2012年10月4日木曜日

ソフトバンクによるイー・アクセス買収、期待されるiPhoneのテザリング機能

 私は、初めて所有したスマートフォンは、アップルのiPhone3GSで、今も愛用しています。同機種は、今般、ソフトバンクが手に入れた900MHzのプラチナバンドには対応しておらず、従って、同バンドのサービスを開始した7月以降も私のスマートフォンの接続環境は全く変化していないことになります。もっとも、スマートフォンを使って、電話することはほとんどなく、もっぱらデータ通信のみを行っていることから、そもそも関係がないことです。それは、いわゆるプラチナバンドが主に音声通話を対象としたものであるからです。そして、肝心のデータ通信もNTTドコモのモバイルルーターを使用していることから、ソフトバンクがどのような周波数帯を手に入れようが、接続環境には全く変化がないことになります。私がNTTドコモのルーターを使っているのは、ソフトバンクのデータ通信の接続が、ビルの奥の方には入りにくく、かつエリアも狭く、データ通信をしていて、ソフトバンクのサービス体制に不満を持ったからです。

 そもそも、データ通信にとって有利なのは、多くのデータを転送できる、高い周波数であり、NTTドコモのLTEサービス、Xi(クロッシィ)もどうも2GHzという高い周波数を使っているようです。つまり、ソフトバンクがしなければならないのは、新たな周波数を手に入れることではなく、より多くの基地局を着実に整備することです。周波数が高いと電波の直進性が高まり、データ量は多くなるものの、街中などではきめの細かい基地局がどうしても必要となるからです。こうした中で、ソフトバンクが、イー・アクセスを買収、新たに1.7GHzという高い周波数を手に入れました。同周波数は、アップルが新型iPhone5で世界標準の電波として指定しているもので、「これまでとは価値が全く変わった」(孫ソフトバンク社長)としています。この買収により、ソフトバンクは、イー・アクセスの基地局も同時に手に入れることで、やや期待される一方で、NTTドコモを上回るきめの細かい電波を提供できるか、今後の動向を見守っていきたいと思っています。

 ソフトバンクによるイー・アクセス買収に関する記事が2012年10月2日付読売新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『イー・アクセス買収、周波数確保で巻き返し。ソフトバンク、iPhone5で遅れ』です。以下引用文。
 『ソフトバンクがイー・アクセスを買収するのは、新発売の米アップルの新型スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)5」を巡り、KDDIとの販売競争が激しくなっているためだ。後発のため、携帯電話向けの周波数で劣勢にあったソフトバンクは、イー・アクセスが持つ周波数を取り込むことでつながりやすくし、契約数で先行するNTTドコモ、KDDIを追撃する構えだ。(鹿川庸一郎)
 「我々がイー・アクセスに熱烈なラブコールをした背景にあるのは『テザリング』だ」
 1日に東京都内で記者会見したソフトバンクの孫正義社長は、こう強調した。
 「テザリング」とは、外出先などで、スマートフォンを経由した電波を使って、近くにあるパソコンなどでインターネットに無線で接続できるようにするサービスだ。アイフォーン5で競合するKDDIが発売日の9月21日からテザリングを始めると発表したのに対し、ソフトバンクは当初、アイフォーン5でのテザリングを行わない方針を示していた。だが、躍進を支えたアイフォーンでKDDIに負けることは許されないソフトバンクはすぐに追随を決定した。
 ただ、テザリングを始めるとデータ通信量が大幅に増え「全国的に障害を起こしてしまうリスクをぬぐいきれない」(孫社長)という状況に追い込まれていた。このため、アイフォーンで使える次世代高速通信「LTE」の電波を持つイー・アクセスとの経営統合を、1 週間あまりという異例の速さで決断したという』
 行動の速さについては、ソフトバンクは素晴らしいといえます。カリスマ的な指導者がいる同社ならではのスピードです。一方で、上述した通り、今のソフトバンクに求められるのは、きめの細かい基地局の整備です。今回の買収で新たな周波数を得たことではなく、イー・アクセスの基地局を手に入れたことに意義を感じます。テザリング機能は、iPhone4当たりから既に備わっており、モバイルルーターを使っている私にとって、今さらという印象を受けます。しかし、NTTドコモよりも接続エリアが拡大するのならば、ドコモの契約を解除、ソフトバンクに集約することも選択肢に入ります。
 それはしません。何故ならば、スマートフォンはソフトバンク、モバイルルーターはNTTドコモとした方がリスクヘッジになるからです。最近では、NTTドコモも通信量の爆発的な増大から、相次いでトラブルが発生しています。NTTドコモが使えない時は、ソフトバンクを使い、その逆も逆です。スマートフォンの利用は、スマートフォン自体の通信機能は極力使用せず、もっぱらモバイルルーターを使用し、インターネットに接続することがベストであると考えているのは、私だけでしょうか。

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