2012年5月29日火曜日

下げ止まらぬ土地価格と失敗した都市計画

先日、私は公図(14条1項地図)をみる機会がありました。そこで気がついたのは、道路が屈曲している部分があり、利用できる敷地の形状が整形地ではなく、やや形のいびつな形状(不整形地)をしているものが多くあることに気がつきました。土地の形状は、整形地の方が、利用効率が高く、不整形地は建物を建てることのできない部分の割合がどうしも大きくなります。以下の図は、それを示したものです。

道路が屈曲している2のケースの場合、1の場合と比べて、必然的に建物が小さくなり、土地の有効利用という面では劣後することとなります。交通接近条件や立地条件などが同一ならば、私の選ぶ土地は1のケースということとなります。国土が狭く、特に平野部が狭い日本にとって、土地を有効に利用することは、計画的な都市づくりをする上で重要な要素となる。
私は、過去30年程度の間に、ヨーロッパ、アメリカ、インドネシア、韓国などを旅行した経験があります。来年当たりにも短い期間となりますが、ヨーロッパへ旅行に行こうと予定を立てているところです。ところで、私は、列車を利用して旅行をケースが多い。そして、日本国内の各都市を訪れて気付くことがあります。駅を降りて、駅前をサクサクと歩いていると、どの都市にしても町並みに特徴がないことです。広告のネオンが目について、むしろ不快に思うことが多いです。そして、いつも残念に感じるのは、1,000兆円もの資金を費やして、つくった都市計画と思えないことです。確かに、ヨーロッパとは歴史の蓄積の差があるので、比較は厳しいのかもしれません。しかし、米国のニューヨークに行った時は、200年の歴史しかないのに、碁盤の目に近い道路が整備され、町並みが美しいという印象を受けました。
そして、致命的なのは、都市計画に失敗している上、住宅価格が国際的に比較して依然として高いことです。右表は、OECD主要国の戸建住宅の住宅価格を比較したものです。ロンドンが住宅価格がやや高めになっていますが、1ポンド=135円から現在では125円くらてまで下落していること、敷地面積が東京の200㎡に対して、ロンドンが400㎡と倍の広さであることから、やはり東京の住宅価格が最も高いことになります。過度な円高が進んでいるという関係もありますが、この点からも東京、そして日本全国の住宅価格が下落しているのはやむを得ないという気がします。
上表は、国土交通省が発表している地価公示の推移を表しています。日本の土地価格は、リーマン・ショック後は再び下落へと転じていることが分かります。今後、継続的な人口減少が止まらないわが国にとって、さらなる土地価格が下落は確実視されている中で、私の住んでいる周囲でも農地が埋め立てられ、住宅の建設がどんどんと進んでいます。空き家の数は、30%くらいあると聞いています。人口減少、継続する宅地供給、国際的に高水準な土地価格、この3つの要素を考えた場合、日本の土地はまだまだ下落する余地があると思います。

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