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2012年11月9日金曜日

景気後退局面に入る日本経済と日本版「財政の崖」

 長かった米大統領選挙がついに決着が付きました。現職オバマ大統領の続投が決まり、決まった瞬間から米国の若い人々からの歓喜の声が聞こえてきました。NHKの報道では、若者の一人にインタビュー、大学卒業後の医療費負担が軽減されることから、オバマ大統領による医療改革を賞賛していました。テレビ画面を観ている限りでは、若者からは支持がオバマ大統領を支えたのではという印象を受けます。
 一方で、選挙人の数ではオバマ大統領が、ロムニー候補を圧倒していますが、得票率では、オバマ大統領50%、ロムニー候補48%と僅差であったことが明らかになっています。このことから、この選挙は、米国社会を二分したともされ、混迷する時代の到来を予感させるものであったことが徐々に明らかになってくるでしょう。議会では、下院で野党、共和党が議席の過半数を維持しており、法案の成立には、民主党、共和党両党の協力が不可欠です。両党の対立が先鋭化した場合、米国経済は、いわゆる「財政の崖」へと突入することになります。対立した米国社会を修復するには、時間を要しますが、残された時間は2ヵ月しかありません。世界経済にとって最大の懸念材料となっている米国の「財政の崖」が注目されています。

 同様に、赤字国債法案がいまだに議会を通過していない日本経済も「財政の崖」ともいえる状態となっています。地方自治体などでは、11月の予算の枯渇に備え、対応を急いでおり、支出の抑制にも入っていることが一部で伝わってきています。財政支出の抑制が、景気の悪化傾向が進んでいる、わが国経済をさらに後退させる懸念が出てきているといえます。こうした中で、内閣府による景気動向指数が10月6日に発表されました。一致指数が6ヵ月連続で低下、景気が後退局面に入った可能性が高いことが示唆されました。景気動向指数に関する記事が、2012年11月7日付朝日新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『景気4年ぶり後退か。指数、6ヵ月連続下落』です。以下引用文。

 『内閣府は6日、企業活動の現状を示す経済指標が弱まっていることから、景気が後退局面に入った可能性が高いとする判断をまとめた。後退局面入りは2008年2月以来、4年ぶりとなる。
 6日発表の景気動向指数(9月速報)のうち、景気の現状を示す「一致指数」(05年=100)が91.2となり、前月を2.3ポイント下回った。前月割れが6ヵ月続いており、景気の判断を前月の「足踏みを示している」から「下方への局面変化」に引き下げた。来月公表される一致指数も前月を下回れば、景気が後退していることを事実上認める「悪化」に引き下げられる見通しだ。
 こうした判断は暫定的なもので、政府が「景気後退期」と正式に認めるには11ヵ月分のデータが必要で、1年以上かかる。ただ、民間エコノミストの間では、景気は今春を「山」に、すでに後退局面に入っているとする見方が多い』
 右図は、特にマイナスの寄与度が大きい耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、鉱工業生産財出荷指数の3指標を取り上げてグラフ化したものです。2005年を100とした指数ですので、今回の景気拡大期は、リーマン・ショック直前と比べて低い水準にとどまっており、回復感に乏しいものであったことが伺えます。唯一のプラスであった大口電力使用量も、前年の節電要請の反動によるものかもしれません。景気の「山」を今春とする民間エコノミストの見方は適切であると思います。財政状況が厳しいものの、赤字国債法案を可決させ、政府は「財政の崖」を速やかに克服するべきであり、財政が足を引っ張るのではなく、少なくとも財政が中立的である経済運営に努めるべきでしょう。

2012年10月18日木曜日

出始めた赤字国債発行法案の未成立の影響

 11月末までに、赤字国債法案が国会を通過しなければ、利付き国債の発行が途切れる可能性が出てきました。最大野党である自民党は、野田首相に対して赤字国債発行法案の成立に協力するには、衆議院を年内にも解散することを確約する必要があることを要求しているようです。自民党側の狙いは、衆議院の定数是正、赤字国債発行法案に簡単に応じた場合、「近いうちに」(解散するとの約束)が必ず忘れ去られることを懸念しており、解散の具体的な時期の確約に追い込むことです。
 国際通貨基金(IMF)と世界銀行が東京で開いた年次総会の主要日程が終了、世界経済の失速を回避する決意がなされたものの、具体的な対応に進展がみられなかったようです。欧州には信用不安の速やかなる収束、米国には急激な財政の引き締め、いわゆる「財政の崖」の回避、そして、日本には赤字国債発行法案の成立を急ぐことが求められています。もっとも、わが国における、国債発行に関する緊張感は、1993〜2001年にクリントン大統領のときを思い起こさせます。同大統領就任時、大統領が民主党、議会の多数派は共和党という時期がありました。そして、クリントン大統領とギングリッジ氏率いる野党共和党が対立、共和党側は歳出法案(予算法案)と債務上限引き上げ法案(国債発行法案)を阻止することで、連邦政府は新規の国債が発行できないという事態に陥りました。結果、国立公園、国立美術館、博物館、科学館など政府機関の一部が閉鎖に追い込まれ、バスポートの発給が停止し、20万人に影響が及ぶなどしました。
 米国における民主党と共和党の対立は、国民生活の混乱をもたらし、結果として強硬手段に出た野党共和党の敗北に終わりました。わが国でも、この赤字国債発行法案の可決の遅れが、岡山県の国立大学や高専など身近なとろこで影響が出始めました。同法案に関する記事が2012年10月13日付山陽新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『岡山、広島、香川の国立大・高専、運転資金ピンチ。公債法案成立が難航』です。以下引用文。
 『岡山大など国立大学法人や、高専51校を運営する独立行政法人国立高等専門学校機構(東京、高専機構)は、国の「運営費交付金」を人件費や研究費などに充てている。本年度は、一般会計歳入の約4割を占める赤字国債38兆3千億円の発行に必要な特例法案が通常国会で不成立となったため、財源不足に陥った国は9月から、国立大学法人と独立行政法人向けの交付金を抑制している。(中略)
 岡山大は本年度予算約750億円の3割弱に当たる約204億円を交付金が占める。9月に予定していた22億8千万円が4億8千万円と約2割に激減、10月からは0円になった。
 岡山大財務部は「当面は自己資金でしのぐが、年明けからは資金繰りができなくなる」と言い、法定限度額となる47億円の銀行借り入れを検討する。広島、香川大も台所事情は同じで1月から運転資金が枯渇するという』
 身近への影響は是が非でも回避したいところですが、この国会における緊張感は大切であると考えています。毎年毎年、国債依存度50%もの予算案が安易に国会を通過するのは異常です。国の予算というものは、切羽詰まった状況下で、しっかりとした議論をした上で、削減するものは削減し、可決へともっていくことが大切であることを改めて認識しました。国会内で、このような緊張感がない結果、野方図な財政政策が毎年のように実施され、国債依存度50%、先進国の中でも例をみない政府債務残高を積み上げてしまったといえるでしょう。この緊張感は、議会多数派から選ばれる今の議会内閣制ではなかなか生じません。ならば、直接選挙により首相を選ぶという改革も必要ではないかと感じました。