2012年12月16日日曜日

わが国のエネルギー政策、カギを握る米国からの天然ガス輸入

 原発再稼働が、スムーズにいくかは、衆議院の選挙に左右されるといえます。もっとも、2012年12月7月に発生した地震により3月11日の悪夢がよみがえり、地震が多い日本にとって原発に依存したエネルギー体制には限界があることを思い知らされました。しかし、一方で地球温暖化の問題は待ったなしの状態にあり、二酸化炭素の排出量抑制に向けた施策も求められています。夏の北極圏の海氷面積は確実に小さくなっており、近年頻発する異常気象も地球温暖化による影響であると思われます。
 農業生産には、気候が安定していることが前提になります。気候が急変動した場合、作付けした農作物が、成長期、収穫期等に打撃を受けることで十分な収穫量が得られないことがあり、干ばつはもとより、多雨でも影響を受けるのです。人口が急増している中で、食料在庫も低水準にある今、気候変動にもっと注視する払う必要があるといえます。こうした中で、11月26日にカタールのドーハで国連の気候変動枠組み条約の第18回締約国会議(COP18)が開催されました。先進国だけが温暖化ガスの排出量削減義務を負った京都議定書から、全ての国が同じ枠組みの中で協力し合う新体制へと移行する転換点となる会議として注目されています。当初は、新体制の工程表づくりが主たる議題であるため、それほどの利害対立はないと予想されていました。しかし、温暖化対策などに使う資金支援の面で協議が難航しました。温暖化ガス排出での先進国と途上国の対立は厳しくなる一方で、景気後退が長引き、環境問題を無視した、経済効率重視へと各国政府が重点を置いている気がします。そうした中で、新エネルギー、シェールオイル、シェールガスなどの登場によりエネルギー政策は根本から考え直す時期が訪れているようです。
 米国では、近年開発されたシェールオイル・ガスにより化石燃料の輸入大国から輸出大国へと姿をかえようとしています。右図は、BPホームページ掲載されているデータより作成した天然ガスの生産量の推移を示しています。90年以降より5,000億㎥強で推移していた生産量は、2010年には6,041億㎥、2011年には6,513億㎥へと急増、2012年にはさらなる増加が予想されています。しかし、産出量の急増により、米国での天然ガスの価格は大幅に下落しており、日本が購入するLNGと比べて5分の1にとどまっています。このため、米国では、日本などへの天然ガス輸出を視野に入れたエネルギー政策の転換が注目されています。
 2012年12月7日付日本経済新聞朝刊には、米国産に天然ガス輸入に関する記事が掲載されていましたので紹介します。日本が輸入するLNGの購入価格は、100万BTU(英国熱量単位)あたり15.4ドルであるのに対して、米国では3ドル台後半だそうです。液化、輸送コストを踏まえても、米国からの輸入は10ドル前後で済むとのことで、商社、電力会社、ガス会社は、独自に輸入計画を策定、安い米国産の天然ガス輸入を実現とともに、カタールなど主要輸入国との価格交渉を優位に進めるという思惑があるようです。記事の題目は、『米産ガス輸入へ前進。エネ省、来春にも許可の見通し。火力コスト抑制、期待』です。以下引用文。
 『【ニューヨーク=小川達也】米国からの液化天然ガス(LNG) 輸入が実現に向けて前進した。米エネルギー省は5日、これまで制限してきたLNGの輸出拡大が「米国の利益にかなう」とする報告書を公表。来春にも同省が輸出を許可するとの見通しが出てきた。割安な米国産を輸入できれば、火力発電の燃料費負担増に歯止めをかけ、電気料金の上昇抑制につながる可能性がある。
 新型の「シェールガス」の採掘技術が確立した米国では、天然ガスの生産量が急拡大ししている。米政府は自由貿易協定(FTA)を結んでいない国への輸出を厳しく制限しているが、日本を含む「非FTA国」からの需要は強い。エネルギー省は昨年5月、当時はまだFTAが発効していなかった韓国などへの輸出計画を初めて許可した。
 だが「輸出が増えれば国内のガス価格上昇につながる」との不満が消費者や産業界から高まり、15件以上申請されていた輸出計画の審査をいったん凍結。中立の専門機関に委託して影響を分析してきた。
 5日の報告書は輸出の利点を強調しており、輸出拡大にお墨付きを与える内容だ。エネルギー省はこれを受け、凍結していた計画の審査を再開する方針を示した』

 1973年の第1次オイルショック発生当時、私は子どもながらエネルギー資源の枯渇に関して恐怖を抱きました。それは、30年後にはエネルギー資源はなくなり、経済的な打撃を受けるという内容のものでした。それから40年近くがたった今でも、石油、ガスなど化石燃料の埋蔵量は増え続けているのが実情です。技術進歩の凄さには敬意を表するものの、化石燃料の消費に歯止めが掛らなくなっています。上表でのシェールガスの米国での資源量は、750TCF(兆立方フィート)です。100立方フィート=2.8317㎥ですので、単純計算で21兆㎥です。2011年の米国における天然ガスの産出量が6,000億㎥であることから、予想量は意外と少なく約35年分となります。しかし、今後も技術開発の進歩、埋蔵地域の発見により増加することが予想されることから、既存の天然ガスの加えると、米国のエネルギー事情は当面は自給率が上昇することが期待されます。皮肉にも地球温暖化の結果、北極圏の海氷が解け、北極圏での石油・ガスの開発も視野に入ってきています。人類は永遠に化石燃料を掘り続ける勢いでようとしているのです。しかし、経済重視、環境軽視のエネルギー政策により、しっぺ返しを受ける可能性は十分にあり、今年の干ばつによる穀物受給の逼迫は、それを物語っている気がします。

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