2012年5月2日水曜日

イスラム金融と天然ガス

イスラム教では、宗教上、資金の貸し借りにおいて貸し主は、利息を借り主より受け取ることができないことはよく知られています。これをイスラム金融ともいい、原油・天然ガスの価格が高止まりする中、石油産出国の資金量は増加し続けており、特にイスラム教を主たる宗教とする石油産出国は運用する資金は莫大な規模となっており、そのプレゼンスが増しています。
 そうした中で、原発がほぼ停止し、夏場の電力不足が懸念されている中、商社などを中心に資源、特に天然ガス確保の動きが活発化しており、2012年5月1日付日本経済新聞夕刊にも、三菱商事、三井物産の豪LNG権益取得に関する記事が掲載されていました。同記事によると、両社はオーストラリアで進む液化天然ガスの大規模プロジェクトに参画する旨発表した。推進主体は、豪ウッドサイド・ペトロリアムで、ガス田とLNGについて約15%を共同取得するそうです。調達量は、年間150万トンであり、日本やアジア諸国などの需要拡大に対応することを目的としています。
 商社が活躍する一方で、金融機関が海外で華々しく活躍する面は乏しかった気がします。ところが、日本の金融機関の代表格である三菱東京UFJが、LNG確保に関連して、イスラム金融をからめた形で、ブルネイ大手銀BIBD、英HSBC、三井住友銀行とともに協調融資を実施することが判明しました。以下、2012年5月1日付日本経済新聞夕刊引用(注)
 『【シンガポール】三菱東京UFJ銀行はブルネイ政府系の海運会社に対して総額1億7千万ドル(135億円)の協調融資を組成する。同国がイスラム教国であるのを踏まえ、教義が禁じている利子の受け払いを回避するイスラム金融方式で資金供給するのが特徴。海運会社は大型の液化天然ガス(LNG)運搬船を追加購入し、対日輸出の拡大に備える』
また、同記事には、イスラム金融について直感的に分かる説明文がありましたので、今後の勉強の意味を含めて引用させていただきます。以下引用文。
 『▶イスラム金融取引 物品の裏付けのないお金のやり取りで利子の発生を禁じるイスラム教の教えに即した金融サービスや商品。住宅を購入する際に銀行がいったん物件を買い入れたうえで高値で実際の購入者に転売し、その差額が利子に相当する「ムラバハ」、通常の融資を物品リース契約に組み直す「イジャーラ」などが代表例。
 イスラム法学者の承認が必要だが預金やローン、債券などほぼすべてで同等の金融商品がそろう。イスラムマネーの膨張に伴い投融資需要が急拡大しており、市場規模は世界全体で1兆ドルを超えたもよう』
途上国に限らず、膨大な国債市場を抱える先進国でも、イスラム教国のマネーを如何に取り込むかが鍵ともなっています。そうした中で、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行の行動は賞賛に値すると思います。ここで、BPのレポートから入手したデータを紹介します。右図は、上で挙げたオーストラリアとブルネイの天然ガスの生産量と日本の天然ガス消費量の推移を示しています。そして、ブルネイの生産量が伸び悩んでいる一方で、オーストラリアの生産拡大が順調であることが分かります。もっとも、両国を合わせた生産量は、日本の消費量の7割近くにも達することから、両国から天然ガスの安定供給が、原発なき後の日本経済に不可欠な存在になっています。政府のエネルギーに関する協議は進んでいません。それに対して、民間企業は、天然ガス確保に向けて動きが鈍いとされる金融機関までも動き出したのは事実です。引き続き商社が担う役割は大きいですが、その資金供給に乗り出した日本の金融機関も注目されます。
(注)記事の題目は、『イスラム金融、協調融資、三菱東京UFJ、ブルネイで135億円』。

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