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2012年11月16日金曜日

今後の自動車産業に対する見解

 かつて、本田技研工業(現ホンダ)を創立した故本田宗一郎氏は、通産省の強い反対を押し切って自動車製造への参入を決断しました。いまや、ホンダの自動車生産台数は、世界でも有数の規模を誇り、日本の自動車産業に厚みをもたらすという結果となりました。同氏には、人間は常に移動する必要があり、代表する輸送手段である「自動車」という産業は繁栄し続けるという考えが背景にあったと言われています。しかし、産業としての規模、そして裾野の広さ故、日本経済にとって不可欠な自動車産業ですが、私は自動車の永続性に対して否定的な見解を持っています。それは、移動することによる時間的なロスが余りに大きいことに起因しています。
 それでは、今日の朝から午後3時までの私の行動を順に追っていきます。今朝は起床した後、読売新聞、朝日新聞、そして日本経済新聞を置いている喫茶店に行き、モーニングを食べました。この喫茶店は歩いて3分の距離にありますので、時間のロスは全くありません。その後、予約していた歯医者に行くため、20分ほど費やし、自動車で10kmも移動しました。受診後は、昼食の時間です。家の近くにある毎日新聞を置いている定食屋まで戻り、いつものメニー、チキンカツ定食500円を食べました。その場で、毎日新聞の記事をチェック、面白そうな記事が掲載されていましたので、定期購読している日本経済新聞朝刊以外の新聞を買いにコンビニへと買いに行くことにしました。朝日、読売、毎日新聞の全てが揃っているコンビニは近くになく、ここでも10km先にあるコンビニを目指して自動車を使って移動しました。そこで、毎日購入しているヘルシアウォーター(花王)、黒烏龍茶(サントリー)、シルキーブラック(サントリー)も手に入れようとしたのですが、シルキーブラックがなかったため、別のコンビニへ行くことにしました。全ての用事が終わり、家に戻れたのは午後3時過ぎとなり、多大な時間をロスするとともに、自動車で30kmも移動、ガソリンを2リットルも使うという結果となりました。これは、私が自動車を所有しているからこそできたものの、そもそも自動車がなければ、全ての用事が最寄りの駅付近で完結できるよう一日のプランを立てたはずです。
 無駄なエネルギーと時間を浪費させてしまうのが自動車社会の弊害です。また、警察関係者の努力、メーカーの安全対策などがあり、最近ではかなり減ってきましたが、かつては年間1万人前後の貴重な人材を交通事故で失っていることなどからも目を離してはいけないでしょう。これは、真の社会的な損失であるといえます。加えて、交通網を整備するために、多額の予算を公共事業などに投入、全国を結ぶ高速道路網ばかりでなく、近所にある普通の道路まで幅広く整備を進めています。この維持管理し、毎年補修する費用が財政を圧迫させる可能性が示唆されており、自動車という便利なツールがあったからこそ、発生した負担でもあります。

 私の今日の一日の前半を振り返ると、新聞を購入するための時間のロスが余りに大きく、これらをネット配信に切り替えた場合、節約できる時間とエネルギーはかなりのものになるでしょう。つまり、自動車は確かに便利であり、かつ生活に不可欠な道具ですが、それ以上の不必要な出費を伴うこと、時間のロスも大きいことなどのマイナス面もあります。今後は極力、ネットを使った生活パターンへと切り替えることが大切であると感じました。わが国の若者の自動車離れも進んでいます。かつては、ステータスを象徴するものとして、若者がこぞって自動車を購入しました。しかし、今の若者の関心は、自動車ではなくなっているのは確かでしょう。


 自動車メーカーの上半期の連結決算が発表されました。先日もマツダのメキシコの拠点で生産された小型車をトヨタのブランドで米国へと輸出することが発表されました。萎縮する国内市場を尻目に、海外市場での自動車メーカーの活躍のニュースが入ってきました。欧州市場の冷え込みや中国での反日デモの影響もありますが、中間期連結決算の趨勢としては売上高、営業利益、販売台数ともに大きく伸ばしています。日本では移動する手段としての自動車の存在感は小さくなっていますが、新興国を中心に自動車へのニーズはまだまだ拡大の様相を呈しています。自動車メーカーの決算に関する記事が、2012年11月10日付日本経済新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は、『日本車7社、中国販売2割減へ。純利益1300億円下押し、今期、北米・東南ア頼み』です。以下引用文。

 『自動車各社の2013年3月期連結業績予想が9日、出そろった。尖閣問題に端を発する中国での日系ブランド車の買い控えを受け、主要7社は年間の現地販売計画を合計71万台(約2割)下方修正した。最終的なもうけを示す純利益を1300億円程度押し下げる要因となりそうだ。比較的堅調な北米や東南アジアでどこまで挽回できるかが焦点となる。(中略)
 中国では9月半ばの反日デモを機に販売が急減速している。経営者から「いつ正常化するかは政治的な解決を待たないといけないので見えない」(日産自動車の志賀俊之最高執行責任者=CEO)など、長期化を懸念する声が上がる。7社すべてが今期の中国販売計画を下方修正した。
 修正幅が大きいのはトヨタ自動車の20万台。日産が17万5000台で続いた。収益への影響額は、日産が本業のもうけを示す営業利益段階で600億円、トヨタとホンダは純利益段階で300億円程度の見通し。純利益への影響額を公表していない企業については営業利益への影響額に実効税率などを考慮して試算すると、7社全体への影響額は1300億円規模になる』
 日本での自動車市場は萎縮しています。しかし、故本田宗一郎氏が示唆したように、移動する手段である自動車は、世界各地で需要が増加しています。自動車メーカーの主戦場は、日本ではなく、既に海外市場となっており、依然として高い競争力を維持していることが、収益の回復から読み取ることができます。

