『(LIBOR)とは、London InterBank Offered Rateの略。ロンドン市場での銀行間平均貸し手金利のこと。割引率、リスクフリーレート、SWAPなどの金融用語が羅列されており、これを読んでもさらに分からないところがありますが、企業や住宅ローンなどの金利の基準となるだけでなく、デリバティブなどより広範な範囲で影響することが分かります。また、コールレートとの違いが分からないため、同用語集の無担保コールオーバーナイト物の説明を引用します。以下引用文。
株式・為替・金利などのデリバティブは、各々の原資産に関らず、必ずキャッシュフローに置き換えて価値を算出している。
その際のベースになるのが、LiborやSWAPである。なぜならば、スワップやデリバティブでの実務計算では、割引率(ディスカウント率)やリスクフリーレートなどの基本レートは国債の利回り等から求めるのではなく、LiborやSWAPから導出しているからである。英国銀行協会(BBA)により、日に一度発表されている』
『金融機関同士がコール市場において、担保なしで、短期金利を借り、翌日には返済する取引のことを「無担保コールオーバーナイト物」という。このときの貸し借りの金利を「無担保コールオーバーナイト物金利」と読んでいる。もっと分からなくなりました。LIBORがOffered(提示)された貸出レートであるのに対して、コールレートは銀行営業日から翌営業日までを主要取引とする貸借レートである点に違いがあるそうです。
なお、金融機関が仮に市中で資金調達できない場合は、金融機関は日本銀行に担保を差し出し、日本銀行より、資金調達をおこなう。このときの貸出金利が、基準貸付金利(かつての公定歩合)である』
最近、新聞紙上や報道番組で賑わしているのが、英バークレイズによる金利不正です。もっとも、金利を提示する側、金利を応諾する側も金融のプロです。資金需給からみてofferされた金利水準に違和感がある場合、応諾したないのが当然の流れです。つまり複数行が関わっているということです。事実、金利不正がドイツやスイスの銀行を巻き込み、複数銀行による不正であることが判明してきています。2012年7月11日付日本経済新聞朝刊にLIBORの金利不正に関する記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『金利不正、複数行で利益、Libor操作、深まる疑惑』です。以下引用文。
『【ロンドン=上杉素直】国際的な基準金利である「ロンドン銀行間取引金利=LIBOR」の不正操作問題で、複数の大手銀行がデリバティブ(金融派生商品)を使って不当な利益をあげていた疑いが出てきた。大手銀は通貨や期間を絞り込んだうえで、虚偽の申告を繰り返してLIBORを有利な水準に誘導したとみられる。不正操作には英銀バークレイズ加え、ドイツやスイスなどの銀行の関与が疑われている。ここで思うのは、大和銀行ニューヨーク支店の行員による米国債の不正取引です。結果、3億4千万ドルもの罰金を課せられ、同行が海外が撤退するという事態を招いたことが余りに知られる事実です。邦銀が、LIBORの不正に関わっていないことを祈るだけです。仮に関わっていたとすれば、この不正行為に対する罰金は、3億4千万ドルでは済まされないことも考えなければなりません。上の表が示すように、LIOBORは世界の金利水準に影響を与えていることから、それを基に計算された企業や住宅ローンの金利を支払っている個々の主体に対して、不正に関わった金融機関は賠償金を支払う義務があります。各国金融当局は毅然とした対応が求められるところであり、関わった金融機関に対しては懲罰的に罰金を課す必要があり、1兆円、2兆円単位の罰金があってもいいのではないでしょうか。これで、イギリスの金融機関にとどめを刺すことができますし、ヨーロッパに金融市場の核が併存するということで、そもそもユーロの混乱をもたらした原因ともいえます。ロンドンのシティに対して、この機会に多額の罰金を課すことで、彼らを国際金融市場から撤退されるチャンスです。
LIBORは大手銀が短期の取引金利を自主的に申告し、それをもとに英国銀行協会が算出する仕組みだ。金利水準の不正操作は2005年ごろから、資産運用を担うトレーダーを中心に始まったと考えられる。
不正操作の舞台であるバークレイズでは露骨なやり取りがメールで交わされていたことが、英金融サービス機構(FSA)の調査で明らかになっている』
バブル崩壊後、日本の金融機関は、ドル資金を調達する際に、市場金利より高いジャパンプレミアムを課され、苦しんだという経験があります。今度は、欧州の銀行に対するヨーロッパプレミアム、どちらかと言えばロンドンプレミアムを課す順番です。
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