そして、ここへきて欧米の大手金融機関が一斉に格付けが大幅に引き下げられ、欧米の金融機関の体力が弱っていることが鮮明となってきました。三菱UFJがモルガン・スタンレーの普通株を保有し、連結対象となっていることでやや冷水を浴びせられている感はあります。しかし、ここで、市場から資金を調達するのではなく、預金に基づく潤沢かつ安定した資金を最大限有効活用することで、邦銀にとって海外市場でのビジネスチャンスが広がっているという状況が見えてきました。

2012年7月10日付日本経済新聞朝刊に銀行収益の圧迫についての記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『企業の調達コスト最低、貸出金利1%割れ、カネ余りでも投資に慎重』です。以下引用文。
「カネ余り」など贅沢な話です。欧州の金融機関は市場から資金を主に調達、倒産したデクシア(ベルギー)は3割程度しか預金で資金を調達していませんでした。BNPパリバ(仏)、ソシエテ・ジェネラル(仏)、バークレイズ(英)、クレディ・アグリコル(仏)なども4割か、それを下回る水準でしか預金の裏付けがないという実情があります。ここは、チャンスです。市場での資金の融通がタイトになっている中で、欧州の金融機関は身動きがとれなくなっているはずです。上記で示したように、国内市場には閉塞感があります。邦銀の世界市場でのビジネス展開は、ある意味、先行して進出している製造業の支援にもつながります。邦銀にとってせっかく訪れたチャンスです。逃さない手はないでしょう。『企業の資金調達コストの低下が止まらない。5月の国内銀行の貸出金利の平均は0.989%となり、1993年の統計開始以来初めて1%を割り込んだ。信用力のある企業が発行する社債の金利も相次ぎ1%を下回った。低金利でも、先行き不透明感から企業は借金して投資をすることには慎重なためだ。空前の「カネ余り」なのに、実体経済にはお金が行き渡りにくい状態が続いている。 国内銀行の6月の貸出残高は約400兆円。預金残高はこれを約200兆円上回った。預金の伸びが貸出の伸びを上回った結果、この差額は10年間で2倍に拡大した。 預金を元手に融資するのが銀行の本業だが、法人向け融資は5月時点で総額262兆円と、ピーク時の95年当時の7割未満にとどまっている。企業の資金需要が乏しいため銀行の手元に預金が積み上がる「カネ余り」となり、貸出金利がさらに下がる構図だ』
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