東証1部に上場する企業の2012年9月中間決算が相次いで発表されています。SMBC日興證券調べによると、全体で売上高が、前年同期比で3.8%増加しているものの、純利益は同13.3%減少するという結果です。自動車、小売り、不動産などの業種では改善傾向がみられるものの、電機、鉄鋼では売上高、純利益ともに減少、建設では純利益が減少するなど、業種によって二極化が鮮明になってきています。
しかし、ここへきて、自動車メーカーが、中国での販売台数を大きく減少させており、2013年3月期の決算は下振れリスクが高まっているといえるでしょう。中国経済がやや持ち直していること、欧州債務危機も落ち着きを取り戻して、ユーロ相場が上昇していることを踏まえれば、楽観視することもできます。もっとも、肝心である中国との関係改善の動きがみられないこと、米国の「財政の崖」に加え、日本でも同様の事態が懸念されていることから、私は、先行きに対する見通しを下方修正せざるを得ない気がします。
こうした中で、家電3社の業績の悪さが特に目立ってきています。テレビなど家電の分野で、日本のメーカーが世界市場を席巻していたのは過去となりました。2012年9月の中間決算が発表され、ソニー、パナソニック、シャープといった日本を代表する大手家電メーカーが軒並み赤字決算となりました。特に、シャープの業況は急激に悪化しており、8月時点の予想の2,500億円から4,500億円へと赤字幅が大きく拡大したことが判明しました。これは、液晶テレビの販売、中小型液晶パネルや太陽電池事業の不振が原因であったためで、赤字額として12年3月期に記録した3,760億円を上回り過去最悪となりました。このシャープの決算に関する記事に、2012年11月2日付読売新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。記事の題目は『シャープ赤字拡大4500億円。中小型液晶パネル不振。2期連続、最悪更新』です。ところで、次世代の液晶とも期待されているIGZOは、シャープの切り札です。アップルのiPhoneやiPadへの搭載が予想されていますが、本格的な供給を開始する前に最悪の事態が訪れるかもしれません。予断を許さないのが、今のシャープです。以下記事引用文。
『(シャープの)12年9月中間連結決算は、税引き後利益が3875億円の赤字(前年同期は398億円の赤字)だった。税引き後赤字は中間期としては過去最悪で、財務の健全性を示す自己資本比率は今年3月の23.9%から9.9%に大幅に低下した。このため、決算書に監査法人に指摘で「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在している」と記載した。ただ、リストラの実施や融資枠の確保といった対策を講じており、継続企業の前提に関する注記は付かなかった』
今後、シャープの赤字拡大する事態となれば、債務超過に陥る可能性も十分なあります。ルネサスと同様に公的資金の注入することも予想されますが、シャープが生き残るべき企業であることが、広く世間一般にも認識されなければなりません。パネル事業で競合しているパナソニックにとっては、シャープが破綻した方が望ましいのかもしれません。因に、ソニーが売上高、営業利益ともに増加しているのは、家電分野などは業績を下方修正している一方で、金融事業に補っているからだそうです。家電分野での日本企業の復活は、非常に困難であるものの、世界の技術を引っ張ってきた存在でもあります。早急な対応が求められるところです。
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