2012年12月13日木曜日

今後のカギを握るアジアの成長率の上方修正

 事実上、日本が景気後退へと突入したようです。ヨーロッパ経済もマイナス成長が続いており、「財政の崖」を迎える米国経済は、先行き不透明感が増しています。世界経済が景気後退に入るか、否かの崖っぷちにいる中で、期待されるのは、今や機関車役となっているアジア、特に中国、インド、ASEAN諸国の経済成長です。アジア諸国の特徴は、所得水準もまずまずの水準に達している上、人口規模も大きいことです。消費者の購買意欲が旺盛であり、自動車など耐久消費財などの需要拡大が予想されており、日本企業にとっても有望な市場となっています。
 右図は、アジア開発銀行ホームページ掲載のデータより作成した、アジアの主要国の一人当たりGDPを示しています。各国のデータの比較がしやすいように、シンガポールは除いていますが、同国は40,070米ドルに達しており、日本を凌ぐまでになっています。個別にデータみると、中国がタイを僅かに上回っていること、マレーシアが突出していることが読み取ることができます。しかし、人口規模も大きいパキスタンは1,050米ドル、バングラデシュは700米ドルと低い水準にとどまっており、成長著しいインドも1,270米ドルであることから、アジア諸国の中でも豊かな国とそう出ない国の二極化が進んでいるようです。

 こうした中で、東南アジアの経済成長率が上方修正されました。アジア開発銀行(ADB)発表によれば、10月時点の見通しと比べて、インドがやや下方修正、中国が変わらずとなる一方で、ASEAN主要5カ国であるシンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンの成長率が上方修正されました。やはり、この中の本命は、インドネシアと私は考えています。人口増加が著しいイスラム教国の中でも、民主化が進み、天然資源だけに依存しない経済構造へと脱皮しつつある同国は、日本企業の有望な市場であるともに、生産拠点としての地位を高めることが予想されるでしょう。アジア開発銀行の経済見通しに関する記事が、2012年12月7日付日本経済新聞夕刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『東南ア成長率、上方修正。アジア開銀、今年5.9%予想。内需、輸出減を補う』です。以下引用文。

 『【マニラ=佐竹実】アジア開発銀行(ADB)は7日、2012年の東南アジア5カ国の実質国内総生産(GDP)成長率の予想を5.9%に上方修正したと発表した。欧州債務危機の影響で先進国の需要が低迷する中、強い内需が輸出の減少を補うフィリピンやインドネシアなどの底堅い経済がアジア全体の成長を下支えする構図だ。成長する内需を取り込むために進出する日本企業も増えている。(中略)
 東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国では、12年の成長率予想を10月の前回よりも0.3ポイント引き上げた。13年も5.8%へと0.1ポイント上方修正。欧州債務危機などを受けて輸出は減っているが、内需の強さがそれを補っている』
 記事を読んで驚いたのは、フィリピンの経済成長率が、中国と肩を並べていることです。先行するシンガポール、マレーシア、タイ、インドネシアと比べて、政情が常に不安定さがあったことから、やや出遅れていたフィリピンも成長軌道へと突入したようです。以前は、ASEAN諸国とのやや対立感がありましたが、円高を契機に日本企業が、国内の工場をASEAN諸国へと一斉に移転、工業国への脱皮が進み、世界経済の成長セクターへと登りつめたのです。そして、中国や韓国と異なり、日本は、ASEAN諸国とは良好な関係維持するとともに、領土問題もありません。これら諸国の成長は、日本企業にとってプラスであり、所得水準がより一層高まれば、EUのような経済統合へ向けた合意形成もできるかもしれません。インフレ、経常赤字、財政赤字などがネックとなり、インド経済に失速感がある中、世界経済にとって東南アジア諸国の持続的な成長は、希望の星ともいえるでしょう。

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