2012年5月18日金曜日

好調な商社の業績

2012年5月14日付『原油価格とエクソンモービルの株価』のブログにて、同社の好調な業績と大幅な増配について書きました。2012年1〜3月期の純利益は、前年同期比と比べてやや減少という結果となったが、同社の利益水準は依然として高く、ガソリンなどの資源高の要因が背景にあるといえます。米国ではガソリンなどは高止まりする一方で、生活必需品であることから、価格上昇に対して需要の減少はさほどなく、結果として他の支出を抑えるという要因となっており、米国の家計支出にとってマイナスとなるという予想もある。景気は失速する懸念があるものの、価格に対して需要が非弾力的な製品を提供する企業には、この点において強みがあるといえます。
そこで、このことを図でもって説明することにします。ガソリンに関しては、右図の「需要の価格弾力性が小さい」に該当することとなります。需要曲線DDに変動がないとすれば、資源高を背景に供給曲線がSSからS'S'にシフトした場合、価格はPからP'へと上昇します。結果、需要は減少し、VからV'となります。そして、均衡点はEからE'へと移ることとなります。需要の価格弾力性が小さい場合、価格上昇に伴う需要減少は小さく、結果として企業利益は増加することになります。企業利潤は、価格P(またはP')と均衡点E(またはE')を結んだ直線の下の部分で、供給曲線SS(またはS'S')を上回る部分に当たります。これが価格に対して非弾力的な製品を提供する企業の置かれた状況であるといえ、高い利益をもたらすことを意味します。
同様な状況は、日本の商社にも該当します。資源高などを背景に、大手商社が好業績となっている旨の記事が『週刊ダイヤモンド』2012.5.12/19号に掲載されていました。記事のタイトルは「三井物産、資源"一本足打法"からの脱却へ、迫られる収益構造の展開」です。以下記事引用。
『ライバル三菱商事に純利益で肉薄する三井物産。その収益構造は資源価格に左右されやすく、盤石とは言えない。非資源分野の強化で、資源"一本打法"からの脱却はなるか。
商社が、軒並み好業績に沸いている。今週発表される予定の2012年3月期決算では、業績トップの三菱商事が純利益4500億円を計上する見通しだ。丸紅など他の商社も、史上最高益を更新するとみられている。
他業界がうらやむ好業績の背景には、過去に投資した鉄鉱石や石炭などの海外での資源権益がある。さかのぼれば40年ほど前の投資案件が、昨今の資源高の波を受けて花開いているケースもある』
 この記事では、純利益4300億円と好業績を記録している三井物産の資源分野への過度に依存している点が危ぶまれていることを示唆しています。9割以上を資源・エネルギーに依存している同社にとって、これに代わる部門の育成に長年努めており、資源・非資源の割合を50対50にすることを目指しているそうです。右図は、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠、丸紅のセグメント別ROAを比較したものです。図からは三井物産に限らず大手商社の金属セグメントのROA(総資本利益率)は高いようです。これは、あくまでROAからみたものですので、どの程度、個々の商社が総資産の構成で金属やエネルギー分野へと比重が大きいかに依存します。同記事では、三井物産が総資産8.6兆円のうち39%を、三菱商事が総資産のうち45%を金属・エネルギー分野に資産を投入しているようですので、三井物産の過度な依存とは当てはまらないような気がします。もっとも、中国は、産業の血管たる存在である銅への需要は増大し続けており、資源高というトレンドには、今後も変化がないと予想されることから、商社は引き続き好業績を維持すると考えられます。多角化は企業にとって必須条件であり、三井物産の今後の経営転換が期待されるところです。原油など化石燃料はいずれは枯渇します。エクソンモービルでも同様のことがいえるでしょう。

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