しかし、全く価格交渉をしていない訳ではないのが、私のデジタルライフです。ここで購入価格として参考になるのが、価格.comが提供する価格とレビューで、最終的にはアマゾンなどのネットショップで購入しているケースが多々あります。アマゾンは家電量販店とはいえはいえないカテゴリーの会社ですが、在庫が豊富にあり、入荷スピードも非常に速いことから備品やCD、DVDなどを中心にアマゾンはかなり利用していると思います。データの裏付けがないでのすで、私の主観となりますが、家電量販店の脅威になっているのは、家電量販店同士の競争ではなく、アマゾンなど無店舗経営をしている業態ではないでしょうか。
ここへきて、家電量販店どうしの合併が相次いでいます。量販店同士の激しい競争は認めるところですが、それは消費者にとってプラスであり、消費者余剰の拡大につながるからです。しかし、余りに巨大となった企業は逆に独占状態が進むことで、どこかで消費者余剰が減少しているケースがあると感じています。米アップル社は、他を圧倒する独占的なブランド力をもって世界を席巻しており、毎期、稼ぎ出している膨大な純利益はそれを物語っているともいえるでしょう。アップルは過去にも独占禁止法違反まがいのことを度々しており、その場合は、消費者余剰ばかりか、社会的余剰が減少、死過重が増加することとなります。上図は、独占による社会的余剰の減少を示したものです。社会的余剰とは、限界費用の上で、需要曲線を下回る部分です。独占企業は、自らでもって生産を調整することができます。社会的余剰が最大となるのは、均衡点E、価格P、数量Xの時です。しかし、独占企業は、社会的余剰よりも生産者余剰が増加する均衡点E'、価格P'を選択し、数量X'で生産量を決定するのです。
一方で、製造業にとって家電量販店での販売は、逆の立場になります。つまり、企業といえども量販店側は、製造業からみて消費者の立場となります。そして、自ら販売網を使って消費者余剰(この場合は企業利潤です)を拡大させようとします。結果として現れるのが、製造業間の過当競争です。パナソニック、ソニーの赤字拡大は家電量販店の消費者余剰拡大の結果ではないでしょうか。つまり、右図のように、競争力がない家電メーカーは、製品を買いたたかれることによって、限界費用を下回る均衡点E''、価格P''を選択し、数量X''で生産量を決定しているのではないでしょうか。製造業が極度に疲弊することは、雇用問題だけをとっても国民経済にとってマイナス面があります。消費者サイドに近い企業の力が得ることは、消費者余剰拡大という意味でプラスですが、マイナス面も十分にあることは考慮するべきでしょう。
今日の引用は、2012年7月14日付日本経済新聞朝刊の記事です。ヤマダがベスト電器の買収を決定したという記事です。記事の題目は『ヤマダ、ベスト電器買収を発表、「大手、将来3〜4社に」』です。6月にビックカメラによりコジマが買収されたばかりです。家電量販店は、競争時代を持続するのでしょうか。それとも寡占が進み、さらには独占へと向かうのではないか、そして、その背後にある製造業がさらに疲弊するのではないかという危惧があります。以下記事引用。
『家電量販最大手のヤマダ電機は13日、ベスト電器を買収すると正式発表した。ベストが12月末までに実施する第三者割当増資を121億円で引き受け、出資比率を51%に高める。ヤマダは家電量販店市場が縮小に向かう中、「全国チェーンは3〜4社になる」(山田昇会長)と指摘。ベストをのみ込み、シェア拡大を加速させる狙いだ』私が住むエリアでは、ヤマダ電機の方がベスト電器よりも立地がいいことから、今、ヤマダ電機のある店舗が閉鎖、ベスト電器の店舗に集約するのではないかと考えています。これで、私にとって、あのベスト電器の立地条件ならば、利用してもいいかとは感じています。つまり、この合併は、製造業サイドの厳しさはともかく、少なくとも私自身にとっての消費者余剰は拡大することを意味しているのです。日本経済、特に製造業の将来を考えている常日頃です。この現象は私にとって複雑ともいえます。
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