2012年2月3日金曜日

投資信託への投資

資産(財産)三分法というものがあります。偏った資産配分をしていると、リスク(又は不確実性)の顕在化により思わぬ損失を被ることがあることから、「株」「土地」「現金」などに分散して資産を保有していることが望ましいということです。もっとも、わが国の場合、バブル崩壊以降、この三分法が適切であったかどうかは何ともいえません。土地価格は20年前から下落し続けているし、株価も暴落です。そして、物価が下落しているデフレの中で、債券投資は別として、最もパフォーマンスが高かったのが、悲しいかな現金・預金による資産の保有(運用でないため「保有」という言葉を使用しました)ではなかったでしょうか。低金利であっても物価が下がれば、その購買力が増すため、名目ベースでの増加は少ないものの、実質な価値は増加するからです。
家計の金融資産の保有が銀行預金の偏っている中で、その凋落傾向が顕著なのが投資信託です。その投資信託の中で代表的な存在なのが、国際証券が運用するグローバル・ソブリン(グロソブ)です。その純資産残高は、一時は6兆円もあったのですが、期近では2兆円を下回るまでなっています。グロソブに関する記事が『週刊エコノミスト』2011.12.27号に掲載されていましたので紹介します。タイトルは『グロソブから資金流出、国際投信"独立"に黄信号』です。以下引用文。
『国際投信投資顧問が運用する国内最大の投資信託グローバルソブリン(グロソブ)の資金流出が止まらない。リーマン・ショック前に約6兆円あった純資産残高が今年11月、遂に2兆円を切った。円高に加え、運用の柱であったユーロ圏の国債(ソブリン)が危機的状況に陥り、解約が相次いでいるためだ。
国債投信は11月下旬、投資している原資産の価格下落を避けるためイタリア、フランス、ベルギー、フランス、スペインの国債をすべて売却したと発表。昨年1月に42%あったユーロ圏の国債組み入れ比率を投げ売りにより15%まで低下させ、欧州リスクを和らげたものの「解約が止まる気配がない」(証券会社幹部)という。運用ポートフォリオが劇的に変わり、「グロソブの生命線である毎月分配への不安が高まっている」ためだ』
 あのグロソブさえも厳しい状況になっています。投資信託の運用は、これから投資をする人々にとってはかなり魅力的な投資対象ではないかと思います。しかし、売り抜けた人もいるかもしれませんが、既に保有していた人々は少なからず損失を出しているのが実情ではないでしょうか。右の表は、2012年1月29日付読売新聞朝刊に掲載されていたオープン投資純資産残高の上位20銘柄をリストにしたものです。残高が減少したといえどもグロソブは2位の大和住銀の短期豪ドル債オープン(毎月分配型)を大きく上回っており、依然として圧倒的なプレゼンスがあるといえるでしょう。
表を作成していた気がついたのですが、上位20位の中のうち17銘柄まで「毎月分配」「毎月決算」「毎月」という言葉がついています。つまり、これらは、何らかの形で毎月配当金が支払われる投資信託ではないかと思われます。ここで、私の経験を述べさせていただきます。リーマンショック以前から投資をしており、損失が少ない投資信託の運用タイプの何かということです。私が保有している投資信託には、以下の通り大まかに3つのタイプがあります。

  1. リーマンショック前に投資をして、その後追加投資せず、配当金を現金で受け取っているタイプ
  2. リーマンショック前に投資をして、その後追加投資せず、配当金を再投資しているタイプ
  3. リーマンショック前から投資をして、累投にて毎月追加投資をしている上、配当金を再投資するタイプ
この中で、1のタイプが最も損失を出しており、最もパフォーマンスが高いのが3のタイプです。3のタイプは、リーマンショック、震災ショック、欧州債務危機を乗り越えてプラスになっている投資信託もあります。毎月分配型の投資信託は累投ができないと聞いています。従って、上記リストにある投資信託をリーマンショック前から保有している場合、配当金を再投資したとしてもマイナスであるケースが十分に考えられます。やはり、銘柄の分散に加え、時間の分散も投資には不可欠な要素であると感じました。そして、この時間の分散をする最も手軽な方法は「累投」です。「累投」は、ドルコスト平均法(注)により下げ相場の中でも、損失を限定させることができる投資方法です。わが国を取り巻く環境は日増しに不確実性を増しています。今後どうなるかわかりません。従って、これから運用する人、既に運用をしている人に限らず、銘柄の分散、時間の分散に常に配慮し、長期的な視野に立った投資に心がける必要があると思います。
(注)『週刊エコノミスト』2012.1.24号にドルコスト平均法の説明があります。p113。

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