2012年10月16日火曜日

荒れ狂う世界各地でのデモ、際立つ中国の異常さ

 今年の9月は世界各国でデモが発生、荒れ狂っているようです。ECBからの支援を受けるため、緊縮策を堅持し、財政削減を進めるギリシャ、スペインでもデモが発生、多数の逮捕者を出すまでに至っています。もっとも、店舗や工場が襲撃されるといった激しいものではなく、火炎瓶を投げるといった過激な行動は、一部に限られており、全般的には穏健な人々によるゼネラルストライキといった性格のものです。これに対して、尖閣諸島の国有化に端を発する中国での反日デモの性質は異なるものです。一番疑問に思うのは、ニュースや新聞などでみるのは、反日デモによって壊された日系企業の工場や店舗などの映像・写真ばかりであり、デモに参加し、暴力行為に至った結果、逮捕者が出るといった類いの情報が入ってこないことです。法治国家である中国は、暴徒化したデモ参加者に対して徹底的に取り締まることは当然のことです。それができないのならば、中国の法律とは一体何であるか疑問を抱かざるを得ないです。法律が政府主導で、いい加減、かつ適当に運用されているのならば、進出している外国企業の全ては、危険に晒されていることを意味しており、いつ暴徒に襲われ、工場や店舗が焼き討ちにあっても、それは中国に進出しているのだから仕方がないという結論になります。
 特に、中国は既に世界第2位の経済力を持っており、世界経済の一員として組み込まれているとともに、IMFやWTOなどにも参加しています。今回の反日デモでも、日系企業の被害の程度からみれば、当然のごとく数千、数万人規模の逮捕者が出ていても不思議がないのに、その姿が映像や写真に映し出されていないのは、その映像・写真の流出が規制されているのか、それとも大規模な逮捕者自体が存在しないのかのどちらかです。Googleが撤退を強いられたや、過去の例からいって前者の可能性も否定はできませんが、どうしても後者の可能性が高いと考えています。明確な暴力行為に対して、処罰をしないならば、法治国家ではありません。そして、法律が適当に運用される国が、国際経済に進出することは許されないのです。それは、ルールで守られた世界経済の秩序の崩壊を意味するからです。
 幸い日本では秩序が保たれているようで、中国系の店舗に対する報復などの暴力行為はないようです。つまり、日本は法治国家であり、暴力行為に対しては、法律に基づく厳正なる処罰がかされるからです。その点は、日本の司法制度は、中国よりも優れているといっても過言ではないでしょう。もっとも、今回は、日本政府もやや矛盾する対応をしています。竹島の問題では、国際司法裁判所に訴えるなどの方向で動いたのに、尖閣諸島の問題では、それを無視して、いきなり国有化という選択をとりました。国の領土であるという自身と根拠があるならば、まずは国際司法裁判所へ訴えるという手段とるべきであったと思います。
 中国リスクが大きくなっている中で、8月の自動車生産実績が発表されました。日系の自動車メーカーは、9月を待たずして減産に入っているようです。デモの影響を受けた9月は、8月よりもかなり落ち込むことから、中国での生産維持にはかなりのリスクがあるといえます。2012年9月27日付朝日新聞朝刊に中国での自動車生産の減産に関する記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『日本車、中国で減産拡大。尖閣問題で販売打撃』です。以下引用文。
 『日系の自動車メーカーに中国での生産を減らす動きが広がってきた。尖閣諸島の国有化で中国に反日感情が高まり、日本車の販売に陰りが見え始めているためだ。主力市場の中国での減産が長引けば、業績の悪化につながることは必至だ。
 中国では、建国記念日の日にあたる10月1日の国慶節をはさんで、今月30日から8日間の大型連休に入る。連休前から工場の操業を止めて、休業日を増やす動きが広がっている。(中略)
 国内の乗用車大手8社が26日発表した8月の生産実績によると、北米や新興国での好調な販売を背景に各社の海外生産は総じて好調だったが、中国での生産台数は工場を持つ6社合計で前年同月比8.4%減の23万7246台。6社中4社が前年実績を下回った。
 中国での8月の販売台数もトヨタなど4社が前年を割り込んでおり、「日中対立の影響が出始めた」との見方も出てきた。中国での販売は、景気減速の影響で減速傾向にあっただけに、日本車を敬遠する動きが長引けば、日系メーカーへの打撃は大きい』

 これを契機に中国依存を低めるという選択肢は十分に考えられます。日本と良好な関係にあるASEAN諸国は、中国とFTAを結んでいます。中国への輸出は、ASEAN諸国を通じて行えばいいのです。タイ、インドネシアなどは十分な市場規模を有しており、日本企業にとって魅力的な市場です。それとともに、中国の不透明な法律運用の下で企業やそこで働いている人々を危険に晒すよりも、ASEAN諸国を生産拠点にすることは、日系企業にとってプラスでしょう。いざとなれば、タイやインドネシアのメーカーであると称して、中国へと輸出することは可能でしょう。また、政治力のある米国では、労働コストが徐々に低下しており、生産拠点として魅力が増しているそうです。中国は、米国からの輸出をストップをかけることはできません。日本の自動車メーカーは、米国ブランドで自動車を中国へと輸出すればいいのです。明確な暴力行為を取り締まることができない法律の未整備等のリスクを考慮した場合、生産拠点としての中国の魅力はなくなりつつあります。