2012年7月30日月曜日

米国経済への依存と成長率が鈍化する世界経済

米国の経済成長率がさらに鈍化しました。これは、失業率の高止まり、就業者数の増加幅の縮小などからある程度予測された事実です。最近では米ドル高などを背景とした企業収益の悪化なども要因として考えられるようになってきました。EU経済はどん底にあり、それに引っ張られる形で、2012年4〜6月期の中国の成長率が7.6%と、3年ぶりの8%割れを記録したばかりです。ここはどうしても米国経済の本格的な回復に期待したいところがあります。
2012年7月28日付日本経済新聞朝刊に米国の経済成長率に関する記事が掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『米、1.5%成長に減速。4〜6月期年率、消費・投資振るわず』です。新興国・途上国の世界経済に占める割合が高まっているとはいえ、輸出依存の経済成長であることには変わりなく、米国、欧州、日本などの先進国の旺盛な消費需要がなければ立ち行かないのが現状です。特に、米国は、経済規模が大きく、所得水準が高く、そして人口が増加している唯一の経済大国です。欧州経済が機能不全に陥っている中で、米国経済の復活なくして、世界経済の安定はないのです。上図は、日本、中国、米国、EUの経済成長率の推移を占めています。特徴は、中国経済の成長鈍化です。中国経済が輸出主導で成長するには、世界経済は小さすぎるのです。以下引用文。
『【ワシントン=矢沢俊樹】米商務省が27日発表した2012年4〜6月期の米実質国内総生産(GDP、速報値、季節調整済み)は前期に比べ年率換算で1.5%の伸びにとどまった。欧州債務不安や米財政問題などを背景に個人消費、設備投資がともに振るわず、1〜3月期の2.0%増(改定値)から減速した。
市場予測の平均である1.2%を上回った。だが「2%台半ばとされる米経済の潜在成長率よりも低く、失業率は高止まりが続く」(ディシジョン・エコノミクスのシニア・エコノミストのピエール・エリス氏)といった見方が多い』
 戦後、70年近くも米国経済に依存している世界経済は、それぞれの国々がそろそろが自立してもいいのではないでしょうか。しかし、米国経済に依然として依存しているにも関わらず、政治的な支配を嫌うロシアや中国の対応は疑問が残ります。それは、内戦が状態に陥っているシリアへの対応です。米経済の立ち直りを切望しているのは、世界経済ばかりかロシア、中国も一致しているはずです。その米国、そして欧州諸国に逆らい、独裁国家を擁護する結果となった安保理におけるロシア、中国の拒否権の発動はいかなるものかと思っています。また、ロシアや中国の政府によるマスコミ封じには辟易しており、両国とも現時点では世界のリーダーとなる器はありません。両国が世界経済の主導権に握った時点で、全てなクリエイティブな考えや、人と人とが協調する精神を捨て去るという時代が到来します。せめて平和の祭典であるオリンピックの開催期間中でもシリア政府が停戦に応じて欲しいと切に祈っています。上図は、先進国と新興国・途上国のGDPのシェアを2007年と2011年で比較したものです。4年間で、先進国が71.6%→63.8%と7.8ポイントシェアを落としていることがわかります。しかし、この時点では、ユーロ相場が大きく下落しており、ヨーロッパ経済が萎縮している状況下でのデータです。米国経済の本格回復に加え、ユーロ圏が本格的に回復すれば、そして日本経済が立ち直れば、違ったデータになるではないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