新聞朝刊のコラムにありました。しかし、投資収支が資産・負債の貸借取引であることから、為替に対してはニュートラルではないかという疑問が残ります(私はやはり経常収支の黒字こそが円高の要因であると思っていますので)。私の勉強不足もありますので、これ以上の言及は避けます。もっとも、グラフを作成して初めて分かったのですが、2003年と2004年の投資収支の黒字化(グラフではマイナス)(注2)の原因が気になりますね。特別な要因があったと考えられますが、資料不足でわかりません。趨勢的に円高が進んでいることから直接投資のトレンドに大きい変動がないとすれば、証券投資等で何か大きな出来事があったのかもしれません。
(注1)わが国の場合、通常、投資収支は赤字であり、経常収支との比較を考慮し、投資収支の赤字を黒字に置き換えてグラフ上表記しています。
(注2)このデータについては、『経済財政白書2011年版』、『日本経済2011-2012』(ミニ白書)の両方にてチェックしました。