2012年7月29日日曜日

深刻な影響も、野村証券、大和証券などによるインサイド情報の漏えい事件

日本国内の金融も腐っている実態を改めて認識しました。私は事実すら知らなかったのですが、2010年8月24日に発表された日本板硝子による公募増資に関するインサイド情報の提供が大手証券会社により、米ヘッジファンド系投資助言会社「ジャパン・アドバイザリー」に漏洩された事件があったそうです。これに関連して、2012年7月28日付毎日新聞朝刊に記事が掲載されていました。今回の事件は深刻であり、野村、大和、日興SMBCなどの大手証券会社の全てが事件に関与、日本の株式市場がどうしてだめなのかがよく理解できました。
 因みに、日本板硝子という会社自体を、私は全く知りませんでしたので、日経会社情報2012年新春号で調べてみました。同社の収益構成は、建築用ガラス42%、自動車用ガラス46%、機能性ガラス11%で、売上高は2011年3月期で5,772億円に上ります。私が注視したのは、自動車用ガラスに対する売上高です。実は、私は、ある大手自動車会社の株式を少しばかり保有しています。つまり、この大手証券会社による不正は、間接的ではありますが、私が株主である企業に対しても損害を与えている可能性もあり、大手証券会社に対して損害賠償を請求する権利を私は有しているのです。実際のところ、決してそんなことはしませんが、時間があれば考えてもいいと思っています。つまり、私が言いたいのは、市場とは、一つのリングでつながったものです。あるものの価格が下がれば、あるものの価格が上昇する。価格とは、相互に関係しながら、日々変動、公正な価格形成を信じ、この信頼のもと市場参加者は取引を行うのです。その際に、情報に非対称性がある場合、ある特定の経済主体が利益を一方的に得ることとなります。そして、つながっているはずの市場のリングが、実はつながっていなかったという事実を、情報を知らなかった一般の人々は、後で知る事になるです(ほとんどは知らぬ間にです)。ルールは、いたってシンプルです。経済学の入門書のプロローグに記載されています。上図が示す通り、需要と供給により価格と量が決定されるのです。そこに、情報の非対称性という不公正な状況があれば、一般均衡理論のもと市場は瓦解するのです。
右図は、日本板硝子の公募増資が発表された2010年8月24と公募増資が実施された9月の株価です。信用取引の残高をみる限りでは、直前に信用取引の売り残が急増するなどの投機的な取引は確認できませんでした。しかし、仮に内々にこのインサイド情報を手に入れた場合の投資行動は、株価がピークに達した230円当たりで信用取引の売りを仕掛けることで一方的利益を得ることができることが、同社の株価の推移から事後的に知ることができます。投資助言で恐喝まがいのことをしている米ヘッジファンドのすることは、米の金融業界の腐り具合から察することができますが、バブル崩壊という苦しみを20年間という長きの間、経験した日本の金融機関がすることではないです。この行為は、経済的な苦しみから立ち直ろうとする普通の人々(ordinary people)(注1)の日々の努力を根底から崩し、不正をして、人を蹴落として、自分さえ儲かれば許されると考えている、頭のいかれた金融至上主義者、つまり普通ではない人々(extraordinary people)のやったことです。
 今日の引用は、2012年7月28日付毎日新聞の記事です。記事の題目は『大和証券、増資インサイダー。手数料、漏えいの動機か。大口ファンド、情報要求も』です。ヘッジファンドは、反省の色なしです。会社名は「ジャパン・アドバイザリー」から「ジャパン・インサイダリー」に変更した方がいいですね。米国、欧州、日本のみならず、世界が金融という亡霊にうなされているのです。以下記事引用。

『大和証券グループ本社が27日、企業の公募増資を巡るインサイダー取引への関与を認める情報報告書を公表、野村、SMBC日興証券とともに3大証券会社すべてで不正な情報漏えいが行われ、経営トップが社内処分される異例の事態となった。大和から情報漏えいを受けた米ヘッジファンド系投資助言会社「ジャパン・アドバイザリー」(JA、東京都中央区)は、売買注文の発注を「エサ」に、他の証券会社に対しても公募増資などの未公表情報の提供を要求していたとみられている。金融庁は大手証券12社にJA社との関係を点検し報告するよう求め、「癒着」の実態解明を急ぐ』

ほとんど恐喝まがいなことをしている米ヘッジファンドの実態(注2)とそれに屈した日本の金融機関という構図がみえます。証券会社から組織的な関与はないという説明がありますが、個人的な動機ですまされるのでしょうか。そして、その個人的な動機とはいったい何でしょうか。生活が苦しかったのでやむを得なくしましたというのならば、情状酌量の余地があります。しかし、大手証券、銀行の給与水準から考えて、それはないでしょう。上図は、大手金融機関の平均年収と業種別平均の平均年収です。今日は、公平を期する必要があるために、業種の年収トップ企業と業種の平均値を併記する形でグラフを作成しました。野村HDの組織的な関与がなかったとして、上記のこの年収です。まさに「金の亡者」です(注3)一般庶民の年収は、500万円を下回っているのが実態です。このことから教訓を得て、今後、人類の持続可能な発展に生かすため、彼らの脳をスキャンして精神構造を解明する必要がある気がします。これが生物的に解明できれば、ノーベル経済学賞受賞も可能でしょう。本当に恥ずかしい話です。
(注1)ロバート・レッドフォード監督の『普通の人々』に合わせた表現です。
(注2)JAの社員は日本人の可能性はあります。外国人を差別する意味はありませんが、仮に「JA」の社員が日本人ならば、本当にひどい話です。これは「ゆすり」と同義です。
(注3)2012年3月7日付『「お金」と人類の発展』のブログの中で記述。「お金」を手にすると、脳内の腹側線条体の活動が活発化するそうです。

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