関西電力が電力料金の引き上げを表明しました。九州電力も、これに続く動きを示しています。一方で、電力各社の平均年収は、500万円をかなり下回っている一般の平均ばかりでなく、大企業平均の596万円をも上回っています。関西電力の言い分には、燃料費を除く経費での削減には限界が出でおり、原油など燃料費が高止まりする中では、電気料金の引き上げしか方法がないというものです。事実、電力各社は収益環境はかなり悪化しており、ほとんどの会社が赤字となっています。損失がこれ以上に積み上がるならば、会社としての存続が危ぶまれています。
私の考えは、まず第一にするべきは、電力会社は配当金は出さないということです。わが国の原子力発電を間接的に支援してきたともいえる株主は、有限責任ではありますが、投資家として責任をとる必要があります。いまや赤字となっているのですから、普通の会社では配当金は出ないはずです。しかし、株主はこれで納得してはいけません。株主として、電力会社の経営努力を徹底的に追求するべきであり、その中には平均年収の引き下げは当然のごとく、視野に入ってくると思います。
関西電力の電気料金の値上げに関する記事が、2012年10月30日付毎日新聞朝刊に掲載されていましたので紹介します。安易な値上げは、電気料金の負担が大きい製造業などにとってもマイナスであり、円高で苦しむ製造業の輸出競争力を削ぎかねません。国民全てが関わる問題であり、電力各社に勤める関係者の事情だけで決めることではないといえます。記事の題目は『経費削減、焼け石に水。関電値上げ、原発稼働見通しなく』です。以下引用文。
『関西電力が値上げの検討に踏み切るのは、原発停止に伴う燃料費負担が、人件費や修繕費のカットだけでは追いつかない水準に達しているからだ。関電は「原発さえ動けば値上げしないで済む」(幹部)として大飯原発2基に続く原発の早期再稼働を目指してきたが、見通しは全く立っていない。ただ、値上げに対する利用者の目は厳しい。関電など電力各社は今後、高額とされる社員の給与水準など、さらなる体質改善を求められる可能性がある。(中略)一方で、値上げ審査にあたる政府からは、同社の想定を超える厳しい給与削減策を求められる可能性がある。関電は既に従業員の給与削減も視野に入れて検討を始めているが、政府は利用者に理解を求めるためにも、少なくとも他の大企業並に年収削減を求めるなど厳しく査定する方針だ。東電から今年5月に値上げ申請を受けた際、政府は平均年収を大企業平均(596万円)以下の590万円に削るよう要求した。政府は他社の値上げ審査の際、東電ほど厳しく査定しない考えだが、年収は「大企業並み」削減方針は崩していない』
赤字が続くと民間企業は存続できません。ただし資金ショートしなければ、しばらくの間は生き残ることもできます。電力会社といえども、東電でみたように国有化され、事実上破綻することはあります。逆に、破綻してからの処理の方が、受給権が発生している年金の支払いなどにも手を付けることができるなど、人件費の削減はさらに容易ともいえます。原発が事故を起こしてから、既に1年と半年が過ぎています。活断層の上に原発を建設したり、津波の直撃を受ける太平洋側に原発を集中立地をしてしまったことは、もう取り戻せない事実であり、わが国のエネルギー政策は破綻したと考えてもいいです。しかし、無駄をなくし、すぐさま対応しなければ、公共性が高い、安定した電力の供給を失うこととなり、このような事態は是が非でも回避するべきです。「原発さえ動かせば値上げしないで済む」などといった発言ではなく、電力各社には真摯な対応が求められるところでしょう。
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