国際通貨基金(IMF)と世界銀行が東京で開いた年次総会の主要日程が終了、世界経済の失速を回避する決意がなされたものの、具体的な対応に進展がみられなかったようです。欧州には信用不安の速やかなる収束、米国には急激な財政の引き締め、いわゆる「財政の崖」の回避、そして、日本には赤字国債発行法案の成立を急ぐことが求められています。もっとも、わが国における、国債発行に関する緊張感は、1993〜2001年にクリントン大統領のときを思い起こさせます。同大統領就任時、大統領が民主党、議会の多数派は共和党という時期がありました。そして、クリントン大統領とギングリッジ氏率いる野党共和党が対立、共和党側は歳出法案(予算法案)と債務上限引き上げ法案(国債発行法案)を阻止することで、連邦政府は新規の国債が発行できないという事態に陥りました。結果、国立公園、国立美術館、博物館、科学館など政府機関の一部が閉鎖に追い込まれ、バスポートの発給が停止し、20万人に影響が及ぶなどしました。
米国における民主党と共和党の対立は、国民生活の混乱をもたらし、結果として強硬手段に出た野党共和党の敗北に終わりました。わが国でも、この赤字国債発行法案の可決の遅れが、岡山県の国立大学や高専など身近なとろこで影響が出始めました。同法案に関する記事が2012年10月13日付山陽新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『岡山、広島、香川の国立大・高専、運転資金ピンチ。公債法案成立が難航』です。以下引用文。
『岡山大など国立大学法人や、高専51校を運営する独立行政法人国立高等専門学校機構(東京、高専機構)は、国の「運営費交付金」を人件費や研究費などに充てている。本年度は、一般会計歳入の約4割を占める赤字国債38兆3千億円の発行に必要な特例法案が通常国会で不成立となったため、財源不足に陥った国は9月から、国立大学法人と独立行政法人向けの交付金を抑制している。(中略)
岡山大は本年度予算約750億円の3割弱に当たる約204億円を交付金が占める。9月に予定していた22億8千万円が4億8千万円と約2割に激減、10月からは0円になった。
岡山大財務部は「当面は自己資金でしのぐが、年明けからは資金繰りができなくなる」と言い、法定限度額となる47億円の銀行借り入れを検討する。広島、香川大も台所事情は同じで1月から運転資金が枯渇するという』

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