外食産業最大手のゼンショーホールディングスが、2012年10月3日に東証2部上場の食品スーパー、マルヤに対してTOB(株式公開買い付け)を実施することを発表しました。取得額は最大35億円を見込み、これには外食産業が縮小するなか、内食・家食などの外食以外の分野で顧客を取り込むという考えがあるようです。
ゼンショーといえば、企業買収を立て続けて行い業界最大手にまで、のし上がった企業です。傘下にある外食チェーン店には色々なカテゴリーのものが含まれており、大抵の人々が一度はお世話になったのではないかと思います。その外食産業における多角化にも限界がみえてきており、こうした食品スーパーの買収につながったと推測されます。ついでですので、ゼンショー傘下の外食チェーン店は右図の通りです。最初は知らなかったのですが、「なか卯」と「すき家」が同一の企業の傘下にあることです。それは、「なか卯」が、市街中心部に立地し、サラリーマンなどをターゲットとする一方で、「すき家」が郊外に立地し、ファミリー向けのサービスを展開、店舗に入ると全く違う印象を受けたからです。特に大きな違いは、岡山県だけに言えるのかも知れませんが、「なか卯」が自動販売機を使った前払いのシステムをとっているのに対して、「すき家」は後払いのレジ方式をとっており、これには驚きを感じました。両者を上手く使い分けているゼンショーの姿勢がよく理解できます。
そして、「外食」→「内食」「家食」の流れの中で、冷凍食品のPBが注目されているようです。景気回復がしっくりしない中で、家計による生活防衛の結果の減少でしょう。そして、給与水準が低下し、共稼ぎの家計が増える中で、冷凍食品に熱い眼差しが向けられていると考えています。2012年10月6日付日本経済新聞朝刊に、大手小売りの冷凍PBに関する記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『冷食PB、イオン4割増。「内食」向け拡充、需要取り込む』です。以下引用文。
『大手小売店がプライベートブランド(PB=自主企画)の冷凍食品の販売を強化する。イオンはご飯とおかずを組み合わせるなどした夕食向けの商品を今年度中に4割増やす。セブン&アイ・ホールディングスは今年度のPB冷食の売上高を前年度に比べ5割伸ばす。各社は高まる消費者の内食志向にいち早く対応。手ごろな価格を打ち出しながら利幅も確保できるPBの商品展開を急ぎ、収益を拡大する』
加えて、食品メーカーとしてもPB製品に対する対応を急いでいます。この記事が上記記事の続きに掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『PB、メーカーにも利点。販促負担軽く稼働も安定』です。以下引用文。
『小売り各社が冷凍食品のプライベートブランド(PB=自主企画)商品を強化するのは、低迷していた冷食の需要が回復していることも背景にある。2011年の冷凍食品の国内市場は10年比約4%増の8657億円。08年に発覚した中国製冷凍ギョーザ中毒事件の影響で縮小していた市場は10年に下げ止まり、11年に回復に転じた。従来はメーカーの自主ブランド商品が市場の大半を占めていたが、最近は大手小売りがPBを強化。現状では「1割程度」(大手メーカー)とみられるPB比率は今後、高まりそうだ。小売業のPBの多くは、国内の中堅や大手の冷食メーカーが製造を受託している。メーカーにとって利幅は小さいが、特売などの販促コストがかからず、工場を安定的に稼働させられるなどのメリットがあり、PB受託に協力するメーカーが増えている』
PBの冷凍食品のニーズは、消費者、小売業、メーカーの3者にとってメリットがあります。もっとも、余りにジャンクな冷食が増えなければと思っています。日本は着実に米国の後を追っています。所得が減少した後、一人で稼いだ家計が、夫婦共稼ぎとなり、家庭での料理が崩壊しました。その結果、高カロリーで、バランスに欠けたジャンクフードが食卓の中心となったのです。この結果、多くの米国人が健康悪化に苦しめられています。日本のメーカーはきめの細かい顧客のニーズに、常に対応してきました。今後、冷凍食品の需要の増加が予想される中で、栄養バランスがとれ、かつビタミン豊富な冷食の開発が、冷凍食品メーカーには求められているのです。
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