2011年12月30日金曜日

商品市況と株価

先日、鉄鉱石の市況に関する詳しい記事を読みました(注)。この記事は、2011年度と比べて2012年度は鉄鉱石など資源価格下落により、商社業界が減益となるいう内容のレポートです。記事の冒頭部分に鉄鉱石に関する記述がありました。同記事は『中国の需要拡大によってここ数年、高値で推移している鉄鉱石の11年度平均価格は1トン当たり160ドルであったが、12年度平均は150ドルのレベルに低下するとみている』としており、中国での需要減少が鉄鉱石価格の下落をもたらしていると指摘している。次に、『中国では国産鉄鉱石を月間1.2億トン程度と過去最高水準で生産を続ける一方、鉄鉱石輸入も月間5000万トン前後のレベルで継続しており、今後も輸入依存の構造は変わらないとみられる』と記述、中国は世界最大の鉄鋼生産国であり、かつ鉄鉱石の輸入量も半端でないことがわかります。中国の景気にかげりがみられるという記事を最近目にするが、依然として9%台の成長を続けており、成長にとって不可欠な鉄の需要は引き続き増加、高水準の鉄鉱石の輸入は続くことになります。商社など商品を取り扱っている企業は、鉄鉱石、石油などの商品が高い価格で推移している方が利益幅が大きく、商品市況に業績がリンクしているといえます。
 鉄鉱石に加えて、穀物価格も下落しています。世界経済に減速感が強まっている中、投機マネーが穀物市場から退避、小麦、トウモロコシ、大豆とも終値ベースで年初来安値を更新しています。もっとも、米国のトウモロコシの期末在庫率は6.7%(米農務省発表)と低水準であること、大豆の世界全体の期末在庫量も前年度を下回っていること、豪州・米・メキシコで小麦の減産していることなど、穀物市況には上昇要因もある。しかし、欧州債務危機の影響で、年内は下値を探る相場展開が予想されるとしており、鉄鉱石に加えて、穀物市況も商社業界に減益へと作用する可能性があり、今後株価にも影響を与える可能性があります。
 私が商品市況を気にしている理由は2つあります。一つは累投ではありますが、金の現物買いを行っていること(これは以前のブログで記述しました)、もう一つはエクソン・モービルの株式を持っていることです。同社は株式は、二度購入しました。購入時の株価は、手数料込み(この手数料が高いため、購入株式数が少ない場合、株式の購入単価が大幅に上昇するため、ある程度のロットがなければ購入は勧められません)で、一度目が74ドル、二度目が68ドルです。2011年12月29日付の同社株価終値は85.27ドルであり、一見儲かっているような気がします。しかし、この間、ドル相場が1ドル=90円台前半から、2011年12月30日20時36分現在の1ドル=77.40円と大幅に下落、同社株価はかなり上昇しているものの、私のポートフォリオの中で時価ベースでは依然としてマイナスの状態にあります。しかし、エクソン・モービルは、毎年2兆円前後の利益をたたき出しており、原油相場の高止まりの影響もあって、引き続き高い利益水準を維持するものと考えられます。
 エクソン・モービルの株式購入で損をしていますが、楽しみもあります。それは配当金です。毎年、第2四半期に1株当たり2〜3セントの増配を行っています。一度目の購入は、5年以上も前ですので、米ドル建て簿価ベースの配当利回りはかなり上昇していることとなります。米国企業を中心とした外国株式の面白さはここにあります。一方、日本企業はというと、トヨタ自動車などは減配に次ぐ、減配です。長期投資をしても、この配当金の水準が続くようでしたら、また、減配が続くようでしたら、投資対象としては魅力が低くなります。もっとも、米国企業が、ドル安の恩恵を受けていることを考えれば、やむを得ないですね。
(注)『週間エコノミスト』2011.12.27新春特大号、姫野良太(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリスト)『商社、欧米・中国の減速で資源下落が減速要因』。

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