2012年7月13日金曜日

野菜工場、植物工場が新たなビジネスへ

少し前までは、わが国の電気の供給は世界的にも非常に安定しており、コストを削減することや、エコを目指して企業イメージを高める以外には、製造業の製造現場に省電力を求めるという話はありませんでした。今は、省エネは国民一人一人に求められていることであり、日々の生活にも支障をきたす問題となっています。私は、電気の未来を夢見て電力会社への投資を進めました。つまり、石油やガス、そしてウランなどは資源は確実に枯渇しますが、形は変えて発電する方法は大きく変化するものの、最終的なエネルギー源は電気エネルギーであるという帰結は約束された未来であると考えていました。結果は裏目に出て、大損害を出し、配当もままならいない状態になってしまいました。
 政府も、長期的なエネルギー政策の転換も当然のことながら、短期的、つまり今夏の電気エネルギーの安定供給体制の確立を目指すことが求められています。もっとも、エネルギー政策は、国家の根本のなすことであり、米国の世界戦略もそれに準じたものです。米国ならば、エネルギーの確保のためなら、戦争を仕掛けますし、中国の外交もエネルギー戦略を基本に国家目標としています。その点、日本政府は、国家戦略としてのエネルギー確保についての認識が、他国に例をみないほど甘く、将来的に、この国に自分自身を任せてもいいのかどうか疑問に思っているとろこがあります。
 こうした中でも、電気を使ったビジネスが花開きつつあります。自動車産業の目玉である次世代の車は、ハイブリット車をさらに進めた電気自動車です。電気供給がおぼつかない状況での電気自動車の推進をいかなるものかと感じますし、この分野で遅れをとる可能性も出ています。また、最近では「植物工場」という新たなカテゴリーに大企業が進出し、市場拡大の可能性が出てきています。しかし、電気の安定供給がなされて初めて実現されるビジネスであり、これら新たな産業の活性化のためにも、電力会社や政府関係者は懸命な努力が必要とされています。
 今日は、電気自動車ではなく、「植物工場」「野菜工場」に関する話題です。「植物工場」とは、LEDなどを使用し、屋内で野菜を栽培するものです。『週刊東洋経済』2012年6月30日号に『大企業が続々参入、植物工場は儲かるか』の題目の記事が掲載されていましたので紹介します。記事の冒頭には、大和ハウス工業、日本GE、パナソニックなどの企業が、この分野に熱い視線を送っていることが記述されており、注目されている分野であることを認識しました。以下記事引用。
 『参入する企業は今のところ、実験や企業の宣伝と位置づけて取り組んでいるとろこが多い。
 サンドイッチチェーンを展開する日本サブウェイは10年に、政府の補助金を受け、東京・丸の内に植物工場を併設した店舗「野菜ラボ」を出店した。「店産店消」というコンセプトで、客席部分の中央に小型の植物工場ユニットを設置し、フリルレタスを育てている。工場の生産量は店舗で使用するレタスのわずか3〜5%程度。採算は到底合わないが、「サブウェイが野菜に関心を持っていることをアピールしたい」(マーケッティング本部・商品グループの岩崎麻佐子主任)。
 一方で、採算を確保するために本腰を入れて取り組む企業も出てきた。「北海道」などの居酒屋チェーンを展開するコロワイドは、2億円を投じて子会社・コロワイドMDの神奈川工場に植物工場(敷地面積246平方メートル)を設置。6月1日から稼働した。
 目的は、野菜の仕入れ価格を安定させること。ここ数年、猛暑や厳冬などで葉物野菜を中心に頻繁に価格が高騰。コロワイドもそのあおりを受けた』
植物工場のメリットは、仕入れ価格の安定以外にも、品質が安定していること、農薬を使用しないことなどがあります。右図は、総務省統計局発表の東京都区部の消費者物価指数の総合と生鮮野菜の前年同月比対比を示したものです。総合とは異なり、生鮮野菜の価格変動は激しく、大幅に下落する年もあれば、暴騰する年もあるというのが読み取れます。今後は、地球温暖化の影響もあり、気候変動がより一層激しくなることが予想されています。しかし、ここに矛盾があります。これが、温暖化を防ぐ上で求められる省エネとは逆の流れである工場内での野菜の栽培ということです。この矛盾を克服する唯一の方法は、発電が風力や太陽光といった自然エネルギーによりつくられたものであるということです。課題はあるものの、夜間にも電力の供給が必要なことから、「植物工場」には風力発電システムなどの併設がベストであると強く感じました。また、LEDの生産、風力発電システム、そして蓄電池などの分野への波及効果もあり、裾野が広い分野であると思います。

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