2011年12月28日水曜日

国債残高の国債比較

『週間エコノミスト』2012.1/3・10迎春合併号に、主要国の国債残高が一目で分かる表が掲載されていました。やや抵抗があるものの、非常に参考になりますので、加工せずにそのまま掲載させていただきます。
 表の取り込みは初めです。エクセルの枠線が残っていますが、お許しください。この表から読み取れるのは、我が国の国債の残高が、GDP最大の米国の残高を大きく上回っていること、額面、時価ともに世界の国債市場の3分の1を占めることです。一方で、国債の利回りが非常に低いこと、額面<時価、つまりオーバーパーであることが特徴でしょう。国債がオーバーパーの状態にあるのは、我が国のほか、米国、英国、フランス、ドイツがあり、私が知っている限りではカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの国債もオーバーパーです。オーバーパーの国では、少なくとも自国の国債は安全資産であるととらえられており、金融市場においてある程度の健全性が確保されていると考えてもいいでしょう。ここで注目されるのは、イタリアの存在です。上記表にはカナダが含まれていませんが、旧G7の国の中で、額面>時価、つまりアンダーパーの状態にあるのはイタリア国債だけです。アンダーパーの状態とは、国債が当初発行された額面よりも低い価値で時価評価されていることを意味しており、程度の差があるものの、デフォルトのリスクをはらんでいるともとらえることができます。しかも、日本、米国は別格として、ギリシャとは比べものにならないくらい、国債の残高は大きく、ユーロー圏内だけでの救済は不可能です。ギリシャの次はスペインだとも言われていますが、これは失業率が高く、あしもとの経済指数が悪いことを理由としたもので、やはり本命はイタリアですね。
 ここで話を日本に戻します。額面ベースで、事実上デフォルトしたギリシャの国債市場は、日本の3パーセント強に過ぎず、我が国がデフォルトした場合の世界経済に与えるインパクトは測りしれません。財政健全に努め、国債残高の絶対額を減少させることがベストですが、別の方法としては、大幅な円の減価、つまり超円安へと導き(ギリシャは金融政策に制約があり、これができなかったため、デフォルトに至ったとも考えられます)、世界経済からみて相対的に国債残高を減価させ、他国による救済を可能とすることです。しかし、その結果、ハイパーインフレーションが襲い、それに伴う金利の上昇及びリセッションにより経済は立ち行かなくなるというリスクがあります。また、アルゼンチンのように他国通貨建ての国債を発行する方法もあります。しかし、その後、アルゼンチンがデフォルトに陥ったことは周知の事実です。因みに、イタリアの米ドル建て国債は既に存在しており、私でも購入することができます。
  幸い、我が国は経常収支が恒常的に黒字であること、依然として低金利で推移、金利上昇の余地があることなどギリシャとは経済の本質が異なります。また、政策的にもユーロ圏などの単一通貨に属しておらず、金融政策に裁量の余地があることで、デフォルトのリスクをある程度軽減できます。また、政治不信があり、歳出をより一層削減する必要性があるものの、消費税が主要先進国の中で最も低い5パーセントであり、まだまだ消費税を引き上げる余地があることなど財政政策の面でも我が国の方が自由度が高いでしょう。残された時間は少ないですが、現在、消費税引き上げの議論が活発にされています。復興のための増税はやむを得ないことです。選挙での敗北するリスクもありますが、現役世代の立場に立って増税に着手し、財政の健全化へとカジを切ることができれば、後生の人々は、その政治決断を評価すると思います。

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